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有機分子と金属元素を
組み合わせて、新たな化学を切り拓く 内山真伸 |
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発光ダイオード(LED)や燃料電池などの新材料からものづくりの 基礎に至るまで、化学は私たちの現代社会を陰に日なたに支えている。 しかし、これらの最新技術・省エネルギー技術の多くには、 レアメタル(希少金属)や貴金属が使われている。 これらの金属ならではの素晴らしい機能であるが、 資源の乏しい日本にとって、高価な金属の輸入はできるだけ避けたい。 「約15年前から、どこにでもある金属(ベースメタル)、 特に亜鉛の研究を始めました。当時、亜鉛に注目している化学者は ほとんどいませんでした」。こう語る内山真伸 准主任研究員は、 亜鉛のようなありふれた金属と有機物を 組み合わせることで、高価な金属と同じような機能を持つ分子や、 まったく新しい反応を引き起こす分子を生み出して、 社会に貢献しようとしている。 |
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誰もやらないことに挑戦したい
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「高校3年生の冬、それまで元気だった祖母が突然の病に倒れ、間もなく“あと1週間の命”と告げられました」。内山真伸 准主任研究員は、研究者を志すきっかけとなった出来事をこう振り返る。「“これはとても症例の少ない病気です。この病気に治療薬はないんです。製薬会社は患者さんの少ない病気の治療薬は採算がとれないのでつくりませんから”と医者に言われました。すごく悔しかったのを覚えています。それならせめて自分くらいは、少数を助ける研究者になりたい。誰もやらないことに挑戦して社会に貢献する研究者になりたいと思いました」こうして薬学部に進学した内山准主任研究員は、化学系の研究室に進んだ。「生命現象に興味があったので、最初は生物系の研究室に行こうと思っていました。しかし考えが変わりました。生命現象を理解するには化学が絶対に必要になると思ったからです。そして“合成化学(ものづくり)”とともに、分子や電子の状態を光で探る“分光学”や計算機を使った“計算化学・理論化学”を志しました。当時、薬学部ではほとんど用いられていなかった手法です。しかしタンパク質や遺伝子レベルで見ている生命現象を水素や炭素、電子といったさらに小さなレベルで見て、化学を使って生命現象を解明できる時代がきっとやって来ると思ったのです」 |
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“野菜並み”の安価な金属
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1995年、内山准主任研究員は、東北大学の化学系の研究室で助手のポジションを得た。「その研究室は立ち上がったばかりで研究費が少なく、高価なレアメタルや貴金属は使えませんでした。“亜鉛のような安くてどこにでもある金属を使った研究を”と言われました。ところが当時、どこにでもある金属に新しい機能は期待できないと考えられていたため、亜鉛に注目している化学者はほとんどいませんでした。しかし私は薬学部の授業で、亜鉛が生体の中のいろいろなところで働いていることを学んでいました。助手としての研究生活は、ほかの人が使わない亜鉛を用いた化学反応の開発を表看板に、 “どうして生体内では、どこにでもあるぱっとしない亜鉛が必要なんだろう”という疑問の解明から始まりました」
亜鉛は生体に欠かせない必須金属であり、鉄に次いで2番目に体内含有量が多く、体重70kgのヒトには平均2.3g含まれている。亜鉛などの必須金属はタンパク質と結び付いて、生体内の化学反応を促進する触媒の役割を果たす酵素として重要な働きをしている。「生体内では、鉄や亜鉛、コバルトなど、わずか7種の金属を使って生命現象を支えるさまざまな化学反応を引き起こしています。それらの金属は安くて安全、どこにでもあるものばかりです」 一方、現在のハイテク機器には、レアメタルや貴金属が数多く使われている。例えば省エネルギーの切り札の一つとして期待されている燃料電池には、触媒として白金が必要だ。「白金の重量当たりの単価は“ジェット戦闘機並み”です。一方、生体で使われている金属の多くは“野菜並み”に安いんです」。レアメタルや貴金属は高価なだけでなく、資源枯渇が心配されているものが多い。そこで、レアメタルや貴金属に代わる新しい分子を開発する“元素戦略”が国家プロジェクトとして始まった。 「最近になって“野菜並み”に安価で、ありふれた金属の機能を引き出す研究に急に注目が集まり始めたのです」
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有機分子と金属元素を組み合わせる
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どのようにして、ありふれた金属の機能を引き出すのか。「生体の中で触媒として働く酵素は、タンパク質などの有機物と金属の両方の機能を組み合わせた“ハイブリッド手法”により、さまざまな化学反応を引き起こしています」
内山准主任研究員たちは、酵素の仕組みに学び、異なる2種類の金属と有機物を組み合わせたハイブリッド分子(アート錯体)に注目して研究を進めてきた。研究手法の3本柱は、合成化学、分光学、計算化学だ。「生体内の化学を垣間見ようとすると、手元に取り出すことができないものばかりです。そのため、光を使って物質の本質を探る“分光学”と、計算機によって分子や電子の振る舞いを正確に見積もる“計算化学”は、大変心強い武器となります(図1)」 内山准主任研究員たちは計算化学を使って、亜鉛とリチウムを四つの有機物で囲むと、新しい機能が現れる可能性があると予測した(記事冒頭の図)。「その分子は、中心にある金属が有機物にすっぽり覆われています。今までにない形の分子です。きっと何かが起きるに違いないと、その分子を合成してみることにしました」 そして合成したその分子を触媒として使うことで、新しい機能を持ったポリマー(重合体)が生み出された。ポリマーは複数のモノマー(単量体)を長くつなぎ合わせてつくる。この新しいポリマーは、主鎖に水に溶けない疎水性有機物、側鎖に水に溶ける親水性有機物を組み込んだユニークな構造で、31℃を境に親水性と疎水性が切り替わる性質を持つ(記事冒頭の図)。このポリマーは現在、バイオテクノロジーをはじめとするさまざまな分野から注目されている。 「このような性質を持つポリマーを、1段階でクリーンに合成する方法は今まで存在しませんでした」。これまでの触媒は反応性が高過ぎるため、モノマーの必要のない部分まで活性化させてしまう。このため不要な部分の活性化を抑える“保護基”を付けて反応を進め、後から保護基を外す必要があった。しかし、千〜万単位のモノマーを長くつなげる場合、すべての保護基を外すことが難しいという問題があった。 内山准主任研究員たちが亜鉛や有機物を組み合わせてつくった新しい分子は、保護基を使わずにモノマーの特定の部分だけを活性化させてつなぎ合わせることができる。しかも従来の方法では毒性のある有機溶媒を使っていたが、その必要がない上、水の中で合成反応が効率よく進む。「試験管の中とは違い、生体の細胞中では水の中にたくさんの種類の分子が存在しています。さまざまな分子を活性化させてしまう酵素は、生体にとっては危険です。ある条件がそろったときにだけ、特定の分子の、特定の部分に働き掛けて、必要なものだけを間違いなくつくることができる酵素が、生体には必要です。私たちがつくり出した分子は、まさに酵素のような働き方をするのです」 これまでの化学では、多種多様な分子(官能基)を強力に活性化させる“反応性が高い”触媒をつくることが目標とされてきた。しかしそのような触媒を使った化学反応では、温度などのコントロールを誤ると反応が激しく進み過ぎ、火災事故などが発生する危険性がある。また、有害な副産物が発生したり、多くのエネルギーが必要であったりする。「これからの社会には、酵素のように、ある条件がそろったときにのみ、ある特定の反応だけを進める、“高い選択性を持つ”触媒が必要だと考えられます」 ![]() |
