ポイント
- アフリカの薬用植物に抗マラリア成分生産能を付与 (南アフリカ)
- カラハリ砂漠の野生植物遺伝子資源の有効利用 (ボツワナ)
- ナイル川の水資源の管理と寄生植物ストライガの防除 (スーダン)
独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)植物科学研究センター(PSC)は、国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)、国立大学法人神戸大学と協力し、2007年11月20日(火)午前9時から理研横浜研究所 交流棟1階ホール(横浜市鶴見区)で、「アフリカ資源の高度利用に向けた植物科学研究」をテーマとする国際シンポジウムを開催します。シンポジウムは、2008年5月に横浜市にて開催を予定している第4回アフリカ開発会議(TICADW)※1のプレ企画として実施するもので、日本、南アフリカ、スーダン、ボツワナの研究者約30名が参加します。
食料増産、感染症克服に関わる様々な問題を抱えるアフリカ諸国の共通点として、固有植物を活用した医薬品開発、砂漠化に対応した作物の開発などが必至の課題となっています。これらの課題を解決するため、独立行政法人科学技術振興機構(北澤宏一理事長、以下JST)は、戦略的国際科学技術協力推進事業課題に「感染症克服に向けた南ア固有植物への価値付与のための分子遺伝学的研究」(理研植物科学研究センター多様性代謝研究チーム村中俊哉チームリーダー)を、独立行政法人日本学術振興会(小野元之理事長、以下JSPS)は、アジア・アフリカ学術基盤形成事業課題に「ポストゲノミックス研究によるカラハリ砂漠資源野生植物の高度利用基盤の確立」(国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科横田明穂教授)と、「スーダンにおける食糧生産の増大と安定化を目指した水資源管理と寄生雑草の防除」(国立大学法人神戸大学大学院農学研究科杉本幸裕教授)を選定して研究を展開中です。2007年度は、この3つのプロジェクトの最終年度にあたり、これまでの研究成果を集大成するシンポジウムを開催し、アフリカ諸国が抱える課題の共通点、相違点を見いだし、より総合的な議論に発展させ、本共同研究を次のステージに進めるための足がかりを築くことを目指します。
当日は、南アフリカ(理研PSC)、ボツワナ(NAIST)、スーダン(神戸大)の研究者が参加し、食料生産の増強、感染症の克服に向けた植物資源の高度有効利用化についての研究発表、アフリカの有用植物に関する数多くの書籍を執筆・出版している南アフリカ共和国のヨハネスブルク大学のファン・ヴィック教授他、日ア30名の講演とポスター発表を行います。
シンポジウムの開催は、外務省、独立行政法人国際協力機構、理化学研究所、横浜市、横浜市立大学からの後援を得ており、野田由美子横浜市副市長が開会挨拶を行います。
| 1. |
背 景 |
アフリカは、多種多様な植物資源の宝庫です。食料生産の増強、感染症の克服には、その資源を高度利用するための科学技術導入が非常に重要です。
理化学研究所植物科学研究センターは、2006年に南アフリカ共和国のプレトリア大学および科学産業研究評議会とそれぞれに共同研究契約を締結しました。本研究契約の下、JSTの戦略的国際科学技術協力推進事業課題「感染症克服に向けた南ア固有植物への価値付与のための分子遺伝学的研究」にて、マリオン・マイヤー(J.J. Marion Meyer)教授(プレトリア大学園芸学部)と共に、南アフリカに生息する薬用固有植物とアジア原産の薬用植物との比較ゲノム解析、メタボローム解析により、抗マラリア活性成分のジーンディスカバリー研究を実施しています(図1)。
奈良先端科学技術大学院大学は、2005年2月に、「乾燥ストレスおよび強光または高温に対する耐性の原因となる野生スイカの遺伝子の解析」をテーマに、ボツワナ共和国農務省農業研究部との間に2010年までの共同研究契約を締結しました。本契約の趣旨は、野生スイカ環境応答分子機構解明の研究を行うとともに、この研究を通して同研究部の分子レベルの研究スキルを強化することを狙ったものです。JSPSのアジア・アフリカ学術基盤形成事業「ポストゲノミックス研究によるカラハリ砂漠資源野生植物の高度利用基盤の確立」は本研究契約を具体化するもので、 カラハリ砂漠の自然環境の下で野生スイカが示す環境応答の分子機構の解明 カラハリ砂漠に約300 種存在する野生スイカの品種系統化のための方法論の確立とウリ科野生植物の分子系統化 アフリカ資源野生植物有用遺伝子発掘センター設置を目指しています(図2)。
一方、神戸大学大学院農学研究科が実施するJSPSのアジア・アフリカ学術基盤形成事業の「スーダンにおける食糧生産の増大と安定化を目指した水資源管理と寄生雑草の防除」では、ナイル川下流の水資源の有効利用による大規模潅漑農業の持続的発展と根寄生雑草の防除を目標として、神戸大学大学院農学研究科とスーダン農業研究機構(Agricultural Research Corporation, Sudan)を主たる実施組織として 青ナイル川下流域の総合的な水資源管理 乾燥地域における持続的潅漑農業の確立 根寄生雑草種子に対する自殺発芽誘導剤の開発 根寄生雑草に対する宿主植物の抵抗性機構の解明、について共同研究を実施しています(図3)。
これらの三機関はこれまで、日本および相手国においてシンポジウムあるいはセミナーを実施し、互いの研究成果を報告して研究交流を図ってきました。また、相手アフリカ国への先進科学技術導入も図ってきました。
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| 2. |
シンポジウムの概要 |
