|
理化学研究所(理事長:小林俊一)ゲノム科学総合研究センター(所長:和田昭允)の遺伝子構造・機能研究グループ(プロジェクトリーダー:林崎良英)は、全長鎖cDNAの単離などに係る独自技術を用いて集積してきたマウス遺伝子約2万種類(新規5千種類を含み、全遺伝子のおよそ20%に相当)の末端部分の塩基配列データを、本年1月12日から次のホームページで公開する。
http://genome.rtc.riken.go.jp/
今回の成果は、医学・生物学等様々な分野で期待されている「遺伝子エンサイクロペディア(全遺伝子辞書)」の実現を加速するものとなる。また、本インデックスに相当する遺伝子の断片等を持っている研究者が、その全長鎖遺伝子を検索するのに活用できるものと期待している。
今後カタログ化データを増やすとともに、各遺伝子の全塩基配列、染色体位置情報、機能情報などを追加し、「遺伝子エンサイクロペディア」としての完成を目指していく。
マウスは、遺伝子が約10万種類あると予測され、ヒトの遺伝子とほとんど同じであること、ヒトでは取れないライフサイクル全てのステージの遺伝子が取れること、実験的にも扱いやすいことなどからヒトのモデル動物とされている。このため、マウスの遺伝子のすべてを取り出して、「遺伝子エンサイクロペディア」を作成することは非常に重要である。
「遺伝子エンサイクロペディア」の完成は、医学・生物学上必要な遺伝子単離という煩雑な操作から研究者が解放され、研究そのもののスタイルを一変させる可能性を秘めている。たとえば医学の分野においては、医療・診断・製薬などの手法に多大の影響を与えると予想される。
「遺伝子エンサイクロペディア」の作成には、膨大な種類の全長鎖cDNA(遺伝子と同じ塩基配列情報をもつ人工的に作成したDNA)を重複無く効率よく集めるシステムが必要である。理研では全長鎖cDNAを効率よく取り出すために、独自に開発した技術を利用して、マウスの様々な組織からmRNA(遺伝子の情報がタンパク質として発現される過程で、情報の運び屋として転写されるRNA)を単離し、逆転写反応により全長鎖cDNAの集合体としてのライブラリーの作成に成功した。更に、これらのライブラリーをクローン化し、得られた膨大な数のクローンについて「3'末端」と呼ばれている片方から部分塩基配列決定を行い、重複のない全長鎖cDNAを選び出すことによって、全長鎖cDNAのカタログ化(分類)を行った。
これまでの研究において、107,088個のクローンから、新規5,019種類を含めて約2万種類の全長鎖cDNAのカタログ化に成功した。これは予想される全遺伝子の約20%に相当する。公開するのは、今回カタログ化した約2万種類の全長鎖cDNA遺伝子の部分塩基配列である。
今後、増設した解析システムを本格的に立上げ・稼働することによって、残りの遺伝子のカタログ化を加速するとともに、各遺伝子の全塩基配列、染色体位置情報、機能情報などを順次追加していくことにより、遺伝子エンサイクロペディアの早期完成を目指していく。
今回の成果は、全長鎖cDNA単離法などの新しい技術に支えられており、今後はこれらの技術を活用するとともに引き続き研究開発に努め、我が国ゲノム研究の一層の推進を図ることとしたい。また、今回発表するデータ及び遺伝子エンサイクロペディアが、我が国ゲノム関連産業の振興に寄与するものと期待している。
問い合わせ先
- 研究者
- 理化学研究所
- ゲノム科学総合研究センター
- 遺伝子構造・機能研究グループ
- プロジェクトリーダー
- 林崎良英 Tel :0298-36-9145
- Fax:0298-36-9099
- 主 幹
- 渡辺幸彦 Tel :0298-36-9144
- Fax:0298-36-9098
- 報道担当
- 理化学研究所広報室
- 佃、吉垣 Tel :048-467-9271
- Fax:048-462-4715
- 理化学研究所ホームページ:http://www.riken.go.jp/KOHO/press.html
- Email:koho@postman.riken.go.jp
|