Press Release

理化学研究所
平成13年11月7日

シロイヌナズナ変異体及び完全長cDNAの
共同研究の公募について

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 理化学研究所(小林俊一理事長)は、遺伝子機能解析のために作製したモデル植物であるシロイヌナズナの挿入変異体と完全長cDNAの利用を目的とした共同研究先を募集します。
 今回共同研究先を募集するリソースは、理研横浜研究所ゲノム科学総合研究センター(和田昭允センター所長)の植物ゲノム機能情報研究グループ(篠崎一雄プロジェクトディレクター、松井南チームリーダー)で作製したシロイヌナズナの変異体約7千種と、世界初公開となるシロイヌナズナ完全長cDNA約3千種です。
 これらのリソースは、植物の遺伝子機能解析に貴重な情報を提供するものであり、今後、遺伝子機能・発現解析の効率がより高くなると同時に、環境・食料・エネルギー問題などの解決に結びつくような、有用な植物遺伝子の探索が進展すると期待されます。なお、共同研究に関する説明会が11月14日(水)、理研和光本所(埼玉県和光市)内の鈴木梅太郎ホールにて行われます。

 

1.リソース配布に関わる経緯


 モデル植物とされるシロイヌナズナのゲノム構造・機能研究は、1990年頃から日米欧を中心とした国際的な協力体制のもとで進められています。2000年12月には、日米欧6研究チームによって全ゲノムの塩基配列が決定されました。
 一方、ゲノム解読と平行して、シロイヌナズナのゲノム上にある約2万6千個の遺伝子の機能を体系的、網羅的に研究するために、変異体・cDNA・ゲノム配列といった遺伝子解析のためのリソースが作製・収集されています。これまでにも、米国オハイオ州立大学や英国ノッチンガム大学、日本のかずさDNA研究所などでも公開されてきました。しかしながら、公開されていたのはゲノム塩基配列およびゲノム配列を解読するためのBACクローンやライブラリー、および個別の変異体が主でした。
 このような背景のもと、理研では、1999年10月にGSC植物ゲノム機能情報研究グループを発足させました。研究グループでは、シロイヌナズナの遺伝子破壊突然変異体や完全長cDNAといった、遺伝子の機能解析を推進する、貴重な情報源となるリソースの作製と開発研究を進めています。

 

2.植物ゲノムリソースの利用について


今回共同研究先を募集するのは、発足以来植物ゲノム機能情報研究グループがこれまでに作製したリソースです。

・シロイヌナズナ突然変異体(Dsトランスポゾンタグライン)※1 約4千種類

・シロイヌナズナ突然変異体(アクティベーションタグライン)※2 約3千種類

・シロイヌナズナ完全長cDNA※3 約3千種類

 また、作製したリソースは、共同研究を通して各研究機関へ配布します。それにともない、共同研究のためのリソースに関する説明会を11月14日(水)、理化学研究所の鈴木梅太郎ホールにて開催いたします。

日時:平成13年11月14日(水)  午後1:00〜午後4:00

場所:理化学研究所 鈴木梅太郎ホール
(埼玉県和光市広沢2−1 生物科学研究棟1階)

参加申込み:氏名、所属・住所、連絡先を明記して、平成13年11月9日(金)までに、電子メール(gyukiko@postman.riken.go.jp)またはFAX(048-462-9405)にて担当(後藤有希子:電話 048-467-9555)までご連絡ください。

 

 

 

 

(問い合わせ先)    

理化学研究所


ゲノム科学総合研究センター 植物ゲノム機能情報研究グループ 
植物変異探索研究チーム チームリーダー 松井 南

TEL:048-467-9555

FAX:048-462-9405


横浜研究所 研究推進部   反町 耕記、木村 優

TEL:045-503-9117

FAX:045-503-9113

(報道担当)


広報室           嶋田 庸嗣、仁尾 明日香

TEL:048-467-9272

FAX:048-462-4715


補足説明

※1

シロイヌナズナ突然変異体(Dsトランスポゾンタグライン)

 トウモロコシのもつ転移因子トランスポゾンを人為的に改変し、転移酵素遺伝子が欠損しているため自分自身では転移できない「Dsトランスポゾン」を無作為に植物ゲノム中に挿入した変異体。公開される変異体には、それぞれに「どの遺伝子が変異しているか」といった情報が付加されており、オリジナリティーが高いものとなっている。


※2

シロイヌナズナ突然変異体(アクティベーションタグライン)

 T−DNAを人為的に改変して、遺伝子転写を活性化する領域(エンハンサー)をもつT−DNAを植物ゲノム中に無作為に挿入した変異体。このT−DNAが遺伝子の近傍に挿入された場合、エンハンサーによってその遺伝子の発現が強化されるため、遺伝子を破壊した場合の変異では得られない遺伝子機能の同定が期待される。


※3

シロイヌナズナ完全長cDNA

 完全長cDNAとは、cDNA(機能のある遺伝子として発現しているmRNAを人工的にコピーした相補的DNA、遺伝子そのもの)を完全長で作製したもの。シロイヌナズナ完全長cDNAの塩基配列データが公開されるのは、今回が世界で初めてになる。