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原酒
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神経突起はなぜ正しい相手にたどり着けるのか
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成長円錐が前進する基本メカニズム
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神経細胞には、相手に情報を伝える軸索と呼ばれる長い突起と、情報を受け取る樹状突起という短い突起がある。私たちの体で一番長い軸索は、足の指から首までをつなぐもので、大人では1m以上の長さがある。一方、神経細胞の本体である細胞体の直径はわずか0.01〜0.02mmほど。神経細胞は細胞体の数万倍以上の長さの軸索を、目的の場所へ伸ばすことができるのだ。
どのような仕組みで、それが可能となるのか。神経細胞の軸索が伸びるとき、円錐(えんすい)状の先端部がアメーバのように運動しながら進む。この先端部を「成長円錐」と呼ぶ(表紙・図1)。この成長円錐にこそ、軸索が正しい道を進む仕組みが秘められている。 「私のモットーは、神経細胞の軸索が伸びるメカニズムを、なるべく少ない数の分子で単純明快に説明することです」。こう語る上口チームリーダーは2000年、成長円錐が前進する基本メカニズムを発表した(図2)。「前進するための基本要素は自動車と同じ、エンジン・タイヤ・クラッチです」 エンジンは、ボール状のタンパク質が数珠つながりになったアクチン線維とそれを動かすモーター分子。アクチン線維は、成長円錐の先端でボールが次々と数珠状につながり、ベルトコンベヤーのように後ろへ移動し、数珠がほどけるようにボールが離れていく。タイヤはL1などの接着分子。細胞膜を貫通して外部の“路面”に接着する。このエンジン(アクチン線維)とタイヤ(接着分子L1)がクラッチ分子でつながると、タイヤがエンジンによって後方へ引っ張られる。 後方に引っ張られたタイヤはその後、どうなるのだろう。「私は接着分子L1が細胞の中に取り込まれることを発見しました。外部と接着するための接着分子が、なぜ内部に取り込まれるのか、とても不思議です。調べてみると、成長円錐の後方で取り込まれ、前方に運ばれていました。エンジンで後方に引っ張られたタイヤ(接着分子L1)は、内部に取り込まれ、前方に戻されて再利用される。その結果、タイヤが循環しながら成長円錐は前に進むのです」 |
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成長円錐はどのように曲がるのか
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では、成長円錐はどのようにして正しい道を歩むのか。その道のりには何個所か中継点があって、そこにある細胞から、成長円錐を引き寄せる誘引性ガイダンス分子や、退ける反発性ガイダンス分子が放出される。そのガイダンス分子の情報を成長円錐が読み取り、中継点の方へ曲がったり反対方向へ曲がったりして、正しい道を歩んでいく。
中継点から放出されたガイダンス分子は、拡散して濃度が少しずつ薄くなる。例えば、成長円錐の右側遠方から誘引性ガイダンス分子が放出されていると、成長円錐の表面では、右側の濃度が左側よりわずかに高くなる。そのわずかな濃度差を何らかの方法で感知して、成長円錐の内部では右側でカルシウムイオン(Ca2+)の濃度が高くなり、右側に曲がる(図3左)。 カルシウムイオンは、細胞内部の情報伝達物質として働くことが知られている。「しかし、なぜカルシウムイオン濃度が高くなった側に曲がるのか、具体的にどのような方法で成長円錐は曲がるのか、それが長年の謎でした」 成長円錐が前進する基本メカニズム(図2)によると、曲がる方法には三つの可能性が考えられる。曲がる側で、エンジンが活発になること、クラッチの接続頻度が高まること、タイヤの再利用効率が向上することだ。 2006年、上口チームリーダーたちは、この三つの可能性を調べた結果、誘引性ガイダンス分子によって成長円錐が曲がる場合、タイヤの再利用効率が向上する可能性が高いことを突き止めた。 タイヤは小胞によって運ばれ再利用される。研究チームは、カルシウムイオン濃度が上がった側の先端へ小胞が移動していくこと、先端へ移動した小胞が細胞膜と融合・一体化(エキソサイトーシス)する様子を独自の顕微鏡システムを使って観察することに成功したのだ(図4・図5)。「タイヤの役目をする接着分子そのものの動きは観察できていないのですが、小胞によって接着分子が先端に運ばれ、小胞が細胞膜と融合・一体化することで接着分子を細胞膜に貫通させる、つまりタイヤを再利用していると考えられます。一方の側にたくさん小胞を運ぶことで、成長円錐は曲がるのです」 しかし、反発性ガイダンス分子によって成長円錐が曲がる場合には、違う方法を用いていることも、研究チームは明らかにした。「破傷風毒素を与えると、小胞が細胞膜と融合・一体化できなくなります。すると、誘引の場合は曲がることができなくなります。しかし、反発の場合には曲がることができます。今まで誘引と反発は、向きは異なるけれど同じ方法で曲がると考えられていましたが、違うのです。反発では、エンジンやクラッチなどが関係しているのかもしれません」 不思議なことに、成長円錐が反発性ガイダンス分子に遭遇した場合にも、ガイダンス分子の濃度が高い側でカルシウムイオン濃度が上がる。