独立行政法人理化学研究所(以下理研、野依良治理事長)の基幹研究所(玉尾皓平所長)は、韓国・漢陽(ハンヤン)大学(金鍾亮(キム・ジョンリャン)総長)のフュージョン・テクノロジー・センター(Fusion Technology Center:FTC)※1の5階に、国際連携研究グループ揺律※2機能アジア連携研究チーム(原正彦チームリーダー)の分室を設置しました。理研が韓国に研究拠点を置くのは、初めてのことです。
揺律機能アジア連携研究チームでは、漢陽大学の李海元(イ・ヘウォン)教授らと協力して、これまでエレクトロニクスデバイスの開発において障害とされてきた分子の「ゆらぎ」や「不安定性」を積極的に活用し、機能材料の開発や新規情報処理を行う「ポストナノテクノロジー」の確立を目指してきました。2008年4月10日には、研究協力を実施するとともに、人材交流や情報交換を行い、世界で活躍するアジア出身の次世代研究者を育成することを目指し、同大学と協力協定を締結しました(2008年4月9日お知らせ)。
今回の拠点開設により、両者の連携をより強化するとともに、それを核に、中国、インド、シンガポールなどのアジア諸国へ連携の和を広げて行く予定です。
2008年7月1日午前11時より、漢陽大学にてFTC開所式が開催され、理研をはじめ多くの関係者が出席しました。
| 1. |
経緯 |
揺律機能アジア連携研究チームの原正彦チームリーダーらは、漢陽大学の李教授らとナノテクノロジーと有機材料研究の分野の研究で1989年頃から、共同研究を行ってきました。
韓国では、ナノテクノロジー、ナノバイオテクノロジー分野の融合研究拠点として、漢陽大学にFTCを建設し、そのスペースの半分を国内外の研究機関と連携するジョイントプログラムに開放する計画が進んでいました。一方、わが国では、理研が、本格的な多国籍メンバーから成る柔軟な研究体制を確立し、数多くのプロジェクト研究を推進してきました。韓国側は、この理研のノウハウをFTCの運営に生かしたいと考え、理研と漢陽大学の共同研究の拠点をFTCに置いて研究を進展させ、連携を深めることを提案しました。
これを受け、2005年4月から、原チームリーダーと李教授を中心として、シンポジウムや人材交流などを活発に実施し、共通の課題を検討するといったフィジビリティ・スタディを行ってきました。その結果、日本における少子化や理科離れ、また韓国をはじめとするアジア諸国での優秀な人材の欧米流出などの課題に対して、理研と漢陽大学が協力して打開する必要性を強く認識しました。特に、人材を確保するためには、アジアの文化に基づいた新しい国際化のためのスタンダードを構築し、次世代研究者を育成すること、ひいては欧米先導と異なる科学技術創成に対して、新しい研究体制のスキームを発信することで意見が一致しました。これらの具体的な協力を進めるために、理研と漢陽大学は、2008年4月10日に協力協定を締結しました。この協定に基づき、理研は、7月から、FTCの5階の研究スペースを借り受けて研究分室を設置し、本格的な研究活動を開始します。
この研究分室では、ナノテクノロジーの限界を見極め、次に来るべき「ポスト」ナノテクノロジーの提案と確立を目指します。このため、今まで、エレクトロニクスデバイス開発に対してネガティブな要素であった分子や原子の「ゆらぎ」や「不安定性」を、積極的に活用した機能材料の開発や新規情報処理方法などを議論する「揺律による創発」に関する研究協力を展開します。
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| 2. |
今後の期待 |
| 理研基幹研究所は、アジアリサーチネットワークを構築し、漢陽大学をはじめとする参加予定の研究機関(ソウル大学、浦項(ポハン)工科大学、韓国化学研究院(KRICT)、韓国電子通信研究院(ETRI)、韓国パスツール研究所)と連携し、21世紀の革新的科学技術の創製を目指します。今後、日本と韓国の連携を核に、中国、インド、シンガポールなどのアジア諸国へ連携の和を広げていく計画です。 |
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各機関概要 |
| (1) |
基幹研究所 |
定年制の研究者を母体として、幅広い分野の独創的基礎研究から新しい研究の芽を生み出す役割を担ってきた「中央研究所」と、理研で初めての任期制研究者主体のプロジェクト研究を推進し、新たな研究の芽を育てる役割を担ってきた「フロンティア研究システム」を統合して、2008年4月に発足。
物理学、化学、工学、生物学、医科学などの広範な分野でハイリスクな研究課題に挑み、科学に飛躍的進歩をもたらす発見と革新の創出を目指すとともに、それらの発見と革新を競争性と戦略性をもってはぐくみ、次代の研究分野創出を目指します。
基幹研究所では、「連携研究部門」を置き、産業界との連携、国内外の大学・研究機関などとの連携強化にも積極的に取り組んでいます。「国際連携研究グループ」も、連携研究部門に属します。 |
| (2) |
漢陽大学 |
| 大韓民国初の私立工科大学として1939年に発足。ソウル市と京畿道安山市にキャンパスを構え、理工系を始め、人文、社会、芸術、体育など幅広い分野の国際的人材教育を行っています。教授数1,146人、学生数35,634人(2007年4月現在)。23カ国、211の大学と交流があり、毎年約1,300余名の学生を派遣しています。 |
| (問い合わせ先) |
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独立行政法人理化学研究所 |
| 基礎基盤研究推進部 企画課 |
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| Tel | : |
048-467-9258 |
/ |
Fax | : |
048-462-4608 |
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| (報道担当) |
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独立行政法人理化学研究所 広報室 |
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<補足説明>
| ※1 |
Fusion Technology Center(FTC) |
| 漢陽大学が、国内外の研究機関との連携を推進することを目的に、建設した施設。2006年10月に着工、2008年5月竣工。12階建ての建物のうち5階の1フロア(約2,314m2)を理研に提供している。建設費の一部をソウル市が援助。 |
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| ※2 |
揺律 |
| 揺動(ゆらぎ)から自律した機能、揺動から生まれる律動。 |
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| FTC開所式の様子 |
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| 左:金 漢陽大学総長、中央:呉世勲(オ・セフン) ソウル市長、右:野依良治 理研理事長 |
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| 野依理事長に名誉博士号を授与 |
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| 理研の研究拠点の様子 |
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