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患部に亜鉛を直接取り込ませる
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内山准主任研究員たちは、亜鉛を病気の治療薬として用いる研究も進めている。亜鉛の欠乏はさまざまな病気の原因となることが知られており、例えば亜鉛が不足すると味を感知する舌の器官がうまく働かなくなる。「風邪にかかると味が分からなくなることがありますよね。それは、風邪で食欲がなくなり亜鉛の摂取が不足するからだと考えられます」
肝炎や緑内障、皮膚がんの治療にも、亜鉛が有効だ。「しかし、生体内の患部に亜鉛のような金属を直接取り込ませる研究は、今まで誰も行ってきませんでした。亜鉛は、無機物であり、イオン性を持っていますから、脂溶性の私たちの体にはとても入りにくいのです。しかし、亜鉛を有機物で囲むことで、点眼液や軟こうの形で亜鉛を患部に効率的に取り込める薬を開発したいと考えています」 |
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青い花の秘密に迫る
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農学系の研究者が青い花から抽出した成分の中から、内山准主任研究員たちはある分子に着目した(図2)。分光学を使ってその分子を調べてみると、オレンジ色の光を吸収することが分かった。太陽光からオレンジ色の光を取り除くと、きれいな青色になる。その分子が花の青色を生み出しているのだ。 では、なぜその分子はオレンジ色の光を吸収するのか。「この分子は、1個の金属の周りに6個の有機分子が風車のように重なり合って付いています。計算機の中でこの分子をばらばらにして、有機分子1個や金属だけにして光の吸収の仕方を調べたところ、オレンジ色の光を吸収しないことが分かりました。金属に結び付いた有機分子が花びらのようにうまく重なり合うことで、初めてオレンジ色の光を吸収して、きれいな青色を生み出していたのです」 光合成をつかさどる葉緑体には、光を効率よく吸収する色素分子が含まれている。その色素分子は、18個の平らな分子がわずかに重なり合って大きな円形の分子をつくっている(図3)。「化学合成により、類似の平らな分子同士を“わずかに重ねて”結び付けてみました。するとより波長の長い光を吸収できるようになりました。この色素分子も、平らな分子がうまく重なり合うことで、短い波長から長い波長まで光を効率よく吸収することができるのです。このように天然分子の機能メカニズムを化学的に解明できれば、さらにそのメカニズムを改変して、新しい機能を持つ分子をデザインすることも可能となります」 |
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機能を電子から探る
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「亜鉛の研究を始めたとき、研究発表の場はいつも閑古鳥(かんこどり)が鳴く状態で、誰も理解どころか興味さえ示してくれませんでした。しかし、誰もやらない研究、みんながうまくいかないと思っている研究をしているときが、一番楽しいんです」
こう語る内山准主任研究員のモットーは、「記録より記憶に残る研究者でありたい」だ。「流行のテーマを研究していれば論文はたくさん書けます。このようなテーマは、自分がやらなくともきっと誰かが解決してくれるでしょう。しかし自分はあえて、日の当たりにくい、すぐには成果が見えない少数派の研究に、積極的に挑戦していきたいと考えています。その一つが基礎化学研究です。独創的な基礎化学を自らの手で確立し、その化学を取り巻くすべての研究領域にまで、自分の好奇心に忠実に従って研究を進めていきたいと思います」 その好奇心の一つに、元素の機能の謎がある。「ある元素がなぜ特有の機能を示すのか、化学はまだ解明できていません」。物質の化学的な機能は物質中の電子状態によると考えられる。「例えば有機物と金属を組み合わせて、新しい機能を持つ分子をつくることができるのは、有機物から金属に電子が流れ込み、電子状態が変わるからだと考えられます。しかし、銅と亜鉛のように同じような電子状態の元素でも、機能が異なります。私は合成化学や分光学、計算化学を駆使して、元素の機能を電子状態から解明したいと思います。それは生命現象を分子や原子、電子のレベルで理解することにもつながります」 化学の根源を掘り下げる基礎研究を通して、未来の社会を支える新しい機能を持つ分子や、これまで着手されることのなかった症例の少ない病気の治療薬を生み出す、まったく新しい元素の化学が拓かれようとしている。■
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関連情報
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研究室のホームページ http://www.riken.jp/genso_kagaku/index.html
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神経回路を解きほぐす
細谷俊彦 |
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脳には1000億個を超える神経細胞があり、その神経細胞から出た 樹状突起や軸索によってつながり合い、とても複雑な 神経回路をつくっている。脳全体の樹状突起や軸索をつなげると、 10万kmにもなるという。細谷俊彦ユニットリーダーは、 その神経回路がどのようにつながり、どのような情報処理を 行っているのかを明らかにしようとしている。巨大で複雑な 神経回路をいったいどのように解きほぐしていくのか、 細谷ユニットリーダーの研究を紹介しよう。 |
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「学生のときに夢見ていたことが、ようやく始められそうです」。細谷俊彦ユニットリーダー(UL)は、とても楽しそうだ。東京大学理学部物理学科の学生だった細谷ULは、“何を研究しようか、脳はどうか”、そんなことを漠然と考えていた。そして、ある日の授業でのこと。「“ショウジョウバエの脳には同じような形をした神経細胞が並んでいるが、遺伝子の発現を調べると細胞ごとに異なっている。神経細胞にはたくさんの種類があり、それぞれに個性を持ち、それらがある規則性を持って並んでいる”と、堀田凱樹(よしき)先生(現 情報・システム研究機構 機構長)がデータを示しながらおっしゃったのです。それまでの知識から、神経回路は基本的に非常に複雑で手が付けられないものと思い込んでいたので、大きな衝撃を受けました。そして、将来は遺伝子工学を使って神経細胞の種類を見分け、複雑な神経回路を解きほぐし、どういう情報処理をしているか分かるようになるに違いない。それをやりたい、と思ったのです」 |
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網膜の神経回路から脳を見る
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ヒトの脳には1000億個を超える神経細胞がある。細胞体からは、木の枝のように何本にも分岐した樹状突起と1本の長い軸索が伸び、別の神経細胞と結び付いて神経回路をつくっている。神経細胞は、外部からの刺激を受け取ると電気信号を出す。その電気信号が軸索を通って次の神経細胞に伝わることで、情報が伝達されていく。「脳の神経回路は非常に大きく複雑です。それを最初から相手にするのは困難です」。そう語る細谷ULがまず取った戦略は、“小さくて、まとまったことをやっている神経回路を徹底的に調べる”というものである。その神経回路の仕組みと情報処理の方法を明らかにし、その中から大きな神経回路にも適用できる共通原理を探り出そうというのだ。