この場合には、カルシウムイオン濃度が低い側へ成長円錐は曲がる(図3右)。誘引の場合はカルシウムイオン濃度の高い側へ曲がり、反発の場合は低い側へ曲がるのだ。 この謎についても、神経成長機構研究チームはすでに2005年に解明している。「誘引と反発ではカルシウムイオンの供給源が違うんです。細胞内には小胞体というカルシウムイオンが入った袋があり、そこからカルシウムイオンが出てくると、誘引となります。それ以外の理由でカルシウムイオン濃度が上がった場合、例えば細胞の外部からカルシウムイオンが入ってきただけの場合には、反発になります」 誘引の場合、小胞体から放出されたカルシウムイオンがすぐに何らかの分子に捕らえられ、それが合図となって小胞を前方へ移動させるための仕組みが動きだす。反発の場合にも、外部などから流入したカルシウムイオンが合図となり、反対側へ動くための何らかの仕組みが動きだすと考えられる。上口チームリーダーたちは現在、その詳しい分子メカニズムの解明を進めている。
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ガイダンス分子の読み取り方
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さらに不思議なことに、同じガイダンス分子が、あるときには誘引、あるときには反発の情報として作用することがある。「成長円錐の“読み取り方”でガイダンス分子の情報の意味が変わるのです」と語る上口チームリーダーは、「それはよく考えると当たり前のことです」と続ける。
「例えば、中継点から放出されているガイダンス分子によって成長円錐が引き寄せられているとします。この場合、ガイダンス分子は誘引の情報です。しかし成長円錐にとって、そのガイダンス分子が常に誘引の情報ならば、中継点で誘引されたまま止まってしまいます。中継点を通り過ぎる瞬間に読み取り方を変え、反発の情報と読み取るか、あるいはそのガイダンス分子に反応することをやめなければ、成長円錐は先へ進めません」 実験の結果、成長円錐はガイダンス分子の読み取り方を変えていることが分かった。「成長円錐が接している“路面”の状況によって、小胞体のryanodine(リアノディン)受容体が活性化している場合と、不活性の場合があります」 小胞体の膜にあるryanodine受容体は、カルシウムイオンの出口となっている。この出口が活性化しているときにガイダンス分子の情報を受け取ると、小胞体からカルシウムイオンが放出されて誘引、ryanodine受容体が不活性の場合には、小胞体からカルシウムイオンが放出されず、ほかの理由でカルシウムイオン濃度が上がり反発になると考えられる。中継点の手前と先では路面の状況が違い、同じガイダンス分子でも手前では誘引と読み取り、その先では反発と読み取ることが可能になる。「その路面状況を読み取っているのは、タイヤとして路面に接しているL1などの接着分子だと推定されています」
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神経回路の再生を目指して
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上口チームリーダーは、かつて脳神経系の外科医として臨床の現場にいた。「脳や脊髄の疾患などで神経回路が傷付いてしまうと、身体が動かなくなったり、意識障害が残ってしまうケースがあります。リハビリで良くなることはありますが、外科手術で神経回路を再生することはできません。脳や脊髄にある神経細胞は、一度切れてしまうとつながらないのです。そういう臨床現場にいて、神経回路を再生する技術が必要だと切実に感じていました。最近では、統合失調症も神経回路の形成異常が原因かもしれないといわれています。成長円錐が正しい方向へ進むメカニズムを解明して、神経回路の再生技術を開発すること、それが私の最終目標です」
脳や脊髄の神経細胞は、なぜ一度切れるとつながらないのか。軸索が切れると、その断面に成長円錐ができて動きだす。しかし、損傷部位を修復するために集まってきたアストログリアという細胞が放出する分子によって、成長円錐は損傷部位の手前で止まってしまう。「神経が再生するには、まず成長円錐が損傷部位を乗り越えて伸びていかなければいけません。成長円錐が損傷部位で止まる仕組みと、ガイダンス分子によって反発する仕組みは、かなり共通していると考えられるので、その知識が役立つはずです。次に、成長円錐を正しい道へ人工的に導く必要があります。それには成長円錐の誘引と反発の仕組みを十分に理解することが不可欠です」 最後に上口チームリーダーは、神経回路の再生へ向けた研究の展望をこう語る。「10年後には、成長円錐が正しい方向へ伸びるメカニズム、損傷を受けた神経回路が再生できないメカニズムの全容を解明し、その基礎的な知識をもとに、どのようにしたら神経回路を再生できるかという応用技術に研究テーマの重点を移していたいですね。ただし、基礎的な知識がしっかりしていないと、臨床の現場で本当に役立つ技術にはなりません。まず基礎的なメカニズムの解明を進めていきたいと思います」 ■
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細胞の運命はいかに決まるのか
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なぜ線虫を使うのか
