Press Release 国立遺伝学研究所
理化学研究所
平成11年7月15日
理研・遺伝研共同でマウス遺伝子データ
18万件を一挙公開
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 国立遺伝学研究所(所長:堀田凱樹)日本DNAデータバンク(DDBJ:DNA DATA BANK of JAPAN)は、この度、理化学研究所(理事長:小林俊一)ゲノム科学総合研究センター 林崎良英プロジェクトリーダーの保有する約18万件に及ぶマウス完全長cDNAクローンの3'末端データを公開した。これほどの大量のデータが一挙に登録、公開されたのは、世界でも初めてのケースである。
 DDBJは、欧州分子生物学研究所(EMBL:European Molecular Biology Laboratory) のデータベースや、米国のGenBankと並ぶ三大国際DNAデータバンクの一つである。今回のデータの登録、公開によって、DDBJの情報集件数が欧州のEMBLデータベースを更に大きく上回ることになり、我が国におけるDNAデータの生産能力ならびに登録、公開実績が世界的にも充分認められることになると考えられる。



(説明)

1 マウス完全長 cDNAの3'末端データを登録、公開
 国立遺伝学研究所生命情報研究センター日本DNAデータバンク(DDBJ)(http://www.ddbj.nig.ac.jp)は、欧州のEMBLデータベースと米国のGenBankとの国際共同によって DNA 配列や関連生物学情報を収集、評価編集、提供しており、世界からデータを収集している。国内においても、省庁の枠組みを越えて広く大学や研究機関から情報を収集している。
 この度、理化学研究所 ゲノム科学総合研究センターの林崎グループから、175,734 件ものマウス完全長 cDNA の3'末端データがDDBJに一挙に登録され、それが迅速に処理、公開されたのは、世界でも初めてのケースであり、省庁間の枠組みを超えた取り組みの象徴であるともいえる。
 また、発現遺伝子に限ればマウス遺伝子関連プロジェクトがヒトゲノムプロジェクトに先行したことを示すものであるとともに、今回の成果は、林崎グループが独自に研究開発した配列決定技術によるところが大きく、我が国の技術レベルの高さと、ゲノムプロジェクトの進展を国内外に示すことになる。
 なお、林崎グループはこれとは別に、約2万8千件のノンリダンダント(重複のない)cDNA データを理研ウエブサイトで公開している。

2 マウス完全長 cDNAの3'末端データの意義
 マウス完全長 cDNA の3'末端データとは、マウスゲノムで発現していて、タンパク質を産生するなどして種々の生命活動を支配している遺伝子の3'末端DNA配列データのことである。
 マウスは進化的にヒトに近い生物で、ヒトの種々な生命活動を研究するのに適した材料とされる。ゲノムレベルでも両者には共通点が多く、今回の完全長 cDNA の3'末端データは、今後配列決定されるであろう多くのヒト遺伝子の機能を知る上で、辞書的な役割を果たすことが期待される。特に、高血圧、糖尿病、がん、免疫不全や老化・脳機能などの研究を遺伝子レベルで進めるための重要な情報を提供すると考えられる。また、今後機能解析の主流となっていくと考えられる DNA チップ解析技術への応用も期待され、ゲノム創薬研究を促進させることになると考えられる。

3 DDBJデータベースの優位性
 今年の3月、DDBJのデータ収集の総件数(255,871件:3月時点)が初めて欧州のEMBLデータベースのデータ件数(254,709件:3月時点)を上回ったが、今回のマウスデータの大量登録、公開によってその差が更に開いた。我が国におけるDNAデータの生産能力ならびに登録、公開実績は世界的にも充分認められることになると考えられる。

4 生命情報科学の時代へ
 大規模配列決定技術の発達により、世界のゲノムプロジェクトの推進に拍車が掛かり、その結果、データの登録、公開も一度に1万件を越えるケースが多くなってきている。つまり、DNA 配列データの大規模な配列決定、登録、評価そして公開の時代に入った。これに伴って、大規模データを迅速に処理するデータベース管理システムの開発や、大規模データ解析ソフトの研究開発も促進されることになる。これは、生命科学の分野だけでなく、情報科学、情報通信科学などの分野の発展も促すことになり、この意味でも、生命情報科学の重要性が益々増大すると考えられる。


(問い合わせ先)
国立遺伝学研究所
日本DNAデータバンク
 舘野義男
Tel:0559-81-6857
E-mail:ytateno@genes.nig.ac.jp

(理化学研究所に関して)

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