小さくて、まとまった情報処理をしている神経回路。その条件にぴったりなのが、網膜だ。眼球の背面にある網膜は神経系の一部で、外界から入ってきた光を情報として受け取り、その情報が視神経を通じて脳へと伝えられる。「眼球を取り出して軽くたたくと、網膜が簡単にはがれるんです。入力から出力までセットになった神経回路を、傷付けずにそのまま取り出すことができます」と細谷UL。取り出した網膜を電極の上に置いて画像や明暗のパターンなどを映して刺激すれば、どの入力があったときに神経細胞がどのように応答し、どのような情報が脳へ伝えられるのかを調べることができる(図1)。細谷ULは、研究材料としての歴史が古く、神経細胞が大きく扱いやすいことから、サンショウウオの網膜を使っている。 網膜の場合、それを刺激する画像や明暗のパターンをコンピュータで自由につくり出すことができるという利点もある。「しかし、やみくもに試していたのでは、切りがありません。そこで私は、実験計画を立てるに当たって情報処理の理論からヒントをもらっています」と細谷UL。「情報処理では、“こうしたらデータの質を落とすことなく効率的に処理できる”という確立した理論がいくつもあります。神経回路もそれと同じことをしているのではないか。裏付けのある仮説を立てて、実験をするのです」 例えば、画像を記録する場合、点1個1個の情報を入力しようとするとデータ量が膨大になる。しかも、隣り合った点の明るさはとても似ているため、伝えられるデータの大半が同じような情報を記録するために使われてしまう。これでは無駄が多過ぎる。そこで、隣り合った点の明るさの差だけを記録することで、必要なデータ量を減らし、効率的な情報処理を実現している。「網膜も、隣り合った点の明るさの差を抽出し、その情報を脳に伝えていることが、以前から知られています。神経回路を有効に使う工夫をしているのです。神経回路には、情報処理理論との共通点がほかにもあるはずです」 細谷ULは、米国ハーバード大学のMarkus Meister(マーカス マイスター)教授の研究室在籍中に、網膜は画像の性質によって情報処理のルールを変えていることを明らかにした。例えば、縦じまの場合、縦方向には似た明るさが続き、この情報をそのまま伝えるのは無駄である。そのため、横方向の明るさの差に重点を置いた方が効率的だ。横じまの場合は逆。実際、網膜は、画像の性質に応じてルールを変え、効率的な情報処理をしていることが分かった。「動画のデータを圧縮するとき、物が右から左へ動くか、上から下へ動くかで情報処理のルールを変えています。そうすると、画質を落とさずにデータ量を少なくできます。網膜も同じことをやっているのではないかと考えたのです」 情報処理理論にヒントをもらう手法は、Meister教授に学んだ。「彼は、心理学からもヒントを得て、網膜を使って神経回路の情報処理について新しい概念を次々に見つけています。“人の頭をバーンとたたくようなことをやれ”が口癖。つまり、誰も思い付かないようなことをやれというのです。彼からは多くのことを学びました」
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正確な発火パターンによる情報伝達
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日本に戻ってきた細谷ULは、2003年、理研脳科学総合研究センター(BSI)で研究ユニットを立ち上げた。研究の柱の一つは、引き続き、網膜を使って神経回路一般に重要な仕組みを明らかにすることだ。
「1個の神経細胞は普通、一つの情報を伝えていると考えられてきました。しかし、それではもったいないと思いませんか」と細谷ULは言う。「一つの信号に複数の情報を載せた方が、より効率的に情報を伝えることができるでしょう。これも情報処理理論の基本です」 そこで細谷ULは、網膜の神経細胞がどのような情報を伝えているかを詳しく調べてみることにした。使ったのは、暗くなったときに“発火”する(電気信号を出す)「OFF応答神経細胞」だ。まず、明暗が変化する映像を使って網膜に繰り返し同じ刺激を与え、OFF応答神経細胞の発火のタイミングを調べた。以前は、網膜の神経細胞の反応には時間的なゆらぎが大きく、同じ刺激を与えても発火のタイミングはそのたびに違うと考えられていた。ところが近年になって、同じ刺激に対しては時間的に再現性よく発火することが分かってきた。細谷ULの実験でも、同じ刺激に対して各回の発火のタイミングは1000分の数秒ほどしかずれていなかった。「これはとても面白い性質です」と細谷UL。「網膜の神経細胞が同じ刺激に対して再現性よく発火することが分かったことで、発火がどういう情報を伝えているのかを解析しやすくなりました」 網膜のOFF応答神経細胞は、入力画像が少し暗くなる場合は1回、もっと暗くなる場合は2回、さらに暗くなる場合は3回というように、暗くなるほど発火の回数が増える。「“どのくらい暗くなったか”という刺激の強さによって発火回数が変わることは、以前から知られていました。ところが、詳しく調べてみると、発火の回数だけでなく、時間間隔もとても正確です(図2)。何か情報を担っていそうですよね」 細谷ULはこう考えている。「神経細胞は発火の時間パターンによって、“どのくらい暗くなったか”だけでなく、“どのように暗くなったか”という情報も伝えているのかもしれません」。正確な発火パターンが網膜から視神経を通じて脳に送られていくことも確認されている。従来の常識を覆し、1個の神経細胞が正確な発火パターンによって複数の情報を伝えていることが示されるかもしれない。 ![]() |
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大脳皮質の回路構造を探索
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遺伝子工学を使って、これまで複雑で手が出なかった神経回路を解きほぐす──これが、研究ユニットのもう一つの柱である。「ターゲットは、進化的に最も新しく、最も高次なことをつかさどっているほ乳類の大脳皮質。これは、とてもエキサイティングな挑戦です」しかし、複雑さを極める大脳皮質の神経回路にどう手を付けるのか。大脳皮質は大脳の表面を覆う細胞のシートで、場所ごとに働きが違い、視覚野、聴覚野、運動野、そして各領野からの情報を統合して高度な処理を行う連合野などに分かれている。いずれの場所でも厚さは2mmほどで、さまざまな種類の神経細胞が、基本的には六つの層に積み重なった構造をしている(記事冒頭の図)。「大脳皮質の神経細胞は種類が非常に多く結合の仕方も複雑で、回路の詳しい構造はほとんどが謎です。しかし一方で、似た機能を持つ細胞はしばしば縦に並んで細いカラムをつくり、このようなカラムが多数並んでいることが報告されています。このことは、大脳皮質の回路に繰り返し構造があるかもしれないことを示唆しています」と細谷UL。「そうだとしたら、巨大な神経回路を相手にしなくても、繰り返しの1単位を徹底的に研究して解きほぐすことで、大脳皮質全体についても理解できるかもしれません」 そして細谷ULは、写真(図3)を示した。「私たちは、マウスの大脳皮質で、さまざまなタイプの神経細胞がどのように配置しているかを調べています。特定のタイプの細胞で発現している遺伝子のmRNAを可視化し、その詳細な空間分布をコンピュータを用いて解析しています。これまで神経細胞の分布は基本的にランダムではないかと考えられてきましたが、私たちの解析では、これまで知られていなかったさまざまな規則性がある兆候が見えてきています。いろいろな規則性の中でも、特に繰り返し構造がないかと期待して調べています。もしそのような構造があれば、その1単位を徹底的に調べることで大脳皮質全体への理解が深まるはずです」 「最終的には脳の研究を心の解明につなげたい」と細谷ULは言う。「細胞が生物の単位であるように、これが“心の単位”だといえるものを見つけたいですね。そのための研究をしているところです」 学生のときには手を付けられないと思っていた神経回路が、今少しずつほぐれていくのを感じながら研究を進めている。■ ![]()