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細胞運命――何とインパクトのある研究チーム名だろう。澤 斉チームリーダーは、「生物は1個の受精卵からスタートして、分裂によっていろいろな種類の細胞がつくられ、それぞれの細胞は違う“運命”をたどります。どうして一つの細胞から、そんなにたくさんの種類の細胞ができるのか。細胞の運命はどのように決められるのか。そのメカニズムを知りたいのです」と話す。細胞の運命が決められるメカニズムを明らかにするため、研究チームではCaenorhabditis elegans(シノラブディス エレガンス)という種類の線虫を使って研究を進めている。線虫という名前の通り、長細い形で、大きさは1mmくらい(図1)。生まれてから成虫になって卵を産むまで、わずか3日。室温で飼育が可能で、餌は大腸菌だ。体が透明なので、細胞が分裂していく様子を連続して観察することができる。また、遺伝子操作でつくり出した変異体は冷凍保存が可能だ。全ゲノムの解読も終了している。それらの利点から、線虫は生命科学、例えばアポトーシス(細胞死)の研究でよく使われている。 澤チームリーダーが線虫を使うのには、もう一つ大きな理由がある。「細胞の数が少ないんです。線虫の体細胞は959個しかありません。しかも、1個の受精卵がどのように分裂して959個の細胞になるのか、細胞系譜がすべて分かっています」 線虫の細胞系譜を明らかにしたのは英国のSydney Brenner(シドニー ブレンナー)(2002年ノーベル生理学医学賞受賞)で、1970年代のことだ。受精卵が成体になるまでの細胞系譜が明らかにされているのは、いまだに線虫だけだ。「どういうメカニズムでそれぞれの細胞の運命が決められているのか。それを知るための研究には、細胞系譜が分かっている線虫が適しているのです」
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Wntシグナルが極性の形成を制御
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「1個の受精卵から、いろいろな種類の細胞ができる。これは、とても不思議なことですよね」と澤チームリーダー。分裂する前の細胞を母細胞、分裂してできた2個の細胞を娘細胞と呼ぶ。母細胞が単に分裂するのでは、同じ種類の娘細胞が増えるだけだ。「“分裂すると違う細胞ができる”というのがポイントです。実際、ある細胞が分裂すると、表皮細胞と神経系細胞がつくられます。このように二つの違う種類の娘細胞ができる細胞分裂を“非対称分裂”と呼びます。なぜ非対称分裂が起きるのか。私たちは、そのメカニズムを研究しています。そして、非対称分裂はWnt(ウイント)というタンパク質が細胞表面の受容体に結合して出す“Wntシグナル”によって制御されていることを明らかにしました」
非対称分裂が起きるために重要なのが、“極性”だ。極性とは、物質や構造の相対的な偏りのこと。均一な細胞が分裂しても、同じ細胞しかできない。しかし、ある物質が局在しているなど不均質な細胞が分裂すれば、違う娘細胞ができる。 「Wntシグナルについては、以前から盛んに研究されてきました。Wntシグナルが来ると、βカテニンというタンパク質が核の中に移動して遺伝子の転写を活性化することが知られています。ところが私たちは、Wntシグナルがこれまで考えられていた働きと大きく違う働きもすることを見つけたのです」 澤チームリーダーらが詳しく調べた結果、Wntシグナルが来ると、βカテニンが細胞膜近くに局在することが分かった(図2)。βカテニンだけではない。がん抑制遺伝子として知られているAPCというタンパク質も細胞膜近くに局在する。「なぜβカテニンやAPCの局在が起きるのか、詳しいことはまだ分かっていません。しかし、Wntシグナルに異常がある変異体では、βカテニンもAPCも正常に局在しません。極性が形成されず、分裂しても同じ種類の娘細胞しかできない。このことから、Wntシグナルが細胞の極性形成を制御していることは確かです」 澤チームリーダーは、「βカテニンの局在を調べていて、とても驚いたことがあります」と言う。「Wntシグナルが後ろ側(尾の方)から来ると、βカテニンとAPCは細胞の前側(頭の方)の細胞膜近くに局在します。βカテニンは核に移動して転写を制御するタンパク質ですから、この場合も分裂終期になると一部のβカテニンが核に移動します。ところが、2個に分裂した娘細胞のうち、一方の核にしかβカテニンは蓄積しないのです。一方だけに蓄積するというのも驚きですが、βカテニンは前側と後ろ側、どちらの娘細胞の核に行くと思いますか?」 βカテニンは母細胞では前側の細胞膜近くに局在しているのだから、近い方、つまり前側の娘細胞の核に行くのではないか。「そう思いますよね。でも、後ろ側の娘細胞の核に行くんですよ(図2一番下の写真)」 初めは澤チームリーダーも説明に困ってしまったというが、今では次のような仮説を立てている(図2右)。「前側の娘細胞では細胞膜近くにあるβカテニンが、核の中に行かないようにほかのβカテニンを抑えているらしいのです。一方、後ろ側の娘細胞では、細胞膜近くにβカテニンがないので、抑制されることなくβカテニンが核へと入っていくことができる。同じβカテニンでも、細胞膜近くにあるものは働きが違うのでしょう」。βカテニンがβカテニン自身の移動を抑制する詳しいメカニズムの解明が、今後の課題だ。 ![]() |
