Press Release 理化学研究所
平成10年9月30日
フォトダイナミクス研究センター
第II期の研究体制がスタート

プレス発表情報一覧



 理化学研究所(小林俊一理事長)は、仙台市青葉区フォトダイナミクス研究セン ター(電話:022-228-2111)で展開しているフォトダイナミクス研究 の第I期研究課題が平成10年9月で終了したのに伴い、引き続き10月1日よ り、第II期の研究課題をスタートさせます。
 センター長には岩手県立大学学長の西澤潤一氏(初代フォトダイナミクス研究セ ンター長)を迎え、研究期間は平成10年10月から平成17年9月までの7年 間とします。

 新しい研究課題は

  1. コヒーレントなテラヘルツ波の技術に関する研究
  2. 光と結晶等物質の相互作用に関する研究
  3. ユニークな光物性を有する新規有機化合物に関する研究
  4. 生体における光機能の作用に関する研究
  5. 光と電子をプローブとした分光学的アプローチにより、表面現象及び表面物性の研究
の5つの研究分野について、それぞれ、「光発生・計測研究チーム」「光物性研 究チーム」「光反応研究チーム」「光生物研究チーム」「表面フォトダイナミク ス研究チーム」を編成し、研究を実施します
 また、研究の進展及び内外の動向を踏まえ、必要に応じ研究チームの拡充や新た な研究チームの編成を柔軟に行う予定です。

《本件に関する問合せ先》

 理化学研究所 
      フロンティア研究推進部
        山田      Tel :048-467-9535
                Fax:048-465-8048
     [報道担当:広報室
        佃、吉垣    Tel :048-467-9271〜 2
                Fax:048-462-4715
                Email:koho@postman.riken.go.jp]


 各研究チームの研究計画 

1 光発生・計測研究チーム
(1)チームリーダー
 伊藤弘昌(工博)
(2)研究目的/概要
 非線形光学効果を軸として、コヒーレントなテラヘルツ波(1THz〜100THz)を発生させるとともに、周辺技術である検出や制御技術およびその応用システムまでの一連の研究を展開し、この電磁スペクトル空間により生み出される新しい科学技術分野である「テラフォトニクス」の確立と体系化をはかる。
(3)研究項目
 1)テラフォトニクス用光源に関する研究
 2)テラフォトニクス用検出・制御素子に関する研究
 3)テラフォトニクス応用システムに関する研究

