理研神戸研究所 発生・再生科学総合研究センター 光学イメージング解析ユニットの清末(きよすえ)優子ユニットリーダーらは、細胞内の物質輸送に関わる微小管を25nm(1ナノメートル=10億分の1m)の分解能で観察することに成功した。新たな抗がん剤の開発につながると期待される。オランダ・ユトレヒト大学、米国・リーハイ大学との共同研究による成果。
細胞が、ほかの細胞と協調しながら細胞内外の情報を伝え合ったり、その形状や活動を決めるには、細胞の中の「細胞骨格」の働きが重要である。細胞骨格は、異なる機能を持つ複数の構造体で形成されており、中でも微小管は物質輸送のレールとして機能し、病気に関わる多くの物質も微小管を伝って運ばれる。しかし、従来の光学顕微鏡の分解能は200nmが限界だったため、直径25nmの微小管の構造を細胞内で詳細に調べることはできなかった。
今回、研究グループは分解能100nmレベルの超解像顕微鏡と画像解析手法を組み合わせ、25nmの分解能を達成。この手法で微小管の先端構造を解析したところ、これまで最先端に結合すると考えられていたタンパク質「EB1」より100nm以上先端に、がん細胞で多く現れるタンパク質「ch-TOG」が結合することを発見した(図右)。さらに、この二つのタンパク質の役割分担の解明にも成功した。
微小管は細胞の増殖に必須なため、その阻害剤は抗がん剤に利用されるが、副作用の強さや薬剤耐性細胞の出現などの問題があった。今後、微小管の特定の部位を標的とした副作用が低い抗がん剤の開発などへの応用が期待される。
※ 本研究は、総合科学技術会議の「最先端・次世代研究開発支援プログラム」により日本学術振興会を通して助成された「形態形成における微小管細胞骨格の役割の解析」と、上原記念生命科学財団により助成された「微小管プラス端動態制御因子群の機能解剖」などの一環として行われた。
●『PLOS ONE』(12月12日)掲載


