独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)オミックス基盤研究領域(理研OSC、林崎良英領域長)は、さまざまな種類のヒト細胞を使って、転写開始部位の系統的マッピングに取り組む国際的プロジェクト
このプロジェクトに先だって、理研OSCは米国Helicos BioSciences社(ヘリコスバイオサイエンス
国際コンソーシアムのFANTOMプロジェクトは、林崎良英領域長の発案により2000年に発足しました。FANTOM 1〜3では、マウス百科事典計画で完全長cDNAを集大成しました。この成果は、現在でも最大規模の哺乳類完全長cDNAデータベースとして、さまざまな研究に活用されています。FANTOM 3では、CAGE法を導入し、ノンコーディングRNA(ncRNA)の大量発見という「RNA新大陸」を明らかにし、その発現制御に考察を加えました。FANTOM 4では、CAGE法と転写
FANTOM 5では、さまざまな種類のヒト細胞を定義する転写因子ネットワークを解析し、さらなる飛躍を目指します。具体的には、ヒト細胞における転写制御の仕組みを系統的に理解することを目標に掲げました。ヒト細胞は、個体の中で同じゲノム配列を持ちながら、臓器、器官や時系列での位置により、非常に多くの多様性を持っています。異なる状態にある細胞は、異なる遺伝子を発現しており、それらは転写因子のさまざまな組み合わせにより制御されています。この細胞の多様性を系統的に理解するには、さまざまな状態の細胞種を可能な限り収集し、各々の転写因子ネットワークを解析する必要があります。
理研OSCは、ヒトの各種初代培養細胞を大規模に収集してきた下地をもとに、さらに希少なタイプの細胞を収集するため、サンプル提供とその解析を希望する共同研究者を募集します。
FANTOM4には、オーストラリア、シンガポール、スウェーデン、南アフリカ、イタリア、ドイツ、スイス、英国、米国などを含む全世界の15カ国から、51の研究機関などの研究者が参加しましたが、FANTOM5はそれを上回る規模の国際コンソーシアムになると予想されます。
プロジェクト開始と共同研究者募集のお知らせは、12月7日〜10日に神戸国際展示場(神戸ポートアイランド)で開催される日本分子生物学会年会・日本生化学会大会合同大会にて発表します。
- (問い合わせ先)
- 独立行政法人理化学研究所
- オミックス基盤研究領域
- 領域長 林崎 良英
- Tel: 045-503-9222 / Fax: 045-503-9216
- Mail: fantom5_enquiries@gsc.riken.jp
- 横浜研究推進部 企画課
- Tel: 045-503-9117 / Fax: 045-503-9113
- (報道担当)
- 独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当
- Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715
- Mail: koho@riken.jp
< 補足説明 >
| ※1 | FANTOM |
2000年に、理研旧・ゲノム科学総合研究センター 遺伝子構造機能研究グループ(現・オミックス基盤研究領域)が中心となって結成した、哺乳動物(マウス)の遺伝子を網羅的に機能注釈することを主眼とする国際的研究コンソーシアム共同集団(Functional ANnoTation Of Mammalian cDNA)の略称。現在は活動範囲を拡大し、遺伝子ネットワークの解明に取り組んでいる。最近のプロジェクトFANTOM4では、オーストラリア、シンガポール、スウェーデン、南アフリカ、イタリア、ドイツ、スイス、英国、米国などを含む全世界の15カ国から、51の研究機関などが参加している。
| |
| ※2 | Helicos BioSciences社(ヘリコスバイオサイエンス社) |
| tSMSTM (true Single Molecule Sequencing) 技術を中心とした、革新的なDNAシーケンシング技術を開発する米国ベンチャー企業。米国が中心となって進めている1,000ドルゲノム計画(1,000ドルで1人のゲノムを読めるようにしようという計画)の資金提供を受けて2004年に設立。理研OSCは、2009年より共同研究を開始し(2009年9月8日プレス発表)、現在HeliScopeTMを4台所有している。 | |
| ※3 | Cap Analysis of Gene Expression(CAGE)法 |
| 理研OSCが開発した方法で、耐熱性逆転写酵素やcap-trapper法を組み合わせて、5'末端から20塩基のタグ配列を切り出し、塩基配列を決定する実験技法。この塩基配列を読み取ってゲノム配列と照らし合わせ、どの部分がコピーされているかを調べることができる。 | |
| ※4 | 転写因子 |
| DNA上のプロモーターと呼ばれる、転写開始を促す活性を持つ特定の領域・塩基配列に特異的に結合し、RNAへの転写の過程を促進または抑制する一群のタンパク質。iPS細胞を作成する際に、導入される遺伝子も転写因子である。 |