Press Release

理化学研究所
科学技術振興事業団
(株)島津製作所
平成11年10月8日

大容量DNAシーケンサー及び
大規模
CDNA解析システムの開発

プレス発表情報一覧



 理化学研究所(理事長:小林俊一)と科学技術振興事業団(理事長:中村守孝)は、1996年から大容量DNAシーケンサー(RISA[RIKEN Integrated Sequence Analyzer]シーケンサー)の開発を(株)島津製作所(社長:矢嶋英敏)と共同で進めてきましたが、この度この装置が完成しました。RISAシーケンサーは、理化学研究所ゲノム科学総合研究センターの林崎良英プロジェクトリーダーが中心となり、科学技術振興事業団(JST)の戦略的基礎研究推進事業(研究領域:生命活動のプログラム、研究テーマ:汎生物高速遺伝子同定法の開発と遺伝的背景を支配する遺伝子群への応用)に係る研究の一部として実現したものです。

 高速大容量DNAシーケンサーの開発は、ゲノム科学研究を加速するための中心的課題であり、従来の高速大容量シーケンサーが一度に96検体を処理するのに対し、RISAシーケンサーは、世界最高の384検体を同時に、かつ高速に処理することができます。大容量のシーケンスが可能なことから、今後、医療、食品など様々な研究分野などで増加することが見込まれるゲノム解析に、大きな威力を発揮することが期待されます。なお、RISAシーケンサーは、(株)島津製作所から近日、発売される予定です。

 また、理化学研究所では、完全長cDNAライブラリー作成法や、新しいプラスミドDNA調製法なども独自に開発しており、これらをRISAシーケンサーと統合して大規模cDNA解析システムを構築し、マウス遺伝子エンサイクロペディアプロジェクトに使用しています。その成果として、これまでに完全長cDNAの末端シーケンスをホームページ上で公開しておりますが、本日、さらに最新データを追加し、約65,000種の完全長cDNAがカタログ化されたことになります。

 今後は、RISAシーケンサーを活用し、医学・生物学等の分野で期待されているマウス遺伝子エンサイクロペディアの早期完成を目指していきます。




(1)RISAシーケンサーの開発

 DNAの塩基配列を解析する装置であるシーケンサーの高速化、大容量化はゲノム科学研究を加速推進するための必須の課題です。今回完成したRISAシーケンサーは、キャピラリー型シーケンサーで、384検体を同時に世界でも最も高速に処理できます。RISAシーケンサーの特徴は、384本分全ての泳動情報を瞬時に取得するため、隙間なく並べた384本のキャピラリーの信号を、4色蛍光検出器を用いて同時に収集していることです。

 また、シーケンサー本体でのゲルの充填時間を節約するため、ゲルを充填したキャピラリーカセットを他の場所で作り、電気泳動終了後即座にカセットを交換し、次の電気泳動に取り掛かれる仕組みになっています。このため、シーケンサー本体(RISAシーケンサー)以外に、384本のキャピラリーが納まったカセットを作るキャピラリーアレイ製造機、及びキャピラリーにゲルを充填するゲル充填機も併せて開発しました。

 この結果、RISAシーケンサー1台を、1日8時間稼動させることにより、約60万塩基を解析することが可能となり、シーケンサーの中で最高速、最大容量を実現しています。

 

(2)大規模cDNA解析システムの開発とマウス遺伝子エンサイクロペディアの更新

 理化学研究所は、試作評価機のRISAシーケンサー(RISAU)と、別途独自開発したmRNAから完全長cDNAを合成する完全長cDNAライブラリー作成法、鋳型DNAを高速で調整するプラスミドDNA調製法、大容量のシーケンス反応を行う理研型サーマルサイクラーなどを統合して、大規模cDNA解析システムを構築し、その試験的運転を行いつつ、マウス遺伝子エンサイクロペディアプロジェクトに使用してきました。

最初は、1998年5月からRISAT 1台用いた1パスシーケンスによる完全長cDNAのカタログ化を行い、同年11月までにマウスゲノム中に存在する全遺伝子の20%に相当する約20,000種類の完全長cDNAのカタログ化に成功しました。さらに、本年1月からは、操作性を向上させた試作評価機のRISA シーケンサー(RISAII) 10台を稼動させ、3月までに約28,000種類のカタログ化を行いました。また、10月1日現在では、全マウス遺伝子の66%に相当する65,631種類をカタログ化し、これらの最新のデーターは、本日、ホームページ上での公開を予定しています(本件は、理化学研究所・ゲノム科学総合研究センター遺伝子構造・機能研究グループと同研究所・ライフサイエンス筑波研究センター実験動物開発室との共同成果)。

今後は、大規模cDNA解析システムを完全長cDNAのカタログ化のほか、完全長cDNAの全長シーケンスやゲノムのシーケンス等にも使用し、マウス遺伝子エンサイクロペディアの早期完成を目指していきます。

 

 ※cDNA(complementary DNA)

    mRNAを鋳型として合成されたmRNAと相補的な塩基配列を持つDNAのこと

 

 




(問い合わせ先)

「理化学研究所」

ゲノム科学総合研究センター遺伝子構造・機能研究グループ プロジェクトリーダー

                  林崎 良英 TEL:0298-36-9145 FAX:0298-36-9099

 ゲノム科学研究推進室       桝田太三郎 TEL:048-467-9671 FAX:048-467-9708

 報道担当:理化学研究所広報室  嶋田 庸嗣 TEL:048-467-9271  FAX:048-462-4715

E-mail:koho@postman.riken.go.jp http://www.riken.go.jp/r-world/press

「科学技術振興事業団」

  基礎研究推進部研究推進グループ  石田 秋生 TEL:048-226-5635  FAX:048-226-1164

E-mail : ishida@jst.go.jp

「島津製作所」

  社長室・広報グループ 塩津 慎一 TEL:075-823-1110  FAX:075-823-1348

E-mail : shiotsu@shimadzu.co.jp

 

 








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