| □ プレス発表情報一覧 □ |
理化学研究所(有馬朗人理事長)は、我が国の脳科学研究の中核的研究機関として、「脳科学総合研究センター」を本年10月1日、和光本所(埼玉県和光市広沢2-1)に開設します。
1. 背 景
脳は生物における最高の高次機能で、自然科学に残された最大のフロンティアであり、脳科学の進歩は認識、思考、意志など人間の高度な精神機能を明らかにするとともに、アルツハイマー病等の脳・神経疾患の病態解明、治療・予防などの医療分野や、新たな原理によるコンピューターの構築などの情報分野に対して多大の効果を及ぼすものと期待されています。
国においては、科学技術会議ライフサイエンス部会脳科学委員会が中心となり、関係省庁や関係機関の有機的な連携のもとに、脳科学研究の総合的、計画的な推進を図っています。
このような状況のもと、理化学研究所に脳科学研究の中核となる「脳科学総合研究センター」が設置されることになりました。
理化学研究所では、1988年10月から、伊藤正男博士を中心に国際フロンティア研究システムのもとで脳科学研究の一部が進められており、1997年4月の段階では、3研究グループ10研究チーム、約80名の研究者が研究を行っており、大脳における側頭葉のコラム構造、脳の可塑性における記憶過程の可視化等世界的な成果を挙げてきました。
この度の「脳科学総合研究センター」の発足にあたっては、国際フロンティア研究システムの脳科学関連研究チームの再編を行うとともに、国内外の研究機関から多くの優れた研究者を招聘いたします。
2. 概 要
脳科学総合研究センターは、我が国の脳科学研究の中核的研究機関として、我が国の脳科学を総合的に牽引する役割を果すとともに、現代の社会的、国民的課題である脳における諸問題を解明するため、目標達成型のアプローチにより計画的に研究を進めます。
このため、脳科学総合研究センターでは、「脳を知る領域」、「脳を守る領域」、「脳を創る領域」の3つの研究領域において、各研究課題を効率的に推進するための研究グループ、研究チーム(ラボ)を設置するとともに、脳科学研究に不可欠な先端的技術課題を克服するための先端技術開発センターを設置します。また各研究領域に関し、必要な専門分野については外部の研究機関と連携して研究を実施します。
3. 研究体制
(1) 組織
平成9年10月1日発足の研究グループ等は別紙1のとおり
(2) 所長及び研究リーダー
[1] 所 長
4. 研究実施場所
理化学研究所 和光本所 脳科学総合研究センター
(別紙4)
なお、同研究センターの発足に伴い、平成9年11月10日(月)に和光本所において、開所式を、翌11日(火)には東京プリンスホテルにおいて、利根川マサチューセッツ工科大学教授、フロイドブルーム サイエンス誌編集長をはじめ各国のトップサイエンティストを招いて開所記念国際シンポジウムを開催致します。
(問い合わせ先)
理化学研究所 脳科学研究推進室
渦尾、古屋
TEL 048-467-9639,467-9596
[報道担当]:広報室 越間、佃、吉垣
TEL 048-467-9270
| 脳を知る研究領域 |
【ニューロン機能研究グループ 】
(1) 機能分子研究
| 前理化学研究所国際フロンティア研究システムニューロン研究グループディレクター(1949年5月23日生、48才) 工学博士、専門は分子生物学 |
| ニュ−ロンの回路形成や、シナプスの可塑性に関与する新たな機能分子を探索し、その構造と機能を研究する。また、嗅覚の神経回路の機能解析も進め、におい分子の識別や嗅覚イメ−ジ形成のメカニズムの研究を行う。 |
(2) 細胞神経生理研究
| 前理化学研究所国際フロンティア研究システム機能分子研究チームリーダー(1957年9月19日生、40才) 医学博士、専門は神経生理学 |
| 神経伝達物質受容体やイオンチャンネルなどの脳における機能を電気生理学的手法、光学的測定法、ノックアウトマウスなどを駆使して研究する。特に、神経活動に依存して機能的にシナプス結合が形成されるメカニズムを追求を行う。 |
(3) 細胞内情報研究
| 前理化学研究所国際フロンティア研究システムシナプス機構研究チームリーダー(1957年10月26日生、39才)
理学博士、専門は分子生物学 |
| 神経細胞において様々な機能を持つ、受容体、イオンチャンネル、蛋白質リン酸化酵素などの分子の局在の機構や相互作用の解析を行う。これにより、シナプス形成およびシナプス可塑性分子機構の解明を行う。 |
(4) 神経回路発達研究
|
前理化学研究所国際フロンティア研究システム細胞骨格研究チームリーダー(1966年9月16日生、31才)
Ph. D.、専門は神経生理学 |
| 哺乳類の視覚野における神経回路の発達に関する研究から、脳が経験により作られるメカニズムを解明する。この目的のため、神経の生理学的あるいは、形態的可塑性に関与すると思われる分子を薬理学的に抑え、またノックアウトマウスを用いる研究を行う。 |
(1) 記憶学習機構研究
