お知らせ 独立行政法人 理化学研究所
渡辺 貞プロジェクトリーダーがシーモア・クレイ賞を受賞
- 日本人初の受賞 -
平成18年11月9日
 独立行政法人理化学研究所(理事長:野依良治、以下「理研」という)の渡辺 貞(わたなべ ただし)次世代スーパーコンピュータ開発実施本部プロジェクトリーダーの、シーモア・クレイ賞※1の受賞が決まりました。
 シーモア・クレイ賞は、高性能計算システムに対する革新的な貢献を通じてSeymour Cray 氏(Cray社の創設者)の示したcreative spiritを最も体現した個人に贈られる賞で、IEEE computer society により1997年に制定されたものです。日本人が受賞するのは、渡辺プロジェクトリーダーが初めてになります。
 今回の受賞は、渡辺プロジェクトリーダーが、理研に着任する前(略歴は次ページ以降を参照)、日本電気株式会社においてスーパーコンピュータの開発に従事し、スーパーコンピュータ「SXシリーズ※2」の開発及び「地球シミュレータ※3」の開発における功績に対し贈られるものです。
 現在渡辺プロジェクトリーダーが陣頭指揮をとっている次世代スーパーコンピュータは、文部科学省が推進する「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」プロジェクトの一環として、理研が中心となって、世界最高性能の達成を目指して開発を進めている計算機です。今回の受賞で示されたように、スーパーコンピュータに関する渡辺プロジェクトリーダーの卓抜した経験と能力が、本プロジェクトの目標達成に活かされることが期待できます。

 表彰式は、11月11日(土)から米国フロリダ州タンパにて開催されるSC※406の会期中の同会場内に於いて、11月15日(水)午前8時30分(現地時間)からのセッションで行われる予定です。

1. 受賞タイトル
シーモア・クレイ(Seymour Cray)賞
(正式名称:Seymour Cray Computer Science and Engineering Award)


2. 受賞理由
 スーパーコンピュータNEC SXシリーズの主任設計者としての功績、特に、2002年から2004年にかけて世界最速であった地球シミュレータの設計に対しての貢献。


3. 授賞式
 2006年11月15日(水)午前8時30分から SC06の会場(Tampa Convention Center, Florida)にて行われる予定です。


4. SCについて
 SCは、世界最大のスーパーコンピュータに関する国際会議です。1988年から毎年開かれているもので、今年で19回目になります。SCは"Supercomputing Conference"の略で、現在の正式名称は、"International Conference for High Performance Computing, Networking, Storage and Analysis "。
 今年は11月11日(土)から17日(金)(現地時間)にかけて、アメリカ合衆国フロリダ州タンパで行われます。この会議の中で、スーパーコンピュータの世界的な順位を示すTOP500も発表されます。(参考:http://sc06.supercomputing.org/
 今年のSC(SC06)では、実用計算としての世界最速を認定する「ゴードン・ベル賞※5」の表彰も行われ、理研横浜研究所のMDGRAPE-3システム※6を用いた計算結果で、泰地真弘人チームリーダーを代表とするチームが最終候補になっています。ゴードン・ベル賞の発表は、11月16日(木)(現地時間)の予定です。


5. 渡辺 貞 略歴 (2006年10月現在)

氏名: 渡辺  貞(わたなべ ただし)

【現職】
理化学研究所 次世代スーパーコンピュータ開発実施本部 プロジェクトリーダー

【学歴】
1968年3月 東京大学大学院工学系研究科修士課程電気工学専攻 修了
2005年9月 博士(情報科学)東北大学

【職歴】
1968年4月 日本電気(株) 入社
1982年7月 日本電気(株) コンピュータ技術本部技術課長 (スーパーコンピュータの開発)
1999年10月 日本電気(株) NECソリューションズ 支配人(HPC担当)
2005年12月 日本電気(株) 退社
2006年1月 文部科学省研究振興局研究振興官
2006年8月 理化学研究所入所

【受賞】
・1998年 ACM/IEEEエッカート・モークリー賞受賞

【所属学会】
・電子情報通信学会、情報処理学会、日本計算工学会、各会員
・IEEE Fellow
・2002−2005 日本計算工学会理事・副会長


<補足説明>
※1 シーモア・クレイ賞

 (正式名称:Seymour Cray Computer Science and Engineering Award) 高性能計算システムに対する革新的な貢献を通じてSeymour Cray 氏(Cray社の創設者)の示したcreative spiritを最も体現した個人に贈られる賞で、米国の電気電子技術者協会(IEEE:Institute of Electrical and Electronics Engineers)により1997年に制定された。歴代受賞者・受賞理由は次のとおり。