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非対称分裂の複雑さ
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どちらが前でどちらが後ろか、という位置情報は、生物の体づくりにおいて非常に重要だ。細胞が個体の中でどこにあるのかによって、分裂によってつくられる細胞の種類も変わってくる。研究チームは、Wntシグナルが位置情報の決定にもかかわっているのではないかと考え、ある実験を行った。
線虫の尾に表皮T細胞という細胞がある。この細胞は尾の方からWntシグナルを受け取り、前側の娘細胞は表皮細胞、後ろ側の娘細胞は神経系細胞となる(図3上)。ところが、表皮T細胞がWntシグナルを頭の方から受け取るようにすると、前が神経系細胞、後ろは表皮細胞となり、娘細胞の種類が前後で逆転することが分かった(図3下)。「この結果から、Wntシグナルは極性形成を制御するだけでなく、位置情報の決定にも重要な役割を果たしていることを明らかにすることができました」 線虫の場合、ほとんどの分裂で、Wntシグナルによるβカテニンの局在、極性形成が見られる。しかし、分裂のたびに、つくられる細胞の種類は違う。同じシグナルで、なぜ違う種類の細胞をつくることができるのか。研究チームでは最近、それにHox(ホックス)遺伝子がかかわっていることを突き止めた。「Hoxは生物の形づくりにとても重要な遺伝子で、線虫から哺乳類まであらゆる生物が持っています。線虫以外の生物の非対称分裂のメカニズムを考える上でも重要かもしれないと考え、研究を進めています」 「非対称分裂のメカニズムは予想していた以上に複雑ですね。もう少し簡単だと思っていたのですが」と澤チームリーダーは苦笑いする。細胞運命研究チームでは、非対称分裂に異常がある変異体をつくったり見つけたりして、異常にかかわっている遺伝子を調べ、非対称分裂のメカニズムの解明を目指していく。細胞が時間をどう認識しているかも、今後明らかにしていかなければならない問題だ。 また、澤チームリーダーは最近、“運命の維持”にも興味を持っている。「細胞が途中で違う種類に変わってしまう変異体を見つけました。いったん細胞の運命が決まったらほうっておいてよいのではなく、運命を維持するメカニズムがあるらしい。この変異体では運命の維持にかかわる遺伝子に異常があるのではないかと、今、詳しく調べているところです」 ![]() |
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線虫を通してヒトを見る
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細胞運命研究チームに、哺乳類の細胞を扱う研究員が加わった。「非対称分裂は、線虫だけでなく、あらゆる生物で起きています。線虫だけが、こんなに複雑なシステムで非対称分裂を行っているとは、私にはとても信じられません。哺乳類の非対称分裂にも似たような機構があるのではないかと考えています」。澤チームリーダーは、「本当は、哺乳類の研究者が興味を持ってやってくれたらいいのですが、“線虫での話でしょう”と言って本気に取り組んでくれないのです。だから、まずは自分たちでやらざるを得ないんですよ」と嘆く。「アポトーシスも、タンパク質をコードしないマイクロRNAも、最初は線虫で見つかり、しばらくして哺乳類にもあることが分かり、今では盛んに研究されています。Wntシグナルは哺乳類にもありますから、大きく発展する可能性があると期待しているのです」
「“線虫を研究していけば、ヒトにつながる”と、いつも思いながら研究しています。わずか1mmの小さな虫の中に、ヒトのことが凝集されているのです」と澤チームリーダーは言う。 例えば、Wntシグナルは、幹細胞の分裂や分化にもかかわっていると考えられている。幹細胞は分裂によって、幹細胞自身と分化した細胞をつくる。幹細胞を望んだ通りに増殖・分化させることができれば再生医療に応用できると期待されているが、まだ満足できるレベルには至っていない。線虫の研究からWntシグナルが非対称分裂を制御するメカニズムが分かれば、幹細胞の増殖・分化を自在にコントロールすることが可能になるかもしれない。 また、澤チームリーダーは、がん治療への応用にも期待を寄せている。「ある種のがんは、Wntシグナルが活性化し、βカテニンが遺伝子の発現を加速させて細胞が異常増殖することで起きます。私たちの研究から、細胞膜近くにあるβカテニンは、βカテニン自身が核に移動するのを阻害する働きがあることが分かってきました。βカテニンを人為的に細胞膜近くに凝集させることができたら、がんを治療できるかもしれません」 Wntシグナルによって細胞膜近くに局在する、がん抑制遺伝子APCにも注目している。「APCに異常がある線虫では、表皮系幹細胞は分裂によって幹細胞ばかりをつくるようになります(図4)。その様子は、APCの欠損によって起きるがんを彷彿させます。Wntシグナルの研究が、再生医療やがん治療につながるに違いないし、ぜひつなげたい。線虫研究者はそんなことを考えています」 ■ ![]()
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元素誕生の謎に挑むRIビームファクトリー、
いよいよスタート |
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重い元素はどのようにつくられたのか?