| 本シンポジウムでは、村中俊哉チームリーダー(理研PSC多様性代謝研究チーム)とマリオン・マイヤー教授が『感染症克服に向けた南アフリカ固有植物への価値付与のための分子遺伝学研究』について、横田明穂教授(NAISTバイオサイエンス研究科)とセージャ・マファニアーネ部長(ボツワナ共和国農務省農業研究部)が『ポストゲノミックス研究によるカラハリ砂漠資源野生植物の高度利用基盤の確立』について、杉本幸裕教授(神戸大学大学院農学研究科)とアブデルバギ M. アリ教授(スーダン農業研究機構)が『スーダンにおける食糧生産の増大と安定化を目指した水資源管理と寄生雑草の防除』をテーマに、それぞれ講演を行うほか、多数のポスターセッションを予定しています。
| 開催日時: |
2007年11月20日(火) 9:00〜17:30 |
| 会場: |
理化学研究所横浜研究所 交流棟1階ホール
横浜市鶴見区末広町1丁目7−22
(JR京浜東北線「鶴見駅」及び京急鶴見駅前からバスで約8分またはJR鶴見線「鶴見小野駅」下車徒歩15分)
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| 参加費: |
無料 |
| 言語: |
全講演英語(同時通訳なし) |
| プログラム: |
植物科学研究センター イベント情報のページを参照 |
| 申込方法: |
名前、所属、連絡先(電話、FAX, E-mail)、懇親会参加の有無をメール(okino@riken.jp)またはFAX(045-503-9492)にてお申し込み下さい。 |
| 申込締切り: |
100名に達し次第、締め切ります。 |
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| 3. |
今後の期待 |
| 理化学研究所、奈良先端科学技術大学院大学、神戸大学の各プロジェクトは、今年度が最終年度です。今回、合同で国際シンポジウムを開催することによって、これまでの研究成果を集大成するとともに、食料生産、感染症克服に関わる様々な問題を抱える他のアフリカ諸国との共通点、相違点を見いだして、より総合的な議論に発展させるとともに、本共同研究を次のステージに進めるための足がかりを築くことを目指します。また、来年度、横浜にてアフリカ開発会議(TICAD IV)が開催されます。本シンポジウムをTICAD IVのプレ企画として位置づけることにより、広く一般の方々にもアフリカ植物資源の重要性を認知していただくとともに、アフリカ研究に興味を持つ若い世代が育つことを期待します。 |
| (問い合わせ先) |
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独立行政法人理化学研究所 |
| 横浜研究推進部 企画課 田中 淑子(たなか よしこ) |
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| Tel | : |
045-503-9471 |
/ |
Fax | : |
045-503-9113 |
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| (報道担当) |
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独立行政法人理化学研究所 広報室 |
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<補足説明>
| ※1 |
第4回アフリカ開発会議(TICAD) |
| 第4回アフリカ開発会議(TICAD W)は、2008年5月28日(水)から30日(金)に横浜で開催され、100カ国近い国々から、1,000人以上もの参加者が見込まれる大規模な国際会議。本シンポジウムは、TICAD Wのプレ企画として実施している。 |
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図1「感染症克服に向けた南ア固有植物への価値付与 のための分子遺伝学的研究」概要 |
| (理研PSC) |
| アジア原産のアルテミシア・アヌアは抗マラリア成分のアルテミシニンを含有している。一方、これと同属のアルテミシア・アフラは、南アフリカ固有植物であり、伝統医薬として風邪・インフルエンザの治療に用いられてきた。両者の遺伝子を比較解析することによって、アルテミシニン生合成に関わる遺伝子を発見する。さらに、発見した遺伝子をアルテミシア・アフラに遺伝子導入し、南アフリカの薬用植物アルテミシア・アフラに新たな価値を付与することによって、アフリカにおける抗マラリア成分の持続的供給を目指している。 |
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図2 「ポストゲノミックス研究によるカラハリ砂漠資源野生植物の 高度利用基盤の確立」概要 |
| (NAIST) |
| 奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)は、2005年2月に、「乾燥ストレスおよび強光または高温に対する耐性の原因となる野生スイカの遺伝子の解析」のため、ボツワナ共和国農務省農業研究部との間に2010年までの共同研究契約を締結した。このプロジェクトでは、図にあるように、野生スイカの分子系統化と有用遺伝子探索研究を共同で行うことによって、ボツワナの植物研究者に最先端植物科学の理論と方法を共有することを目指している。 |
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図3 「スーダンにおける食糧生産の増大と安定化を目指した 水資源管理と寄生雑草の防除」概要 |
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(神戸大学) |
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