Press Release

  理化学研究所
平成12年8月22日

マウスcDNA機能アノテーション会議を開催

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 理化学研究所(小林俊一理事長)は8月28日(月)から9月8日(金)まで、国内外のバイオインフォマティクス、およびゲノム科学などの専門家と共同で「マウスcDNA機能アノテーション会議(Functional Annotation of Mouse〔FANTOM〕meeting)」を当研究所・筑波研究所で開きます。
 当研究所のゲノム科学総合研究センター(和田昭允センター所長)は、これまで「マウス遺伝子エンサイクロペディア計画」としてマウス完全長cDNAの解析(約2万クローン)を進めてきました。会議では、この完全長cDNAの機能に関する情報をコンピューター解析した結果を参照しながら、研究者が機能の注釈付け(機能アノテーション)を行います。
 機能アノテーションを行うことによって、マウスの完全長cDNAの全塩基配列情報とともに、機能情報が付加された形での情報公開が可能となり、全世界の研究者がより効果的、効率的に「マウス完全長cDNA」の情報を活用でき、ヒトゲノムドラフトシーケンス情報などと相まって、ヒト遺伝子の機能解明などが飛躍的に促進されることが期待されます。


1. 背 景

 マウスは、遺伝子が約10万種あると予測され、ヒトの遺伝子とほとんど同じであること、ヒトでは取れないライフサイクルすべてのステージの遺伝子が取れること、実験的にも扱いやすいことなどから、ヒトのモデル動物とされています。
 これらのマウスの遺伝子(完全長cDNA)のすべてを取り出し、その塩基配列情報などを体系的に整理した辞書となる「マウス遺伝子エンサイクロペディア」の作成は、ヒト遺伝子の機能解明の促進など、医学・生物学といったさまざまな分野での貢献が期待されます。
 「マウス遺伝子エンサイクロペディア」の作成は、ゲノム科学総合研究センターの遺伝子構造・機能研究グループ(林崎良英プロジェクトディレクター)が担い、約12万7千クローンのマウス完全長cDNAの末端部分の塩基配列データをホームページ(http://genome.rtc.riken.go.jp)にて公開してきました。

 

2. マウスcDNA機能アノテーション会議

1)目的

 本会議では、上記マウス完全長cDNAの末端配列解析とともに進めてきた全長塩基配列の解析を完了した約2万クローンの完全長cDNAについて、既知遺伝子塩基配列情報とのホモロジー(類似性)情報、遺伝子産物であるタンパク質のモチーフ情報(2次構造あるいはそれらの組み合わせの構造情報)、「GENE ONTOLOGY CONSORTIUM※1」によって決められた遺伝子の属性分類などの情報を付加していくことにしています。

2)意義

 ヒトゲノムのドラフトシーケンスが本年6月に解読されるなど、膨大なゲノム情報(DNA塩基配列情報)が全世界で急激に解読されつつあるなか、今後はそれらの情報をもとに行われる機能研究、いわゆるポストゲノム研究が焦点となっています。
 アノテーションの情報は、このようなDNA塩基配列情報をもとに、効率的に遺伝子の機能解析を進めるに当たって不可欠な情報です。また、cDNAに関する機能アノテーション会議の開催は、世界初の試み※2であり、高等生物のcDNAについての機能アノテーションの国際的標準化の先駆けとなることが期待されています。

3)開催日

2000年8月28日(月)〜9月8日(金)

4)場所

理化学研究所 筑波研究所(茨城県つくば市高野台3-1-1)

5)主催

理化学研究所 横浜研究所 ゲノム科学総合研究センター(GSC)
(GSC遺伝子構造・機能研究グループ〔林崎良英プロジェクトディレクター〕)

6)研究参加予定者

海外のEMBL-EBI(European Bioinformatics Institute)、NCBI(National Center for Biotechnology Information)、TIGR(The Institute for Genomic Research)、The Jackson laboratory、UCB(University of California, Berkeley)、国内の国立遺伝学研究所生命情報研究センター、大阪大学、慶應義塾大学など、国内外のバイオインフォマティクスおよび、ゲノム科学などの研究機関から国外約40人、国内約20人の専門家が参加予定。

7)成果

 本会議終了後、その結果を速やかに取りまとめ、論文に投稿します。また、当該論文が公表され次第、今回の会議の対象である約2万クローンの完全長cDNAに関する全塩基配列情報および、機能アノテーションのデータをホームページなどで公開します。
 なお、本年11月6日(月)から9日(木)に成田市の「リーガロイヤルホテル成田」で開催される「第14回国際マウスゲノム学会(14 International Mouse GenomeConference:IMGC)でも、本会議での結果概要を報告する予定です。

 

3. 今後の予定

今後も「マウス遺伝子エンサイクロペディア計画」の一環として、マウス完全長cDNAの取得と、その全長塩基配列の解析を進めるとともに、機能アノテーションを継続して実施し、順次、その研究成果を公開していきます。

 

 

(問い合わせ先)    

理化学研究所 横浜研究所 研究推進部※  堤  精史
 TEL:048-467-8563 FAX:048-467-8091

(報道担当)

広報室 嶋田 庸嗣
 TEL:048-467-9271 FAX:048-462-4715

※横浜研究所研究推進部は9月4日より下記で業務を開始する予定です

    〒230-0045 神奈川県横浜市鶴見区末広町1-7-22
        TEL:045-503-9111 FAX:045-503-9113 

 

補足説明

 

※1 「GENE ONTOLOGY CONSORTIUM」

ショウジョウバエ、酵母、マウスの研究者らが集まって、遺伝子(gene)の定義について、Gene Ontologyという形で分類分けをする作業を行っている組織。

※2 「アノテーション会議」

ショウジョウバエのゲノムDNAについては1999年9月に、世界の研究者(45人程度)が2週間程度の合宿を行って、遺伝子予測および機能の注釈付けを行っている。