| 記憶学習の脳のメカニズムの解明を目標に、脳の神経回路網におけるシナプス可塑性とその動態を研究し、燐酸化受容体の免疫抗体による標識その他の方法により、記憶痕跡の視覚化を行う。グループディレクターを兼務。 |
| 前東京大学文学部教授(1937年2月11日生、60才) 医学博士、文学博士、専門は神経生理学、心理学 |
| 様々な精神障害の中核をなす情動の発現機構に迫るために、ノックアウトマウスの行動異常や幼若時の経験によって発現する遺伝子の研究を様々な手法を用いて研究する。 |
(1) 認知機能表現研究
| 前理化学研究所情報科学研究室主任研究員(1951年2月9日生、46才) 医学博士、専門は神経科学 グループディレクター兼務 |
| 無麻酔で課題遂行中の実験動物からの微小電極法計測や、ヒトのfMRI等の非侵襲計測法により大脳皮質連合領域内での機能分化、部位間の相互作用、それぞれの部位を支える機能構造を調べ、高次脳機能のメカニズムの解明を行う。 |
| 前理化学研究所国際フロンティア研究システム脳統合機能研究チームリーダー(1959年7月8日生、38才) 工学博士、専門は生物工学 |
| 物の見える仕組みの解明を神経回路レベルで理解することを目指している。そのためには視覚関連領野における機能と構造の関係を明らかにすることが必要である。電気生理学的研究や解剖学的研究に加え、光計測技術を導入し発展させることによってその解明を行う。 |
| 脳を守る研究領域 |
【発生・分化研究グループ】
(1) 神経発生生物学研究
| 理化学研究所分子神経生物学研究室主任研究員(東京大学医科学研究所教授兼務)(1945年3月3日生、52才) 医学博士、専門は分子生物学 |
| 神経誘導の制御因子や位置情報を決定する因子を手がかりに、脳神経系の成り立ちを分子レベルから、明らかにする。またカルシウムに着目して神経系の多様性と特異性を産み出すメカニズムの解明を目す。たった1個の細胞である受精卵から神経板を経て複雑な機能を持つ脳がいかに分化・形成されていくか、そのメカニズムを解明して脳の疾患研究への基礎をつくることを目指す。グループディレクター兼務。 |
| 東京大学大学院医学系研究科助教授(1951年10月8日生、45才) 医学博士、専門は分子生物学 遺伝子の中にCAGという塩基の配列の繰り返しが存在する一群の疾患(ハンチントン病や脊髄小脳変性症など)に共通に見られるポリグルタミンが、それぞれの疾患に特徴的な部位の神経細胞をどのように 障害するのかという疾患メカニズムの解明と治療法の開発に迫る。グループディレクター兼務。 |
| 米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部助教授(1960年8月1日生、37才)医学博士、専門は分子遺伝学
精神神経疾患、とくにある種のてんかんやウイリアムス症候群、ダウン症候群等の原因遺伝子の単離およびその機能の解明の開発を目指します。ダウン症候群で三倍体となっている21染色体から分離されたDS-CAMと精神遅滞の発症の関連の研究も進める。 |
| (株)三菱化学生命科学研究所主任研究員(1954年11月29日生、42才) 理学博士、専門は分子生物学 アルツハイマ−病の患者に特徴的な細胞外のアミロイドの沈着と、細胞骨格蛋白であるタウ蛋白が過剰なリン酸化を受けている神経原線維変化を手がかりに、神経細胞の脱落の機構に迫ります。その機構の解明からアルツハイマー病の病態に迫ると共に、治療法や予防法の可能性を検討する。 |
| 脳を創る研究領域 |
【脳型デバイス研究グループ】
| 通商産業省工業技術院電子技術総合研究所首席研究官(1940年11月24日生、56才)
理学博士、専門は生物物理学 ここでは脳が情報処理の仕方(アルゴリズム)を自動獲得する戦略(ブレインウェア)の一つである学習 制御性を、ラット脳海馬とその周辺領野を対象に光イメージング計測などの手法により細胞および細胞下レベルで解明する。さらに、これらの知見を脳型コンピュータ開発に結びつけるため、海馬とその周辺領野の3次元神経回路の再構成を行いモデルを作成する。グループディレクターを兼務。 |
| 通商産業省工業技術院電子技術総合研究所主任研究官(1958年4月26日生、39才)
工学博士、専門は電子工学 |
【脳型情報システム研究グループ 】
グループディレクター:
| 理化学研究所国際フロンティア研究システム情報処理研究グループディレクター(1936年1月3日生、61才) 工学博士、専門は数理工学 |
| 理化学研究所国際フロンティア研究システム知能実現研究チームリーダー(1947年8月8日生、50才) Ph. D.、専門はシステム情報工学 |
| 理化学研究所国際フロンティア研究システム脳回路モデル研究チームリーダー(1957年12月29日生、39才) 理学博士、専門は理論物理学 |
グループディレクター:
| 北海道大学副学長(1934年1月1日生、63才) 獣医学博士、専門は獣医学 |
| 理化学研究所国際フロンティア研究システム脳機能構造研究チームリーダー(1949年6月29日生、48才) 医学博士、専門は神経科学 |