| □ プレス発表情報一覧 □ |
1.背景
ヒトは、約10万種類の遺伝子を有しており、これらの働きにより全ての生命活動が営まれていると考えられる。これらの遺伝子は、発現する多種のタンパクを介して、非常に複雑な相互作用(多遺伝子間の相互作用)をしている。生命活動のもととなるこれらの遺伝子の相互作用等全体的な機能(ゲノム機能)解明のためには、その基本要素である遺伝子の本体(塩基配列、コードされるアミノ酸配列、ゲノム上の位置等)を知る必要がある。しかし、既存の手段では遺伝子本体を解析することに非常な労力が必要である。
そこで、遺伝子・ゲノム機能をシステマティックに解析する手法が望まれている。
2.計画の概要
| (1) | ライフサイエンス筑波研究センターではゲノム科学研究室(林崎良英主任研究員)が主体となり、ゲノム機能の解析を目指して、平成8年度から「汎遺伝子機能探索計画」を進めている。
本計画の当面のねらいは、ヒトの疾病原因等となる遺伝子を迅速に効率良く解明するため、完全な遺伝子の抽出とその遺伝子のゲノム上の位置を決定した、遺伝子高速探索システム(遺伝子エンサイクロペディア)を構築するものである。 |
| (2) | 本計画を進めるために計画している具体的な手法は、次のとおり。
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| 注) | マウスを用いる理由 |
| マウスの遺伝子はヒトの遺伝子とほぼ共通であり、倫理上、ヒトからの採取ができない多くの遺伝子がマウスからは取れ、交配実験や人為的な遺伝子操作が可能であり、マウスの遺伝子から極めて短期間にヒトの遺伝子が取れることから、マウスを通じてヒトの遺伝子機能を解明するもの。
この方法を採ることにより、医療の重要課題である糖尿病、高血圧、動脈硬化、ガン等の多因子遺伝病の解明や、ヒトゲノムの統合的解明が初めて可能となる。 | |
| (3) | 本計画を実行するためには、総計数千万回に及ぶ塩基配列決定のための作業を実施する必要があるが、そのためのネックがいくつかある。その一つは、塩基配列決定のための試料調製である。実験に必要な多数の試料をいかに迅速に用意するかが大きな課題であった。
今回、その課題を解決した(既に開発したPCR装置と相補的であると同時に相乗的な効果をもつ)。 |
3.開発成果
シーケンス反応を行う試料として1日で4万サンプルのプラスミドを調製する自動システムを開発した。調製されるプラスミドは非常に高純度であり、それを用いて直接シーケンス反応を実施できる。
開発した装置の特徴は、次のとおり。
| (1) | 原理 |
| 解析対象DNAを組込んだプラスミドを含む大腸菌を、プラスミド保持ガラスフィルターとろ過フィルターの2層で構成されるカートリッジ容器に入れ、5種の溶液を各々注入し、カートリッジ下面から吸引ろ過する。その後洗浄等を行い、ガラスフィルターに吸着された純粋なプラスミドを回収する。
(従来法の1例)
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| (2) | 構成 |
| 96サンプルを同時処理可能なプレートを420枚収納する自動供給装置から、順次1枚ずつ 1. 溶菌 2. プラスミドDNAの吸着 3. 不要物のろ過 4. 洗浄及び5. プラスミドDNA回収の各工程に連続供給され、最終的に自動収納装置に入れ、次の反応過程に回す。 | |
| (3) | 性能 |
4.今後の展開
大量の塩基配列を決定する手法を中心とした高速DNA解析のためには、材料調製、塩基配列決定を含め、数多くのステップが存在する。今回のシステムは、その1段階を飛躍的に効率化したものである。理研においては完全長cDNAの合成法、新しい反応系の開発等新世代高速DNA解析センターを実現するため、独自技術の開発(特許出願中)を行っている。
今後は、本システムを含めた各ステップの改良及び大容量シーケンサーシステムの開発も引続き実施し、全体システムの能力アップを進める予定である。
(問合せ先)
〒305 つくば市高野台−1−1
理化学研究所ライフサイエンス筑波研究センター
ゲノム科学研究室 林崎良英主任研究員 0298−36−9145
(報道担当:理化学研究所広報室
越間、佃、吉垣 048−467−9270)
上及び右は開発した装置
の全体(除ポンプ)
左側はサンプル自動
供給・回収部分であ
り、中央部がプラス
ミド調製部分、右側
は制御部分
(参考)
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| DNA断片 ライブラリー |
→ | DNAの増加 | → | シーケンス用 DNA調整 |
→ | シーケンス反応 | → | シーケンス (DNAの塩基配列決定) |
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