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――今回の新しい同位元素の発見には、どのような意義があるのですか。
櫻井:元素誕生の謎に本格的に挑む実験が、いよいよ始まりました。実験してすぐに新しい同位元素を発見でき、RIBFの性能がいかに優れているかを確認したことに、大きな意義があると思います。 ――元素誕生の謎とは? 櫻井:宇宙誕生のビッグバンでは、水素やヘリウム、リチウムくらいまでの軽い元素しかできません。やがてそれらの軽い元素が集まって星が形成され、星の中で起きる核融合反応で鉄までの元素ができます。金や銀、白金やウランなど、鉄よりも重い元素がどのようにできたのか、それが大きな謎なんです。 その謎を解く鍵を握っているのが、太陽質量の8倍以上の重い星が最期に起こす超新星爆発だといわれています。そもそも原子核は陽子と中性子からできています。超新星爆発が起きるとき、大量の中性子がつくられ、星の中心部にある鉄が中性子をどんどん吸収し、陽子数に比べて中性子数が非常に多い「中性子過剰核」が、10秒くらいの間に次々につくられると考えられています。 縦軸を陽子数、横軸を中性子数にして同位元素を分類した図を核図表(図1)といいます。図の緑の矢印が、超新星爆発でつくられると理論的に予想される中性子過剰核の生成の道筋です。これらの不安定な中性子過剰核が壊れて、やがて金やウランなど重い元素がつくられたと考えられています。 従来の加速器施設では、ごく一部の中性子過剰核しかつくれませんでしたが、史上最強の重イオン加速器「超伝導リングサイクロトロン(SRC)」を擁するRIBFでは、超新星爆発でつくられるような中性子過剰核を世界で初めて人工的に生成できます(図1)。それらの中性子過剰核にこそ、元素誕生の謎を解く鍵が秘められています。 ――理論が予測する緑の矢印が正しいかどうか、初めて実験で確かめることができるのですね。 櫻井:緑の矢印は、理論家という“勇気ある人々(笑)”が、従来の理論で予測した仮説です。近年、従来の理論を覆す新しい現象が次々と見つかっていますので、この仮説も正しいという保証はまったくないと、私は考えています。 従来の原子核理論は、自然に存在する安定な原子核(安定核)の研究をもとにつくられました。安定核は陽子と中性子の数がほぼ同じで、約300種類が知られています。ただし、理論的には1万種類の同位元素が存在し得ると予想され、そのほとんどは中性子や陽子の数がどちらかに極端に偏っていて、すぐ壊れてしまう不安定な原子核(不安定核)です。1980年代、加速器によって不安定核を生成し、その性質を調べることができるようになりました。すると、従来の理論を覆す不思議な現象がたくさん見つかってきたのです。 ――どのような現象ですか。 櫻井:例えば、魔法数。従来の理論では、陽子や中性子の数が2、8、20、28、50、82、126の原子核は、特に安定になります。しかし、中性子過剰核では8や20という中性子数を持つ原子核は安定ではなく、16が安定で寿命が相対的に長いことを、理研の研究グループが明らかにしました。 RIBFでは、未知の1000種類を含む約4000種類の同位元素を生成できます。これは、現在宇宙に存在する、あるいはこれまで宇宙で生まれてきたほぼすべての同位元素を生成・実験できるようになることを意味しています。私たちは、そのような実験により新しい原子核理論を築き、元素誕生の謎を解明しようとしているのです。 ![]() |
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原子核の不思議な現象に迫る
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――RIBFは、天文学者からの期待も高いそうですね。
櫻井:今年、日本の国立天文台で、超新星爆発や元素誕生でどのような課題があるのか、天文学の立場から検討する研究会が開かれました。そもそも超新星爆発は、とても謎の多い現象です。コンピュータ・シミュレーションでも、うまく爆発しないケースがあります。超新星爆発では、重い星の中心部で起きていた核融合反応が終わって自分自身の巨大な重力を支え切れなくなり、中心部へ向かって急激に落ち込む“爆縮”が起き、その反動で爆発に転じます。このとき、爆発に転じるかどうかは星の中心部にできた中性子過剰核の状態によります。軟らかいと爆発に転じますが、硬いと爆発しません。RIBFで中性子過剰核の硬さをぜひ調べたいんです。 それが分かれば、超新星爆発の残骸(ざんがい)である中性子星の内部構造にも迫れます。中性子星はほとんどが中性子からなる極めて密度の高い天体です。この中性子星も謎の多い天体で、その内部に“パスタ構造”があるかもしれないと予想している理論家もいます。 ――スパゲティなどのパスタですか? 櫻井:そう。原子核の形が棒状のものを“スパゲティ”、板状のものを“ラザニア”と名付けています。そういう構造があるかどうかも、中性子過剰核の性質を調べることで分かるでしょう。 ――陽子や中性子が多く集まると、予想できないさまざまな面白い現象が起きるのですね。 櫻井:そうです。先日も、理論家の人たちに集まってもらい、原子核の世界で起きるさまざまな現象を総合的に検討してもらったのですが、あらためて原子核の面白さを確信しました。 |
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RIBFで原子核物理の新時代を拓く
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――そもそもRIBFでは、新しい同位元素をどのような方法でつくるのですか。
