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理研ゲノム医科学研究センター 呼吸器疾患研究チームの玉利真由美チームリーダーと広田朝光(ともみつ)研究員らは、日本人のアトピー性皮膚炎患者3328人と非患者1万4992人を対象にゲノム(全遺伝情報)解析を行い、発症に関連する八つのゲノム領域を発見した。今後の臨床研究での仮説立案や難治性のアトピー性皮膚炎の治療薬開発に役立つと期待される。九州大学、慶応義塾大学、東京慈恵会医科大学などとの共同研究による成果。

アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う慢性湿疹の症状を特徴とする病気で、ストレスなどの環境要因だけでなく、遺伝的な要因も発症に関係している。アトピー性皮膚炎治療の主軸である皮膚のバリア保持と抗炎症治療を行っても効果が少ない難治例も存在し、科学的な病態解明や、それに基づく治療法の確立が急務となっている。

研究グループは、「ゲノムワイド関連解析(GWAS(ジーワス))」という手法を使い、アトピー性皮膚炎の発症に関連するゲノム領域の特定を試みた。まず、アトピー性皮膚炎患者1472人と非患者7971人を対象にしたGWASで、候補となる約100ヶ所のゲノム領域を発見。次に、別の患者1856人と非患者7021人を対象に追認解析を行い、これまで見つかっていた七つの領域との関連を確認し、さらに新たに八つのゲノム領域の特定に成功した。それらのゲノム領域には、皮膚のバリア保持に関わる遺伝子や、感染や炎症で働く免疫関連の遺伝子が多数含まれており、それらの病態における重要性が示された。また、気管支ぜんそくと共通の関連領域が存在することも分かった。今回の解析には文部科学省委託事業「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」などから提供されたDNA試料を使用した。

『Nature Genetics』オンライン版(10月7日)掲載