![]() |
![]() |
![]() |
|
小脳から記憶や思考の謎に迫る 脳科学総合研究センター 神経回路メカニズム研究グループ 自転車の乗り方を一度覚えると、意識しなくても乗れるようになり、乗り方は一生忘れないものである。このような“体で覚える”記憶学習は、小脳がつかさどっている。小脳の記憶学習は、神経細胞の情報の受け渡し場所であるシナプスでの伝達効率が長期間抑えられる「長期抑圧(LTD)」により実現する。1980年に世界で初めて小脳の長期抑圧をとらえたのが、伊藤正男脳科学総合研究センター所長である。伊藤所長がチームリーダーを兼務する記憶学習機構研究チームでは、長期抑圧の詳細な分子メカニズムの解明を行っている。最近、小脳は運動だけでなく思考でも大事な役割を担うことが明らかになってきた。伊藤チームリーダーらは、小脳の働きを統一的に説明する理論の構築と実証を目指している。 ● |
|
|
|
[ 目次へ ] |
|
種子の発芽と休眠の制御メカニズムを探る 横浜研究所 発芽生理機構研究チーム 生殖制御研究チーム 種子は、地面に落ちてすぐに発芽するわけではない。一度、自ら生長を止めて、眠りにつくのだ。そして発芽に適した環境になると、目覚めて芽を出す。種子がどのようにして発芽と休眠を制御しているのか、そのメカニズム解明に挑んでいるのが、植物科学研究センター生長生理研究グループである。神谷勇治チームリーダー(同グループ・グループリーダー)率いる発芽生理機構研究チームでは、発芽において重要な働きをしている植物ホルモン、ジベレリンの生合成・情報伝達の研究を進めている。南原英司チームリーダー率いる生殖制御研究チームでは、植物ホルモンのアブシジン酸などに注目し、種子や芽が自ら生長を止めるメカニズムを研究している。遺伝的性質がよく分かっているシロイヌナズナ※1を用いた研究は、種子の発芽や寿命の人為的制御、さらには有用物質を種子に蓄積させたり、乾燥や低温といった環境ストレスに強い高機能種子を作るなど、農業への応用も期待されている。 ●
● ● ●
●
|
|||||
|
|||||
[ 目次へ ] |
|
相同DNA組み換えを任意の場所で 活性化させることに成功 生物本来のメカニズムを利用した新しい遺伝子組み換え技術 (2002年10月18日、文部科学省においてプレスリリース) 当研究所は、キュリー研究所(フランス)と共同で、相同DNA組み換えを任意の染色体個所で活性化させることに成功した。理研中央研究所染色体動態制御研究ユニットの太田邦史ユニットリーダー、村上創研修生(埼玉大学大学院)、キュリー研究所のAlain Nicolas(アラン ニコラ)博士らの研究グループによる成果。減数分裂期の相同DNA組み換えは、“組み換えホットスポット”と呼ばれる決まった染色体部位において「Spo11」※1というタンパク質(酵素)が作用し、DNA二本鎖が切断されることによって開始される。研究グループでは、パン酵母のSpo11タンパク質に、DNAの特定の場所に結合するタンパク質を融合させ、パン酵母に導入した。すると、通常ではDNA切断が起きない領域においてDNAの切断が誘導され、最終的にDNAの相同的組み換えが活性化されることが分かった。このSpo11を、任意の配列特異的DNA結合タンパク質に融合させ、減数分裂を行っている細胞内に導入することにより、目的遺伝子に関する形質改良の効率を飛躍的に向上させることができるため、新しい遺伝子組み換え技術として注目されている。 ● ● ● |
|
|
|
[ 目次へ ] |
|
量子コンピュータ実現に向けた 新しい電子集積回路を提唱 (2002年10月23日、文部科学省においてプレスリリース) 当研究所は、量子コンピュータ実現に向けた、新しい電子集積回路を提唱した。理研フロンティア研究システム単量子操作研究グループデジタルマテリアル研究チームのFranco Nori(フランコ ノリ)チームリーダー、同グループ巨視的量子コヒーレンス研究チームの蔡兆申(ツァイ ヅァオシェン)チームリーダーらの研究グループによる成果。量子コンピュータを実現するためには、多くの量子ビット※1を集積し、複数の量子ビット間を選択的につなぎ合わせ、論理回路を構築できなくてはならない。研究グループでは、1ビットレベルで実現しているジョセフソン電荷量子ビットと呼ばれる超伝導固体素子を用いた集積回路で、量子ビットを効率的に集積することが可能な電子回路を提案し、理論的に数百ビットを扱うことが可能であることを世界で初めて示した。今後は、本成果を実証するため実際に電子回路を製作し、今まで実現が難しかった複数ビットの制御を実験的に確かめ、量子コンピュータ実現に向けて取り組んでいく。 ● ● ● ●
|
|
|
|
[ 目次へ ] |
|