櫻井:従来の入射核破砕反応という方法とともに、ウランの核分裂反応を利用することが大きな特徴です。ウランはもともと中性子過剰な原子核。それを分裂させることで、重い中性子過剰核を入射核破砕反応よりもはるかに効率よくつくれます。 まずウランイオンを超伝導リングサイクロトロンなどで光速の70%のビームに加速、BigRIPS(超伝導RIビーム生成分離装置)で標的に当てて核分裂させます。今回、発見した新しい同位元素Pd-125もこの方法で生成したものです。実は今回の実験のウランビームは、最終目標値の約10万分の1の強度(1秒当たり約1億個)です。それにもかかわらず、早くもPd-125を発見しました。フルパワーで実験したら、素晴らしい成果が出ると思います。このBigRIPSの開発を担当し、今回の実験責任者を務めたのが、久保敏幸グループディレクターです(コラム)。 ――Pd-125の発見により、どんなことが分かりそうですか。 櫻井:原子核物理は、さまざまな原子核の性質を系統的に比較し、その意味を理解していく学問です。Pd-125だけを研究しても、あまり意味のあることは分からないでしょう。数年前、原子核理論のBen Roy Mottelson(ベン ロイ モッテルソン)先生(1975年ノーベル物理学賞受賞)が来日したときに、当時、私が研究していた原子核について「この原子核にはいろいろと面白い性質がありそうですが、どう思われますか」と勢い込んで質問しました。そうしたら「この原子核だけを見ていても駄目。(核図表上の)周りの原子核を調べなさい」。質疑はそれで終わり(笑)。 私たちは今後3年くらいで、ウランビームの強度を10万倍に増強し、約1000種類の未知の同位元素を生成し、性質を調べたいと考えています。広大な未知の領域の現象を系統的に測定すれば、必ず面白いことが見つかります。教科書の記載もまったく変わるでしょう。私たちは、そのための独自の実験設備を提案しています。その中の一つ、不安定核の形を調べる装置の建設を今年度中に開始しますが、質量を精密に測定したり、陽子の分布を調べたりする装置など、ほかの実験設備はまだ予算がついていません。新しい同位元素をつくっても、その性質を詳しく調べられなければ、宝の持ち腐れです。 ――欧米でも、同様な計画があるそうですね。 櫻井:ドイツと米国です。ドイツでは2012年に実験設備を含めて施設を稼働させる予定です。そもそも、たくさんの原子核をつくってその性質を調べる計画を世界で最初に提案したのは私たちです。日本の計画に刺激を受けて、欧米も同様の計画をスタートさせました。絶対に負けたくないですね。 ただし、今回の実験にもドイツ、フランス、米国の研究者が参加しています。情報は包み隠さず、正々堂々と競争したり協力するというのが、この分野の学問の世界です。先日の国際会議でも、フランスの研究グループから自分たちで開発した検出器をRIBFに持ち込みたいという提案がありました。秋に提案を具体化するためのワークショップを開く予定です。 ――仁科加速器研究センターは、原子核物理の世界的研究拠点としての重みを、ますます増していくことになりますね。 櫻井:そうなるように、頑張りたいと思います。■
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亜鉛も細胞内の情報伝達役だった
外的刺激によって細胞内に亜鉛ウエーブが発生 |
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――細胞はどうやって情報のやりとりをしているのですか。
平野:細胞はそれぞれ、いろいろな役割を担っています。細胞は命令を受けて任務を開始しますが、命令は細胞膜にある受容体にシグナルが結合することで届きます。シグナルを認識すると、細胞内で次々と情報伝達物質が働きだすのです。この情報伝達物質をセカンドメッセンジャーといいます。つまり、セカンドメッセンジャーが情報を受け渡していくのです。 |
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――セカンドメッセンジャーとしては、どんなものがありますか。
平野:カルシウムイオンが有名です。細胞内に小胞体というカルシウムの貯蔵庫があって、細胞外から刺激を受けると小胞体から細胞質内にカルシウムを放出し、カルシウムイオンの濃度を変えて細胞内外の情報を伝えます。このカルシウムイオンの放出をカルシウムウエーブと呼びます。ほかにも、cAMP、Gタンパク質、タンパク質リン酸化酵素、脂質、一酸化窒素、核内受容体などが知られています。 |
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――亜鉛は細胞内で何をしているのですか。
平野:生体内の300以上の酵素やシグナル伝達物質の活性と、タンパク質の構造を維持することが知られています。私たちは亜鉛の持つ機能について研究を進める過程で、胚発生や免疫細胞の成熟が亜鉛濃度の変化によって制御されていることを明らかにしてきました。そして今回、免疫細胞の一つである肥満細胞を用いて実験したところ、細胞外から刺激が直接働くと、細胞内の亜鉛濃度が数分のうちに上昇し、情報を細胞内へ伝えることを発見しました(図)。私たちは、この亜鉛濃度の上昇を「亜鉛ウエーブ」と名付けました。さらに、亜鉛ウエーブが肥満細胞では、免疫に関与する重要な遺伝子の発現を制御していることが分かりました。つまり、亜鉛が重要なセカンドメッセンジャーであることを示したのです。 ![]() |
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――どのように観察したのですか。
平野:1分子イメージングチームの徳永万喜洋ユニットリーダーらが、新たに「薄層斜光照明顕微鏡システム」を開発しました。通常のレーザー顕微鏡では、細胞にストレスが加わるため細胞内の亜鉛濃度に影響を与えてしまいます。この新システムは、高感度CCDカメラを用いて弱いレーザー光で観測するため、細胞はストレスの影響を受けません。レーザー光を当てる角度を変えることにより、照射領域を薄くし、細胞内の狭い場所にだけ光が当たるようにした顕微鏡です。背景光を下げ暗くすると、細胞内部でも高感度に蛍光試料を観察できます。このシステムにより、肥満細胞の亜鉛レベルを3次元でイメージングし、小胞体付近の細胞質で亜鉛レベルが上昇する様子を観察することができたのです。 |
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――今後の課題は何ですか。
平野:今後、亜鉛ウエーブが肥満細胞以外の細胞でも見られる普遍的な現象かどうかを確かめる必要があります。さらに、亜鉛ウエーブの仕組みを明らかにしながら、亜鉛が情報伝達のどの部分を担っているのかを突き止めなければなりません。それが分かれば、亜鉛によるさまざまな細胞機能の制御が可能になるでしょう。■ |