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一流の事務部門を目指す
理研を日本の研究機関のモデルにしたい |
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「研究機関を発展させるには、 研究・技術・事務の各部門が一体となって取り組むことが重要です」 こう語る大河内 眞(しん) 理事は、1972年に入所以来、 理研の事務や経営に携わってきた。 37年間の経験を踏まえ、理研の目指すべき姿を 大河内理事が提言する。 |
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垣根のないコミュニケーション
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──入所された当時の理研の印象はいかがでしたか。大河内:主な研究拠点は和光だけで、みんなが顔見知り、とてもアットホームな雰囲気でした。当時の研究室は午後3時になると、お茶の時間がありました。そこに事務職員も加わって、研究者や技術者といろいろな話をしました。所内のクラブ活動も盛んで、私は五つのクラブに入っていました。そこでもさまざまな研究室や部署の人と知り合うことができました。 研究・技術・事務の各部門の間に垣根がなく、コミュニケーションがとてもよく取れていましたね。研究者が研究に専念できる最高の環境をつくることを常に考え、研究者が困っているときには一緒になって解決を図り、良い成果が出たときには共に喜ぶ。そういった伝統が理研の事務にはありました。そういう伝統があったので、研究者や技術者も事務職員を頼りにしてくれました。 ──理研の事務職員は研究をよく理解し、面白がって応援してくれるという声を研究者からしばしば聞きます。 大河内:例えば、私が入所したときの直属の上司は文系出身だったのですが、理研のあらゆる研究について本当によく知っていました。ある装置の開発では研究者と一緒に悩み、アイデアを出していたくらいです。 私も文系の出身なので、理研に入ったときには知らない言葉ばかり。理化学辞典や生物学辞典を机に置いて、時間を見つけては読んでいました。加速器って何だろう、というところから勉強を始めました。 やはり、事務職員にとって最もやりがいを感じるのは、自分たちがサポートしてきた研究者が素晴らしい成果を出してくれたときです。例えば最近では、森田浩介 准主任研究員(理研仁科加速器研究センター)たちの113番元素の発見。夜8時ごろ、森田さんから「見つかった!」という電話が事務にかかってきたそうです。私は帰宅途中だったのですが、引き返してみんなでお祝いしました。 ──研究者が一段上で事務は仕えるような関係、逆に事務が研究者を管理するような関係になっている大学や研究機関もあると聞きます。理研ではなぜ、研究と事務の間に垣根のない関係が築けたのですか。 大河内:かつての理研は定年制の職員ばかりで、理研への帰属意識、愛着が強かったのだと思います。理研はどうあるべきか、会議でも就業後のお酒の場でも、研究者や技術者と事務職員が一緒になってよく議論をしたものです。 しかし最近は、理研への愛着や、研究者と一緒になって理研を良くしていこうという意欲が少し弱くなっている気がします。1990年代後半以降、さまざまなセンターを設立し、播磨や横浜、神戸に新しい研究拠点が次々とできました。規模の拡大に事務体制が追い付いていないことが原因でしょう。政府の方針により定年制の職員を増やせないため、任期制職員や派遣職員を急激に増やしました。みんなよくやってきたと思いますが、目の前の業務をこなすのに精いっぱいです。 ──研究と事務との関係も変わってきたのでしょうか。 大河内:コミュニケーションが不足していると思います。例えば、2002年に神戸研究所ができたとき私は初代の研究推進部長として赴任しましたが、数人の研究者から「事務は味方だと思っていません」と言われました。理研発生・再生科学総合研究センターが2000年に設立されてから、建物が完成し研究室が一堂に会して神戸研究所がスタートするまで、事務部門と研究者のコミュニケーションがよくなかったため、研究者が不信感を持ったのでしょう。 ──どのように不信感を取り除いていったのですか。 大河内:各研究室を回ってコミュニケーションを深め、研究者が困っているときには一緒になって解決を図るという、理研の事務の伝統を実践したのです。例えば、大学院生をチームリーダーに迎えたいという強い要望がありましたが、採用した前例がなく、実現は難しいという問題がありました。そのときその方は製薬会社の研究チームのリーダーも務めていました。企業にできてなぜ理研にできないのか。企業の研究チームのリーダーであることを前面に押し出して採用することができました。新しい研究所で前例のない新しいことを取り入れ理研全体に広める。神戸から理研を変革しようという気持ちでした。 |
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第四の部門をつくり理研を活性化する
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──2003年、理研は独立行政法人として新しいスタートを切りました。大河内:野依良治理事長は就任直後、私に「理研の研究は一流だが、事務はいまひとつ。しかしほかに比べると活気があっていい。理研なら私の想いが実現できそうだ」と語りました。 ──事務も一流といわれるには何が必要ですか。 大河内:大切なことは理研の事務で働くすべての人を対象に、意欲のある人、できる人をきちんと処遇してモチベーションを高めることです。派遣で来ている意欲のある人が任期制の職員になれたり、優秀な任期制の職員に定年制と同じように長期間、理研で活躍してもらえるルートをつくる必要があります。 これまで事務職員にはさまざまな部署を経験させ、ゼネラリスト(総合職)となるように育ててきましたが、専門知識を持った人をきちんと評価して、スペシャリスト(専門職)として活躍してもらう道もつくるべきだと思います。一つの研究拠点に長く勤め、その研究拠点のことなら何でも知っているという人がいてもいいでしょう。とにかく、研究者が困っているときに、頼りになる事務が必要です。 ただし、独立行政法人になって評価・調査・報告などの業務が飛躍的に増えました。IT化や業務委託により効率化を図り、一人ひとりの事務職員が研究者や技術者とコミュニケーションを深め、理研はどうあるべきか、考える時間をつくれるようにする必要があります。 さらに理研には、研究・技術・事務に次ぐ第四の部門が必要だと私は考えています。 ──どのような役割の部門ですか。 大河内:例えば、“神戸のこのチームと和光のこの研究室、さらにあの大学と連携すれば、もっと研究が発展しそうだ”“この技術をあの分野で使えば実用化できるはずだ”などとアドバイスをします。スタッフは研究者や技術者出身、大学や企業出身、メディアや行政、理研の事務出身など、国籍を含めて多様な人材を集め、研究と事務の間に立って連携や活性化戦略を幅広く検討する部門です。現在、知的財産戦略センターがその役割を果たしていますが、もっと連携戦略部門を強化する必要があります。 かつて理研の主任研究員として活躍した掘越弘毅先生が発見した「アルカリセルラーゼ」という酵素を使って、花王(株)が「アタック」という洗剤をつくり大ヒットしました。その酵素を洗剤に使えると見抜いたのは花王の人たちです。理研の中で理研の研究成果の可能性をきちんと見抜いて発展させられるようになれば、理研はもっと社会に貢献できます。 ──どのようになれば、理研の事務は一流といえますか。 大河内:あらゆる面で理研の事務のやり方が外から注目され、一つのモデルとなって日本の研究機関を活性化させ、科学技術や社会の発展に貢献する。そうなったとき、理研の事務は一流だと認められることでしょう。■
