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独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、米国国立衛生研究所(NIH)が主導するヒトのゲノム機能の解明に特化した世界的な大規模プロジェクト新ENCODE※1に参加することを決めました。ゲノム科学総合研究センター(榊佳之センター長)遺伝子構造・機能研究グループ(林ア良英プロジェクトディレクター)が、「ヒトにおけるトランスクリプトームの総合的解析」という研究課題で、Thomas Gingeras(トーマス・ジンジェラス)博士(米国アフィメトリックス社)を中心とする研究グループのメンバーとして加わることが、2007年10月1日にNIHに認められ、決定しました。この研究グループは、米国、欧州、シンガポールなどから7研究機関が加わる大規模なものです。
| 概要 |
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2007年10月10日、NIHは、現行のENCODEプロジェクトを拡大し、ヒトゲノムの機能解析をさらに進めることを発表しました。理研ゲノム科学総合研究センター遺伝子構造・機能研究グループでは、これまでもCAGE※2データを提供することで、ENCODEプロジェクトに参加・協力してきましたが、今回の拡大プロジェクトでも、「ヒトにおけるトランスクリプトームの総合的解析」の研究を推進する立場で参加することが決定しました。ENCODEプロジェクトは、2007年6月14日付の『Nature』において、ヒトゲノムの93%の領域が利用されていることや、多くの非タンパク質コードRNAについて報告しており、同研究グループの先駆的な報告を実証するとともに、ゲノムについての理解をさらに深める役割を果たしました。(参考:2007年6月14日 研究成果)
研究グループでは、今後4年間で、CAGE法やマイクロアレイなどを用いて、タンパク質をコードするRNAとタンパク質をコードしないRNAを収集し、転写開始点、選択的スプライシングサイトなどを同定することを目標としています。理研では、同研究グループが中心となって、CAGE法を主体的に使って、とくにポリA末端※3を持たないRNAを集中的に収集・解析します。ポリA末端のないRNAは、これまでほとんど解析の対象となっていなかったことから、未知のRNAの性質や機能の発見に結びつく可能性があります。このプロジェクトに参加することで、1,000個以上の新規RNAが見出されると予想されており、生体内に存在する多様なRNAの新たな一面が明らかになると期待されます。これらの知見は、生命を分子レベルで理解するための重要な基礎の一部となります。
※NIHプレスリリース
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| (問い合わせ先) |
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独立行政法人理化学研究所 |
| ゲノム科学総合研究センター 遺伝子構造・機能研究グループ |
| プロジェクトディレクター 林ア 良英(はやしざき よしひで) |
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| Tel | : |
045-503-9222 |
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Fax | : |
045-503-9216 |
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| 横浜研究所 研究推進部 企画課 |
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| Tel | : |
045-503-9117 |
/ |
Fax | : |
045-503-9113 |
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| (報道担当) |
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独立行政法人理化学研究所 広報室 |
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<補足説明>
| ※1 |
ENCODEプロジェクト |
| ENCODE(ENCyclopedia Of DNA Elements)プロジェクトは、ヒトゲノムのプロモーター配列、制御領域、およびゲノムDNAに結合するタンパク質因子の同定などを行うもので、米国NIHが主導する世界規模のプロジェクト。2003年に開始したプロジェクトでは、ゲノムの1%の領域に集中して試験的な解析を行い、その結果を『Nature』(2007年6月14日号)に発表した。 |
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| ※2 |
CAGE |
| Cap Analysis of Gene Expressionの略。耐熱性逆転写酵素やcap-trapper法を組み合わせて転写物の5'末端から20塩基のタグ配列を切り出し、塩基配列を決定する実験技法。RNAの多様性やプロモーターの同定に強力な解析法である。 |
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| ※3 |
ポリA末端 |
| RNAポリメラーゼIIによって転写されたRNAには、3'末端に約200塩基のアデニル酸が次々に付加される。この部分をポリA末端とよぶ。 |
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