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※本成果は、米国の科学雑誌『The Journal of Cell Biology』5月21日号に掲載され、読売新聞(5/15)、産経新聞(5/15)、日刊工業新聞(5/15)、朝日新聞(5/18)などに取り上げられた。 |
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ヒトES細胞の大量培養法を開発
再生医療の研究を大幅に加速する |
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――「ヒトES細胞」について教えてください。
笹井:「ES細胞」は、胎盤に着床する直前の胚に由来する細胞株で、脳や骨など体のすべての細胞に分化する能力と、試験管の中で無限に増え続ける能力を持っています。マウスのES細胞では、培養法や遺伝子導入技術がすでに確立していて、マウスのES細胞からはドーパミン神経、網膜細胞、大脳細胞などの中枢神経系ニューロンを、試験管内で効率よく分化させることにも成功しています。ところが、「ヒトES細胞」はさまざまなストレスに弱く、通常の細胞培養法では簡単に死んでしまいます。例えば通常、細胞を効率よく殖(ふ)やすには一つずつの細胞に分散して細胞を植え継ぐ、分散培養という方法を用いますが、ヒトES細胞の場合に分散培養をすると、実に99%もの細胞が2日以内に死んでしまうのです。 |
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――今回、細胞死の問題を解決したわけですね。
笹井:はい。あるリン酸化酵素の阻害剤を含む培養液中で育てる方法で、その問題を解決しました(図)。その酵素、ROCK(Rhoキナーゼ)は、Rhoタンパク質によって活性化する酵素です。これまでの研究からは、細胞の形態形成などでの役割はよく知られていましたが、細胞死の制御における働きはよく分かっていませんでした。私たちは、ヒトES細胞の細胞死で果たす役割を複数の細胞内酵素について調べてみる中で、ROCKがどうやらこの細胞死に必須の役割を果たすことを見いだしました。具体的には、ROCKだけを阻害する薬剤を培養液に入れたところ、ヒトES細胞は一つずつの細胞に分散しても細胞死を起こさず、1個の細胞からの細胞塊(コロニー)の形成率が約30倍にもなったのです。ちなみに、ROCK阻害剤は、血管拡張剤などにすでに利用されているため、安全面でも問題はありません。さらに、ROCK阻害剤を使うことにより、これまで難しかったヒトES細胞への遺伝子導入が容易にできることも実証しました。 ![]() |
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――ヒトES細胞の培養にどんなメリットをもたらすのですか。
笹井:今回の研究から、ROCK阻害剤を使うことでこれまで困難であったヒトES細胞の大量培養が可能となり、再生医療の研究に必要な量の確保が容易になります。また、たった一つの細胞からでも細胞培養を始めることが可能なため、細胞の品質や安全性を厳密に確かめて、再生医療などに用いることも可能となると考えられます。 |
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――そのほか、どのような応用が考えられますか。
笹井:今回の方法を応用することで、ヒトES細胞からの分化培養も容易となりました。例えば、高次機能をつかさどる大脳皮質の前駆細胞や、運動制御にかかわる基底核の神経細胞を産出することにも成功しました。ヒトES細胞から目的の神経細胞をつくり出す培養法の技術革新により、アルツハイマー病やハンチントン病などの大脳難病の原因究明や新薬開発などにもヒトの神経細胞を用いることが可能となります。これから再生医療の研究は大きく加速するでしょう。■ |
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※本研究成果は米国の科学誌『NatureBiotechnology』オンライン版(5/27)に掲載され、読売新聞(5/28)の一面や朝日新聞(5/28)などに取り上げられた。 |
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「キャリア講演会」を開催
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理研は、研究者等の進路選択の多様化と適正な流動化の組織的支援を目的として、昨年1月にキャリアサポート室を設立しました。今回、3回目となる「キャリア講演会−研究者・技術者のキャリアを考える」を6月7日、和光キャンパスで開催しました。最初に「生命科学の進展と研究者のキャリア―自分の時価を知り、キャリアを創るために」と題し、日経BP社バイオセンターの宮田満センター長(写真左)が自身のキャリアにまつわる話とポストゲノム後の世界の動向について、続いて「基礎科学に携わる研究者・技術者のキャリアパス」と題し、理研の元・基礎科学特別研究員で東京医科歯科大学大学院の田中光一教授(写真右)が、アカデミックポジションの現状と新しい試みについて講演しました。両講演後、参加者からは各人の将来を真剣に見据えた質問が相次ぎ、自らのキャリア、また研究者・技術者のキャリアを考える契機となりました。なお、この講演は各事業所へTV会議配信されました。 |
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「第6回産学官連携推進会議」が開催される