2 光物性研究チーム
(1)チームリーダー
 瀬川勇三郎(工博)
(2)研究目的/概要
 無機材料においてミクロな形状の変化により、どのように電子状態が変化しそれが光との相互作用にどのように反映されるか、その過程を解明し、新しい光と物質との相互作用状態を創成する。
 次に、より実用的な材料として酸化物半導体を取り上げ、その結晶成長機構の解明、伝導性制御などを行い、新たな紫外半導体レーザー材料の開発を行う。
さらに光と物質との相互作用を光の側から制御するため、材料開発、構造特性解析を行い、新しいミリ波素子の開発、また新しいレーザー材料の開発を行う。
(3)研究項目
 1)半導体量子構造の製作と物質探索
 2)酸化物半導体の開発
 3)量子光学の研究
3 光反応研究チーム
(1)チームリーダー
 坂本健吉(理博)
(2)研究目的/概要
 半導体的電子状態をもつポリアセチレンやポリシランなどを化学的にきわめて純粋な状態で調製するため、新規な化学合成法の開発を行い、その電子状態を詳細に検討する。
 また、これらのポリマーの分子内運動と各種の物性の関係を解明し、それを基礎に光や熱など外部刺激に応答する新物質の設計と合成を行う。
(3)研究項目
 1)高純度ポリシランの合成と物性の再検討
 2)高純度ポリアセチレンの新規合成法の開発
 3)不飽和ケイ素ポリマーの合成
 4)ポリマー構造と物性の相関に関する理論的解明
4 光生物研究チーム
(1)チームリーダー
 小野高明(理博)
(2)研究目的/概要
 本研究はX線分光、パルス電子スピン共鳴、振動分光などの様々な物理測定 手法と分子生理、分子生物学、生化学的手法を有効に組み合わせることによ り、酸素発生型光合成システムの機能と構造を解明することを目的とする。特 に水分子の酸化過程を担う光化学系IIとMnクラスター系の全システムの完全な 理解を目指す。さらに光による光合成システム自身、光合成システムを介した 他の植物細胞内システムの制御について進化的見地をも含めた研究を行う。
 また、鈴木均(理博)サブチームリーダーらにより、植物の茎や幹に存在 する光ファイバ機能の構造が担う光情報を検出し、根系に存在する光感受性物 質群および光駆動型遺伝子を介して、光が根の活動に及ぼす影響を時間生物学 的側面から解明し、また植物の生理的反応を利用した光および化学環境のバイ オ・センシング・システムも構築する。
(3)研究項目
 1)Mnクラスターの構造と機能に関する研究
 2)酸素発生型光化学システムの構造と機能に関する研究
 3)光による光化学系の制御システムの研究
 4)植物光ファイバシステムの可視化
 5)留置型測光システムによる地中の光環境変動計測
 6)光による根・幹・枝・葉の電気的活動および直径変動の発現
5 表面フォトダイナミクス研究チーム
(1)チームリーダー
 潮田資勝(理博)
(2)研究目的/概要
 固体の表面・界面における光と電子の相互作用、および分子と表面原子の相 互作用のダイナミクスを、原子レベルで理解することを目的とし、さらに得ら れた知見を工学的に応用する可能性を探究する。
(3)研究項目
 1)レーザー励起高分解能超低エネルギー光電子分光システムの構築
 2)表面電子レベルと光電変換現象
 3)表面の非線形光学現象
 4)吸着分子のダイナミクス





参考-1

 フォトダイナミクス研究センターの概要 

 理化学研究所は多分野にまたがる研究領域を対象として、従来の固定化された 研究組織体制を越えた、より深い研究を広範な分野の専門的研究者を集結して、 集中的に実施する必要性を痛感し、国際的で、長期的・流動的に先端的基礎研究 (フロンティア研究) を行う組織として「国際フロンティア研究システム」を1986年(昭和61 年)10月に和光キャンパスに設置しました。
 本システムは機構的に従来の研究所とはたいへん趣を異にしており、広い分野 の優れた研究者や研究リーダーを国の内外を問わず募り、期間を区切って密度の 高い研究に参加してもらっています。終身雇用制が一般的である我が国におい て、契約制を導入した流動的研究体制で運営されており、世界に広く開かれた研 究システムを構築することが本システムの一つの目標であり、国外から参加しや すいように特に配慮しています。
 フォトダイナミクス研究センターは、地域の研究ポテンシャルと理化学研究所 の研究ポテンシャルとを融合して、独創的研究を国全体の科学技術振興の見地か らも進める「地域展開フロンティア研究システム」として、1990年(平成2 年)10月に、光の新しい利用分野の開拓、新しい現象の発見と解明、新物質の 創製を目指し、制御された光と物質・生物の関連の解明を目指す「フォトダイナ ミクス研究」を進めるため、仙台に開設しました。
 

 初代センター長   西澤潤一(工博)  1990年(平成2年)10月就任
 第2代センター長  田崎京二(医博)  1991年(平成3年) 2月就任

第I期研究チーム及びチームリーダー
 光発生・計測研究チーム  チームリーダー 水野皓司(工博)
 光物性研究チーム     チームリーダー 瀬川勇三郎(工博)
 光反応研究チーム     チームリーダー 吉良満夫(理博)
 光生物研究チーム     チームリーダー 田代英夫(理博)
              サブチームリーダー 塚原保夫(医博)