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顕微鏡にはさまざまなものがある。目で見える光(可視光)を使った「光学顕微鏡」、可視光の代わりに電子線を用いる「電子顕微鏡」、とがった針の先端と試料表面との間の原子間力を測定して表面の状態を観察する「原子間力顕微鏡」など。最近では波長の短いX線で試料の微細構造を観察する「X線顕微鏡」も使われている。しかし、これらの顕微鏡では、細胞や細胞小器官の内部構造を丸ごと観察することは難しかった。今回、理研放射光科学総合研究センター 石川X線干渉光学研究室と理研基幹研究所 今本細胞核機能研究室は共同で、新しいタイプのX線顕微鏡を開発し、ヒト染色体の内部構造の可視化に成功した。標識や染色処理なしに、染色体の内部構造を丸ごと3次元観察したのは世界初。この成果について、石川X線干渉光学研究室の西野吉則 専任研究員に聞いた。 |
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X線顕微鏡について教えてください。
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西野:X線顕微鏡は、可視光に比べて極めて波長が短いX線を使った顕微鏡で、高い空間分解能で試料を観察できます。X線は透過性に優れているので、厚みのある試料の内部構造の観察に適しています。しかし、細胞や細胞小器官は薄過ぎて、X線がほぼすべて素通りしてしまうため、観察が難しかったのです。また、従来のX線顕微鏡では、性能の良い対物レンズをつくることに技術的な限界がありました。近年、レンズを必要としないX線顕微鏡が開発され、従来の限界を超える手法として、世界的に注目を集めています。X線には波の性質があり、その波の山や谷の位置がそろったコヒーレントなX線を利用します。今回開発したX線顕微鏡もその一つです。
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そのX線顕微鏡では、細胞の内部構造を観察できるのですか。
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西野:はい。開発したX線顕微鏡は、コヒーレントなX線を試料に当て、散乱したX線の分布(コヒーレントX線回折パターン)を計算機を使って独自の方法で処理し、3次元画像を再構成します(図)。レンズの代わりに計算機を使うのです。従来の顕微鏡では、細胞の内部構造を観察するとき、人工的に重い元素を入れて染色したり、蛍光タンパク質で標識をして見やすくしていました。しかし、この方法では染色または標識した構造しか見ることができません。開発したX線顕微鏡は標識などの処理をせずに、X線にとって透明な細胞や細胞小器官を、丸ごと高いコントラストで観察できます。このX線顕微鏡で、高橋幸生客員研究員、前島一博専任研究員らとヒト染色体を観察したところ、試料内部に密度の高い軸状構造があることが分かりました。 |
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染色体のほかにどんなものを観察できますか。
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西野:さまざまな細胞小器官への応用が期待されます。さらに、現在、理研播磨研究所内に建設を進めているX線自由電子レーザー(XFEL)を利用すると、構造解析が難しい膜タンパク質の構造解明への道が拓かれます。膜タンパク質は創薬の鍵を握るため、この構造が分かれば、より効率的な薬の設計が期待されます。
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XFELを使う理由はなんですか。
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西野:今回使った大型放射光施設「SPring-8」から出るX線の空間コヒーレンスは世界最高レベルを誇ります。しかし、その割合は全体の0.1%程度にすぎません。これに比べて、XFELの空間コヒーレンスはほぼ完全なので、開発した顕微鏡に適したX線源です。従来の顕微鏡では試料の放射線損傷が分解能を制限する障壁となってきました。しかし、XFELは時間幅が100フェムト秒以下と極めて短いため、試料が壊れる前に観察することも可能となり、従来の限界を大きく凌駕(りょうが)する分解能が達成できると期待されます。■
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● 本成果は、科学雑誌『Physical Review Letters』(1月9日号)に掲載され、図が表紙を飾った。また、同誌編集者が他分野の研究者に閲読を推奨するEditors’ Suggestionsにも選定されたほか、『Nature』、『Physics Today』、朝日新聞など国内外の多数のメディアに取り上げられた。
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理研植物科学研究センター 機能開発研究グループの明賀史純(みょうが ふみよし)研究員らが、植物にとって有害な活性酸素の除去に重要な二つの遺伝子を発見した。東京大学、静岡大学、日本女子大学などとの共同研究による成果。 強い光、乾燥、塩、病害虫などのストレスにさらされると、植物の細胞内では活性酸素が発生する。この活性酸素が過剰になると、DNAがダメージを受けたり、タンパク質の酸化や脂質の過酸化が引き起こされ、光合成を担う葉緑体の発達にも障害が生じる。 研究グループは、シロイヌナズナの突然変異体を解析し、葉緑体の発達に必須な二つの遺伝子「FSD2」「FSD3」を発見。この二つの遺伝子の機能を失った植物体は、1.葉の色が薄緑色になる(写真)、2.活性酸素の除去能力が低下する、3.光による酸化ストレスを受けることが分かった。FSD2とFSD3は葉緑体内で複合体を形成し、葉緑体核様体(葉緑体DNAの集合体)とともに局在していた。これらの遺伝子の機能解析を行った結果、この複合体が活性酸素から葉緑体核様体を保護していることが明らかになった。さらに、二つの遺伝子を強く発現させると、活性酸素を発生させる薬剤を使用しても光合成の能力は低下しないことが分かった。 今後の研究により、遺伝子の機能を制御することで、環境ストレスにより発生する活性酸素に耐性を持つ作物の開発へつながると期待される。 ![]() |
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● 『The Plant Cell』オンライン版(11月7日)掲載
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理研放射光科学総合研究センター X線構造解析研究チームの小田俊郎チームリーダーらは、生命維持機能を担うタンパク質の一つ「アクチン」が重合し、数珠状につながってできる「アクチンフィラメント」の構造解析に成功した。 アクチンは真核細胞に最も多く含まれるタンパク質で、遺伝から細胞運動まで広範囲の細胞機能を担っている。このアクチンは、1個1個ばらばらな単量体状態(G-アクチン)と、G-アクチンが重合したフィラメント状態(F-アクチン)の二つの状態を取っている。G-アクチンの結晶構造は1990年に解明されたが、F-アクチンの構造は現在まで、G-アクチンを積み上げただけのモデルが使われていた。今回、研究グループは大型放射光施設SPring-8を用いたX線繊維回折法によりF-アクチンの構造モデルを構築し、それをもとに“アクチンの重合に伴う構造変化は、二つの大きなドメイン(タンパク質を構成する立体構造の単位)が相対的に回転する単純な変化である”という新しいより詳細な構造モデルを提案。今後、原子レベルで、アクチンが担う筋収縮などのメカニズムの解明が進むとともに、細胞内のあらゆる生命現象の研究が飛躍的に加速すると期待される。■ |
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● 本研究は(独)科学技術振興機構(JST)および国立大学法人名古屋大学との共同で行われた。