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内閣府などの主催による「第6回産学官連携推進会議」が6月16〜17日、国立京都国際会館で開催されました。例年、各界から多くの関係者が集まるこの会議には、今年も約4000名が参加し、「イノベーションの創出」に向けての議論が交わされました。理研も共催団体として3ヶ所にブースを出展し、知的財産戦略センターの「産業界との連携センター制度」の紹介パネルとともに、「現物の設計をつなげるVCAD」「脳信号処理を用いたカオスCDMA装置」「ナノ粒子計測装置PASS」のパネルを展示しました。若手研究者による科学技術説明会では、環境ソフトマテリアル研究ユニットの丑田公規(きみのり) 研究ユニットリーダーと、理研ベンチャー・(株)中性子光学の広田克也 社長の講演は、いずれも大盛況でした。また、固体光学デバイス研究ユニット和田智之(さとし) 研究ユニットリーダーが理研ベンチャー・(株)メガオプトの内田保雄氏とともに「次世代高性能レーザー技術の開発」の業績により、「産学官連携功労者表彰 文部科学大臣賞」を受賞しました。高市早苗 内閣府特命担当大臣も理研のブースを見学するなど(写真)、各界の理研への期待の大きさを感じさせる会議でした。 |
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横浜研究所、一般公開を開催
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横浜研究所は6月23日、一般公開を開催しました。講演会では、泰地真弘人(たいじ まこと)プロジェクト副ディレクター(ゲノム科学総合研究センター)が「スーパーコンピュータで見る生命」、榊原均グループディレクター(植物科学研究センター)が「植物のチカラを操るしくみ」、平野久教授(横浜市立大学大学院)が「食生活を豊かにするタンパク質研究」について紹介し、立ち見が出るほどの盛況となりました。また、60以上の研究室がDNA模型の組み立てや植物の顕微鏡観察などの体験型イベントや展示を行い、家族連れや学生が多数参加しました。来場者は、日常の疑問から最新の研究までを研究者に質問し、最先端の科学技術に楽しく触れている様子でした。当日は天候に恵まれ、過去最高となる1820名の来場者がありました。 |
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役員の報酬等および職員の給与の水準を公表
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当研究所は、役員の報酬等および職員の給与の水準をホームページ上で公表しました。詳細は下記URLをご参照ください。 http://www.riken.jp/r-world/disclosure/info/pdf/kyuyosuijyun18.pdf |
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理研OB会inシンガポール
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昨年4月に「理研シンガポール連絡事務所」がオープンしてから1年半近くがたちました。この間いろいろな活動がありましたが、その一つが「理研シンガポールOB会」を立ち上げたことです。この事務所の大きな役割の一つは、シンガポールの大学を含む研究機関と理研との研究協力の推進とサポート。それにはまず、シンガポールの研究機関の研究者を知ることが必要です。そのために“理研OBのネットワークをつくり、その力を借りよう!”と考えたのが、OB会立ち上げの動機です。また、理研の外部評価委員会「理研アドバイザリー・カウンシル(RAC)」の提言の中に、“理研OBのネットワークづくりをすべし”とあったので、“シンガポールから始めよう!”と張り切りました。 まずはメンバー探し。以前お世話になったことのある理研横浜研究所の方からシンガポールにいるOBの情報を頂き、その方に会って情報を得たり、出張でシンガポールに来た理研の方から話を聞いたり、または理研シンガポール連絡事務所の表札を見て立ち寄っていただいた方など……、いろいろな形でのメンバーとの出会いになりました。現在は総勢8名。理研在籍中の所属研究所の内訳は、和光研究所6名、横浜研究所2名。シンガポールでの活躍の場は、大学4名、研究機関2名、民間会社2名です。第1回の会合を昨年11月開催、そのときはまだ6名でしたが、そのうち5名が出席しました。 今年の5月14日からの1週間は理研シンガポール連絡事務所にとって非常に重要な週となりました。野依良治理事長がシンガポールの研究者、学生を前に一般公開講演をされた「野依フォーラム」(5/14〜15)、「理研―A*STAR(Agency for Science, Technology and Research) Joint Symposium on Immunology & Developmental Biology」(5/16〜17)、「理研―Nanyang Technological University (NTU) Joint Workshop」(5/18〜19)と、イベントが立て続けに開催されたのです。5月16日の夕食会には理研から武田健二理事やシンポジウムに参加した研究者が出席し、その際、OB会のメンバーを招待して交流を深めていただきました(写真)。また、野依理事長にOB会員名簿を渡した際、“メンバーの方々を大切に”と強く言われました。 ここでOB会のメンバーの活躍ぶりを紹介します。前述のNTUとのワークショップでは、メンバーの一人がNTU側のオーガナイザーを務めました。理研OBであるということで、NTUの学部長から指名されたためです。その結果、非常に順調に、そして盛会のうちにワークショップを終えることができました。シンガポール国立大学(NUS)の准教授をしているメンバーからは、“博士課程の学生を半年間理研で勉強させたい”との話を頂き、私たちが仲介して理研中央研究所に派遣することになりました。その准教授は「野依フォーラム」で、シンガポール側の若手研究者の代表として野依理事長の前で講演をしました。また、A*STARの研究所でPI(研究室の主宰者)をしているメンバーは、理研中央研究所の主任研究員をA*STARに招待して講演会を開催しました。 このように、メンバーの方々には理研とシンガポールの研究協力において大変活躍いただいており、本当に感謝しています。この記事を読まれた方でシンガポールに理研OBの方がおられるという情報をお持ちの方は、ぜひご連絡ください。 ■ ![]() |
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