装置の小型化・大出力化につながる 新しいレーザー技術 産業分野で有効な1ミクロン発振波長を世界最高レベルで発振 (2002年11月7日、文部科学省においてプレスリリース) 当研究所は、NECトーキン株式会社と共同で、産業分野における非常に重要な1ミクロン(1μm)の発振波長において、世界最高レベルの発振効率(スロープ効率※1:78%)を持ち、レーザー発振装置の小型化および大出力化につながる、新しいタイプの結晶を用いたレーザー技術の開発に成功した。北海道大学工学部の協力のもと、理研中央研究所固体光学デバイス研究ユニットの和田智之ユニットリーダー、小川貴代研究協力員およびNECトーキン(株)による研究グループによって得られた成果。研究グループでは、新しい固体レーザー用結晶であるNd:GdVO4(ネオジウム添加ガドリニウム・バナデイト結晶)を用いるとともに、活性媒質として加えるNd(ネオジウム)濃度を高めた結晶を作製。今まで活用できなかった励起波長(880nm)が活用できるようになったばかりでなく、この結晶を用いてレーザー発振を行ったところ、Nd:GdVO4結晶を用いたレーザーにおける、世界一の発振効率を得ることができた。本技術を用いたレーザー装置は、従来のYAGレーザーに比べ装置のサイズを数分の1にできる。さらに、レーザー媒質に残る熱も少ないため、大出力化および高ビーム品質化が可能となり、ナノレベルでの微細加工を強力に推進するツールとして期待される。なお、本成果を用いたレーザー発振器は、NECトーキン(株)により実用化される予定。 ● ● ● |
|
|
|
[ 目次へ ] |
|
「AsiaNANO 2002」が開催される
|
||
|
|
||
|
[ 目次へ ] |
||
|
第10回名古屋市・理化学研究所
ジョイント講演会を開催 |
||
|
|
||
|
[ 目次へ ] |
||
|
大野文部科学大臣政務官、
理研和光本所を視察 |
||
|
|
||
|
[ 目次へ ] |
||
|
展示会出展のお知らせ
|
||
|
当研究所は研究成果を広く一般の方に知っていただくため、下記の展示会に出展します。皆さまのご来場をお待ちしております。 |
||
|
[ 目次へ ] |
||
![]() 研究交流が先か、バドミントンが先か |
||||||
● 昨年10月24日から3泊5日でわれわれが訪問した先は、東洋の真珠と称されるペナン島にあるマレーシア科学大学(USM)である。USMは、マレーシアを代表する総合科学大学であり、東工大に似た大学である。しかし、大きく違う点が2つある。1つは、学生の半数が女性であること。もう1つは、大学内でお酒を飲むことが禁止されていることである。マレーシアは多民族国家であるが、国教はイスラム教である。従って、公式の場になればなるほどお酒が飲めなくなっていく。飲むことが最大の交流と日ごろから自負してやまないバドミントン部としては、最初からカウンターパンチを食らったようであった。USMと理研は、アジア連携大学院制度を締結しており、毎年1名の学生を理研が受け入れ、実験指導を行っている。マレーシアは、長い間イギリスの統治下にあったため、これまではイギリス、オーストラリアへの留学が主であった。しかし昨今、アジアの先進国から学ぼうという動きが強くなっており、大学を挙げて日本語教育にも大きな力を入れている。今回われわれがUSMを訪問した背景には、現在、生物科学部の講師となっているSudesh氏の存在が大きい。彼は、高分子化学研究室に5年半在籍するとともにバドミントン部にも入部し、その人柄から部員に非常に愛された男である。彼が帰国する際、「ぜひバドミントンの国際交流試合をしましょう」というのがわれわれとの約束であった。 ● 研究者であるわれわれは、どうしても自分の研究を人に話したくて仕方がない変な人種である。ということで、初日にRIKEN-USMミニシンポジウムを開催した。シンポジウムは、USMの紹介に始まり、生分解性プラスチック、窒素固定菌、生体膜移動タンパク、熱帯植物、大型放射光、熱帯魚類、微生物発酵、高分子構造と多岐にわたる研究発表を経て、最後に理研の紹介を行うという9時間に及ぶ盛大な会であった。夜のパーティーでのマレーシア料理のおいしさは格別であり、草の根の小さな研究交流としては最高の一日であった。2日目は、理研から10名とUSMから30名が、バドミントン専用体育館で朝9時から夕方5時まで汗を流した。バドミントンは、ネットを挟み1つの羽根を4人が追う、言葉が通じなくても心の通い合うスポーツである。さすがに、バドミントンが国技の国である。6面のコ−トと観客席のある専用体育館が大学構内にあり、われわれをいたく感動させてくれた。気温35℃近くもあるところにわざわざ出向き、バドミントンをする。何と自虐的な行為と思いながら、それをやっている自分たちに感動を覚えた2日目であった。今回Face to Faceの交流を異国の学生とできたことが最大の収穫であった。異国の多くの学生さんが理研のファンになってくれること。それが理研が世界的な研究所としてさらに大きく飛躍するためにも必要であろう。たとえ酒が飲めなくても、言葉が通じなくても。 ● さて、酒が飲みたいときに飲めない日々を送ったわれわれは、再出発の時間が早まっているアナウンスにも気が付かずに、クアラルンプール空港での待ち時間に大いに飲んだ。私は生まれて初めて、25分も出発を遅らせる原因となり、着席する前に飛行機が動き出すという経験をした。しかし、ほかの乗客の冷たい視線とは対照的に、われわれは非常に温かい心と身体でマレーシアを後にした。
中央研究所 高分子化学研究室 副主任研究員●岩田忠久 |
||||||
[ 目次へ ] |
|
||||||||||
|
[ 目次へ ] |
||||||||||