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理化学研究所(小林俊一理事長)は、分子の内部振動を利用して人工的に化学反応を起こし、その変化を可視化するとともに、反応で生成された分子の種類を特定することに世界で初めて成功しました。理研中央研究所表面化学研究室(川合真紀主任研究員)の金有洙基礎科学特別研究員、米田忠弘副主任研究員らによる研究成果です。
化学反応は、今日の近代社会を支える最も大きな原動力の一つですが、その究極の単位である1つの分子の化学反応や化学反応を可視化した例はほとんどありません。まして一つの分子だけを狙って化学反応を起こさせ、反応生成物を分析することは、いまだなし得ない技術です。今回、走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて、トンネル電子を一つの分子に注入し、内部振動を選択的に励起させることによって、化学変化を引き起こしました。さらに、化学変化の様子をSTMで可視化することにも成功。与えた励起エネルギーと分子の内部振動との関係から、生成した分子の種類を特定することができました。
本技術は、単一分子における化学反応と、分子間における内部振動を用いた解析手法が有効であることを証明し、現在、盛んに研究が行われているナノテクノロジーを強力に推し進める重要な新手法として期待されています。本研究成果は、米国の学術誌『Physical
Review Letters』
(9月16日号)に掲載されます。
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