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理化学研究所(小林俊一理事長)は、新しい細胞死誘導因子の同定に成功しました。理研脳科学総合研究センター(伊藤正男所長)運動系神経変性研究チームの高橋良輔チームリーダー、鈴木泰行、今居譲両研究員および理研物質基盤研究部生体分子解析室の瀧尾擴士室長、中山洋研究員らによる研究成果です。
アポトーシスは、細胞が「自爆」のプログラムにより積極的に起こす細胞死です。今回、研究グループは、ミトコンドリア※1から放出される新しい細胞死誘導因子HtrA2を発見しました。HtrA2は、細胞質に放出されるとアポトーシスの実行因子であるカスパーゼ※2を活性化して、細胞をアポトーシスに導きます。一方、HtrA2自体、セリンプロテアーゼというタンパク質分解酵素であり、その活性によってカスパーゼを使わないタイプの細胞死を引き起こすことができるという二重の細胞死誘導作用を持っています。最近の研究から、神経変性疾患などでカスパーゼによらない細胞死が見出されており、HtrA2はこのような従来知られていなかった新しいタイプの細胞死のプレーヤーである可能性があります。
本研究によって、痴呆やパーキンソン病といった神経変性疾患の発症メカニズムや、がん細胞やウイルスに感染した細胞などの有害な細胞の処理過程でみられるアポトーシスのしくみの研究を大きく前進させることが期待されます。
本研究成果は、米国の科学雑誌『Molecular Cell』
(9月28日号)に発表されます。
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