独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、オミックス基盤研究領域(OSC、林崎良英領域長)が開始する「GeNAS(Genome Network Analysis Service)事業」に提携参加する企業(提携企業)として、理科研株式会社(代表取締役森川義雄)と株式会社ダナフォーム(土生雅英社長)の2社と包括的受託試験契約を締結しました。
理研OSCは、これまで培った研究開発成果の蓄積であるゲノムやトランスクリプトームなどの知見と、体系的なゲノム機能の網羅的解析技術を、広く国内外の大学、研究機関、産業界などに有償で提供するために、技術支援事業「GeNAS事業」を4月1日から開始します。GeNAS事業開始に伴い、この事業を円滑に進めるため、提携企業を2009年9月に募集し、選定した2社と包括的受託試験契約を2010年3月31日に締結しました。
今後は、2社がOSCと大学や研究機関、産業界などをつなぐ営業窓口機能を担い、受託解析にかかるメニューの紹介、理研と利用者間の費用の授受などの調整業務を行います。
- 経緯
理研OSCは、これまで国際FANTOM
コンソーシアム※1 や文部科学省ゲノムネットワークプロジェクト※2 に関する研究開発成果の蓄積であるゲノムやトランスクリプトームなどの知見と、体系的なゲノム機能の網羅的解析技術を培ってきました。この理研OSCの持つ解析技術や文部科学省「革新的細胞解析プログラム(セルイノベーション)※3 」で整備した次世代シーケンサー※4 を、広く国内外の大学、研究機関、産業界などに有償で提供するために、技術支援事業「GeNAS事業」を4月1日より開始します。このGeNAS事業は、セルイノベーションプログラムにおける次世代シーケンサー外部開放事業の一環となっています。GeNAS事業開始に伴い、事業を円滑に進めるため、OSCと大学や研究機関、産業界などをつなぐ営業窓口機能を担い、受託解析にかかるメニュー
(図1) の紹介、理研と利用者間の費用の授受などの調整業務(図2) を行う提携企業を2009年9月に募集し、(2009年9月7日プレスリリース)、理研内部のユーザー研究者を含む委員による選考※5 を行い、2社と包括的受託試験契約を締結しました。今後は、提携企業2社が営業窓口機能を担い、受託解析にかかるメニューの紹介、理研と利用者間の費用の授受などの調整業務を通じて、理研の成果・技術を普及していく予定です。
- 包括的受託試験契約締結企業一覧(応募順)
- 採択の経緯と利用開始の日程
提携企業募集開始 2009年9月7日 提携企業募集締切 2009年10月2日 選考委員会による審査・採択 2009年10月7日 包括的受託試験契約締結 2010年3月31日 提携企業を通した利用者の受入 2010年4月1日〜
- < 提携企業利用受付・問い合わせ先 >
- 理科研株式会社 鶴見営業所
- 所長 居塚 敬祐(いずか たかまさ)
- Tel: 045-500-4551 / Fax: 045-500-4571
- URL: http://www.rikaken.co.jp/
- 株式会社ダナフォーム 国内営業部
- 部長 横山 安伸(よこやま やすのぶ)
- Tel: 045-510-0607 / Fax: 045-510-0608
- URL: http://www.dnaform.jp/
- < 報道担当・問い合わせ先 >
- (問い合わせ先)
- 独立行政法人理化学研究所
- 社会知創生事業 連携推進部
- イノベーション推進課 (担当:生越、山本)
- Tel: 048-462-5287 / Fax: 048-462-4718
- 横浜研究推進部 企画課
- 次長 今泉 洋(いまいずみ ひろし)
- Tel: 045-503-9328 / Fax: 045-503-9113
- (技術内容 問い合わせ先)
- 独立行政法人理化学研究所 横浜研究所
- オミックス基盤研究領域
- LSAシステム構築グループ
- (担当:河合、眞鍋、鈴木)
- Tel: 045-503-9237 / Fax: 045-503-9216
- (問い合わせ先)
- 独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当
- Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715
- Mail: koho@riken.jp
< 補足説明 >
| ※1 | 国際FANTOMコンソーシアム | |||||||
| 2000年に、理研ゲノム科学総合研究センター遺伝子構造・機能研究グループ(現・オミックス基盤研究領域)が中心となって結成した。ほ乳動物(マウス)の遺伝子を網羅的に機能注釈することを主眼とする国際研究コンソーシアム(Functional ANnoTation Of Mammalian cDNA)の略称。現在は活動範囲を拡大し、遺伝子ネットワークの解明に取り組んでいる。オーストラリア、シンガポール、スウェーデン、南アフリカ、イタリア、ドイツ、ギリシャ、スイス、英国、米国などを含む全世界の15カ国から、51の研究機関などが参加している。 | ||||||||
| ※2 | 文部科学省ゲノムネットワークプロジェクト | |||||||
| 2004年度から文部科学省(笹月健彦推進委員会主査、榊佳之実施会議議長、林ア良英中核機関研究課題代表者)によって開始された。今後のポストゲノムシーケンシング研究の発展を目指して、国際レベルにある研究ポテンシャルを活用しつつ、遺伝子の発現調節機能やタンパク質などの生体分子間の相互作用の網羅的な解析に基づき、生命活動を成立させているネットワークを明らかにすることを目的とした。 | ||||||||
| ※3 | 革新的細胞解析プログラム(セルイノベーション) | |||||||
| セルイノベーションは、文部科学省ゲノムネットワークプロジェクトなどで得られた成果や基盤を活用しつつ、革新的な解析能力を持つ高速シーケンサーによる大規模・多面的なゲノム情報の解析や細胞のイメージングなどの手法により、細胞・生命プログラムの解読を目指すプロジェクト。シーケンス拠点、データ解析拠点、先導研究の3つに分かれており、シーケンス拠点は、同時に採択された多様かつ大量のデータを取り扱うデータ解析拠点(情報・システム研究機構国立遺伝学研究所)と緊密に連携して、同じく採択された先導研究を強力に支援するとともに、「先導研究への支援等に支障を与えない範囲で、次世代シーケンサーの外部開放をプログラム実施期間中に開始すること」という必要要件が付いている。 | ||||||||
| ※4 | 次世代シーケンサー | |||||||
| 米国を中心に、従来のDNAシーケンサーが採用していたサンガー法とは異なる原理を採用することで、短いDNA配列をきわめて高速に解読する技術が開発され、活用できるようになった。シーケンサー開発分野は発展が目覚ましく、同じ次世代といっても大きな性能差があるため、第2世代、第3世代と細分化するようになってきた。現在、理研ではセルイノベーションでの整備を含み、ロッシュ社、イルミナ社、アプライドバイオシステムズ社、ヘリコスバイオサイエンス社などの次世代シーケンサー最新機種を所持している。 | ||||||||
| ※5 | 理研内部のユーザー研究者を含む委員による選考 | |||||||
| 提出書類と企業からのプレゼンテーションを受け、募集要領に記載した「応募条件」を満たしているかどうかを選考した。 選考委員会 2009年10月7日 選考委員:
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図1 GeNAS受託解析メニュー
CAGE解析*とDNA配列解析の2つのメニューを実施。Short RNA解析やそのほか現在開発中の解析を受託解析項目に加えて行く予定。
* CAGE解析
Cap Analysis of Gene Expressionの略。理研オミックス基盤研究領域が開発した方法で、耐熱性逆転写酵素やCap-trapper法を組み合わせて、5'末端から27塩基のタグ配列を切り出し、塩基配列を決定する実験技法。この塩基配列を読み取ってゲノム配列と照らし合わせ、どの部分がコピーされているかを調べることができることで、ゲノムワイドな転写開始点解析、遺伝子発現解析およびプロモーター予測ができる。なお、この技術は理研と理研ベンチャー企業の1つである株式会社ダナフォームとの共有特許である。

図2 GeNAS事業のスキーム