● 『Nature』(1月22日付オンライン版)掲載。 |
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理研サイエンスセミナー2
第1回「創造の源泉〜生命に意識がやどる瞬間」 書道家・武田双雲×脳科学者・谷 淳 |
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2009年1月22日、今年1回目の「理研サイエンスセミナー2」が、六本木アカデミーヒルズ49スカイスタジオで開催された。このセミナーは、科学に興味はあるがどう踏み込んだらいいのか分からないという人を対象としたトークセッションで、2008年にスタートした。昨年は小説家・平野啓一郎氏が、今回は独自の創作活動で知られる気鋭の若手書道家・武田双雲氏が、研究者と熱く語り合った。会場は100名を超す来場者で満席となり、武田氏と研究者が繰り広げる会話に魅了されていた。 |
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理研脳科学総合研究センター動的認知行動研究チームの谷淳チームリーダー(TL)による研究紹介で幕を開けたサイエンスセミナー。谷TLは、ロボットにいろいろな動作を学習させて、無意識から意識が生まれる仕組みの研究をしている。ロボットにボールを持ち上げる動作を学習させている映像が流れると、まるで子どものような動きをするロボットに、来場者の顔がほころんだ。次は、武田双雲氏による書のパフォーマンス。来場者の一人が持った色紙に、武田氏が文字を書く。2画書き終えたところで、「3画目は谷さんに書いてもらいましょう」。突然の指名に驚く谷TLに、「これは手偏(てへん)( 「手偏って何だか分からなかったんです……」と照れる谷TL。武田氏は「トラブルを苦しいと思うか、楽しいと思うか。僕はチャンスだと感じるんです。予想もしないことが、素晴らしいことにつながる。研究者は失敗を繰り返しながら手探りで研究を進めているチャレンジャー。だから、“挑”という字を書いたんです」と解説し、「谷さんが脳科学の研究を始めた理由が面白いんですよね」と水を向けた。 谷TLは大学卒業後、建設会社で配管設計の仕事に就いた。巨大化学プラントで直径2m、全長10kmのパイプの緊急遮断弁を検査したときのこと。「緊急遮断弁を下ろして流れを止めると大きな圧力がかかり、バンとものすごい音がします。それが10km先に伝わってバンと聞こえる。10秒後に返ってきて、またバン。それが一晩中続き、バン、バン、バババンと、いろいろな音のパターンが現れます。それを聞きながら、“意識や無意識ってこういうことなのかな。脳のことをやりたい”と思ったんです」と谷TL。会場の声を代弁するかのように「普通そんなこと考えるかなあ(笑)」と武田氏。 「ロボットを人間に近づけることで、人間を知ろうとしているんですよね」という武田氏の問い掛けに、谷TLは「どうやって自由意思が出てくるかに興味があります。言われた通りにやるのは機械でもできる。人の脳が面白いのは、Aと言ったのにBをやってしまうとか、自律性、自分勝手なところです。僕のロボットは、まだまだです」。これから研究はどう進むのか?「僕たちがロボットに教えるのは、せいぜい1日に2〜3時間ずつ数週間です。赤ちゃんは、いつも家族と触れ合って何年もかけて多くのことを学び、成長します。ロボットに人間と同じ経験をさせたらどうなるか、それをやってみたい。でも、愛情がないとできませんね」 武田氏が「自分と他人の区別がつかない」と漏らすと、「それは、すごく面白い話なんですよ」と谷TL。「僕とロボットでまねっこゲームをやります。ロボットが僕の動きを正確にまねていると、ロボットが自分の一部のように感じる。でも、ロボットが少し違った動きをすると、他者だと感じる。自分の一部になったりならなかったりするのが、他者なんです」。“共進化”という言葉が好きだという武田氏。「相手の反応があって、自分が生まれる。相互作用し合って共に進化していくって素晴らしいじゃないですか」 「愛情と意識は同じ源から出ているのでしょうか」という来場者からの質問に、谷TLは「意識しない愛もあります。下等動物にも愛はあります。意識はより高次なもので、愛の方が基本だと思います」。続いて、「ロボットに愛をつくり出すことはできるのでしょうか」との質問に、谷TLは「僕が考える“愛”の情報をロボットに入れ込めば、その情報に基づいた愛はできます。でもそうではなく、あるとき突然ロボットが優しく手をなでてくれたというように、愛が自然に生まれるところを見てみたいんです」 最後に武田氏が、「谷さんの話を聞いて分かったと思いますが、科学者は好奇心がとても強く、一緒に楽しく話ができる人たちなんです。科学者、書道家といった立場に関係なく、いろいろな人が楽しく交われば、“共進化”できる。そのためにも理研は、もっと開かれた研究所になってほしい」と理研への期待を語った。 武田氏に会いたくて参加したという女性は、「谷さんが大好きになりました」と、笑顔で会場を後にした。 |
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平成21年度一般公開のお知らせ
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文部科学省が定める科学技術週間〈2009年4月13日(月)〜19日(日)“さいしょはどうして さいごはなるほど”〉の行事として、理研では下記の日程で一般公開を行います。理研の最先端の科学研究に親しんでいただくため、研究室・施設の公開をはじめ、講演会、各種のイベントを行います。皆さまのご来場をお待ちしています。(入場無料) |
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●和光研究所
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場所:
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埼玉県和光市広沢2-1
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日時:
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4月18日(土)9:30〜16:30(入場は16:00まで)
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問い合わせ先:
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広報室
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TEL:
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048-467-9954(一般公開専用)
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●筑波研究所
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場所:
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茨城県つくば市高野台3-1-1
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日時:
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4月17日(金)13:00〜16:00
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4月18日(土)10:00〜16:00
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問い合わせ先:
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筑波研究所研究推進部総務課
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TEL:
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029-836-9111(代表)
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●神戸研究所
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場所:
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兵庫県神戸市中央区港島南町2-2-3
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日時:
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4月25日(土)10:00〜16:00(入場は15:30まで)
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問い合わせ先:
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神戸研究所研究推進部総務課
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TEL:
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078-306-0111(代表)
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●播磨研究所(SPring-8施設公開に合わせて公開)
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場所:
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兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
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日時:
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4月26日(日)9:30〜16:30(入場は15:30まで)
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問い合わせ先:
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播磨研究所研究推進部企画課
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TEL:
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0791-58-0900
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●横浜研究所
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場所:
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神奈川県横浜市鶴見区末広町1-7-22
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日時:
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7月4日(土)10:00〜17:00(入場は16:30まで)
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問い合わせ先:
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横浜研究所研究推進部総務課
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TEL:
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045-503-9110
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中国「四川大地震被災大学院生」を研究実習生として受け入れ
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2008年5月に中国・四川省で発生した大地震は、多くの死傷者を出すなど、周辺地域に甚大な被害を与えました。理研は中国科学院や北京大学などの研究機関・大学との間で長年の研究協力関係にあることから、地震後直ちに中国科学技術部の万 鋼(ワン ガン)大臣、中国科学院の路 甬祥(ル ヨンシアン)院長あてにお見舞いの書簡を出すとともに、理研に在籍する中国人研究者らが中心となって募金活動を行い、在日中国大使館に義援金を贈呈しました。 また、地震で被災した理研と協力関係のある大学院生11名(四川大学3名、西南交通大学3名、中国科学院5名)を理研に招き、研究活動継続の機会を提供しています。11名の大学院生は、今年1月6日から3月27日までの約3ヶ月間、理研の各研究所(基幹研究所6名、仁科加速器研究センター3名、植物科学研究センター2名)で研究実習を行っています。 ![]() |
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新研究室主宰者の紹介
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新しく就任した研究室主宰者を紹介します。 1:生年月日、2:出生地、3:最終学歴、4:主な職歴、5:研究テーマ、6:信条、7:趣味 |
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基幹研究所 Zhang独立主幹研究ユニット 独立主幹研究員 Kam Zhang(ケム ツァン) |
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1:
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1963年5月20日
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2:
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河北省(中国)
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3:
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ヨーク大学物理学科Ph.D.(英国)
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4:
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Plexxikon社(米国)
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5:
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計算構造生物学
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6:
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意志あるところに道は開ける