第7回 2005年 Steven L. Scott(Cray社CTO)
「Cray X-1, Black Widow等のアーキテクチャ開発に対して」
第6回 2004年 William J. Dally(スタンフォード大 教授)
「インターコネクト、並列コンピュータへの貢献に対して」
第5回 2003年 Burton J. Smith(Cray 社 チーフ・サイエンティスト)
「並列化技術とその商用化への貢献に対して」
第4回 2002年 Monty M. Denneau
「IBMにおける並列処理の開発に対して」
第3回 2001年 John L. Hennessy(現スタンフォード大 総長)
「ccNUMA(プロセッサのメモリに関する技術)の発明者として」
第2回 2000年 Glen J. Culler(UCSB 教授)
「VLIW(プロセッサ高速化技術)の発明者として」
第1回 1999年 John Cocke(IBM社)
「RISC(プロセッサへの命令を効率化する技術)の発明者として」
※2 SXシリーズ
 日本電気株式会社が1983年に発売したベクトル型スーパーコンピュータである。初代の「SX-2」では、当時世界に先駆けて初めてシングルCPUでG(ギガ)FLOPS(1秒間に10億回の演算を行う能力)を超える性能を達成し、世界最高速のスーパーコンピュータであった。そして、1994年には「SX-4シリーズ」でCMOSテクノロジーを採用し、T(テラ)FLOPS(1秒間に1兆回の演算を行う能力)を超える性能を実現した。「SX-6」では1チップベクトルプロセッサを開発し、大規模クラスタ構成として100ノード以上の構成を可能にした。最新機種の「SX-8R」では、1ノード281.6GFLOPSの性能で、最大512ノード構成で144TFLOPSの演算性能を実現している。
※3 地球シミュレータ
 宇宙開発事業団、日本原子力研究所、海洋科学技術センター(名称、全て開発当時)が開発したスーパーコンピュータ。2002年から2年半にわたり世界最速(LINPACKベンチマークテストによる)を誇ったベクトル型並列スーパーコンピュータ。総プロセッサ数5,120個、理論演算性能は40TFLOPS。コンピュータ内に仮想地球を作り、大気や海水、地殻の状態を高速かつ高精度にシミュレーションでき、中長期的な環境変動や災害などの予測、解明を目的に開発、使用されている。また、バイオ、ナノ分野など先進分野でも利用されている。
※4 SC
 世界最大のスーパーコンピュータに関する国際会議。1988年から毎年開かれている。今年で19回目。
※5 ゴードン・ベル賞
 この賞は特定の実用計算を行い、その計算方法や計算時間を論文にまとめたものを、米国の電気電子技術者協会(IEEE:Institute of Electrical and Electronics Engineers)のスーパーコンピュータ学会に設置された委員会が審議し、認定される。4つのカテゴリーがあるが、毎年全てのカテゴリーで表彰が行われるわけではなく、表彰するに値する論文がある時に、表彰が行われる。
 4つのカテゴリーとは、以下のとおり。
  • Peak performance based on sustained floating point operations per second (実行効率)
  • Price per performance ratio measured in sustained flop/s per dollar of acquisition cost(実効性能ベースの価格性能比)
  • Special accomplishment for innovation in scalable implementation
    (スケーラビリティを実現するイノベーションのための特別な業績)
  • Scalability achieved through language constructs
    (言語の構造によって実現されたスケーラビリティ)
※6 MDGRAPE−3システム
 理論ピーク性能 1P(ペタ)FLOPS(1秒間に1,000兆回の演算を行う能力)を実現する分子動力学シミュレーション専用コンピュータ・システム。

 

<報道担当・問い合わせ先>
(問い合わせ先)

独立行政法人理化学研究所
  次世代スーパーコンピュータ開発実施本部
企画調整グループ  川井和彦、内田紀子

Tel : 048-467-9265 / Fax : 03-3216-1883

(報道担当)

独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当

Tel : 048-467-9272 / Fax : 048-462-4715

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