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7:
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バドミントン、ブリッジ(トランプ)、映画
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放射光科学総合研究センター 物質系放射光利用システム開発ユニット ユニットリーダー 田中義人(たなか よしひと) |
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1:
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1964年5月21日
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2:
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兵庫県
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3:
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東京大学大学院理学系研究科修士課程(博士課程中退)
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4:
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理化学研究所
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5:
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放射光ビームライン利用技術の高度化・超高速X線放射光実験
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6:
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研究万事塞翁(さいおう)が馬
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7:
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将棋
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植物科学研究センター 発現調節研究ユニット ユニットリーダー TRAN Phan Lam Son(チャン ファン ラム ソン) |
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1:
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1969年 1月4日
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2:
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ニャ チャン(べトナム)
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3:
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セントイストヴァン大学生物科学Ph.D.(ハンガリー)
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4:
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ミズーリ大学コロンビア校、(独)国際農林水産業研究センター、奈良先端科学技術大学院大学、(独)食品総合研究所
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5:
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植物の環境ストレス応答に関する細胞内シグナル伝達系を解析し、モデル植物での成果の作物への利用を進める。
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6:
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Life is not easy. We have to fight hard for better life.
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7:
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読書、映画鑑賞、テニス、子どもと遊ぶこと
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旅して気づく 菅沼純一 SUGANUMA Jun-ichi |
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2007年の夏には20日間、スウェーデン・ノルウェー・フィンランドを列車で旅した。ヨーンの駅には、それまでに見たことのない人々がいた。イラクから来たという夫婦と3歳くらいの子どもの家族だ。来て間もなく、言葉もなかなか通じないようだ。ヘンリーとマルギットによれば「最近増えた、珍しいことではない」らしい。二人に見送られてノルウェーの港町、ナルビクへの9時間の旅が始まった。僕らが座った4人席には、すでに向かいに黒人の青年が座っていた。物静かで礼儀正しいその青年は、教師だった両親とウガンダから移住してきた。今は休暇を終えてスウェーデンの鉄鉱石の産地、キールナの工場に戻るところという。通路を隔てて座っている青年はイランからの留学生、裕福そうである。その向かいはスウェーデンの大学生。列車のその一角だけでも、5人で4国籍だ。スウェーデンは移民や難民を積極的に受け入れていることでは世界中に知られている。ウプサラで乗ったタクシーの運転手はイランからの移民二世だった。北極圏の小さな町々にも、中近東やアフリカ、時には東南アジアから来た人々が暮らし始めている。前回、2004年に来たときには気づかなかった変化だ。 移民の増加に加えて、この列車の旅で驚いたのは、列車の中のたくさんの会話だ。隣同士、よく話をしている。彼らは夫婦だったり、親子だったり、友人同士だったり、恋人同士だったり……、いやいや大違いだった。お互いまったく初対面の人たちなのだ。別々に乗ってきて、別々に降りていく。彼らは男女、年齢に関係なく、知らない者同士が実によく話をしている。 ふと理研のことを思い出した。米国の大学の分子生物学者は、国際化が進んでいるといわれる理研を訪問したとき、研究所の廊下で立ち話をしている研究者を見掛けなかったことを不思議に思ったという。彼の大学の研究所では、研究者がよく廊下で立ち話をしているというのだ。ヨーロッパにしばらく滞在して日本に戻った核物理学者は久しぶりに理研を訪問したとき、エレベーターに乗ろうとして、若者に突き飛ばされそうになったという。「理研は国際的な研究所になったと思ったが、あいさつもできないとんでもないところになっているのか」と、つえをついたその老物理学者は憤慨されていた。 私たちは確かに今、相互に直接的な関係を創ることに消極的になりがちだし、他者とのかかわりが下手になっている。しかし、人々は決して行きっぱなしにはならず、行くところまで行くと、やっぱりこれはまずいと、「相互に関係を創る」ことを意思して折り返してくると思っている。少なくとも私たちは、そういうことを繰り返して、今日まで生き延びてきたのではないだろうか。 ■ |
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