お知らせ 独立行政法人 理化学研究所
ひと目でわかる遺伝子変異:最先端のDNA研究を学校で体験!
- 独自開発の教材キットを使って生命科学ファンの子供を育てる試み -
平成18年7月13日
 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)ゲノム科学総合研究センター(榊佳之センター長)林ア良英プロジェクトディレクターは、遺伝子の変異を目でみて検出する教材『DNA「ふえ〜るくん」と「みえるちゃん」(DNA増幅&検出キット)』を用いた初めての実験教室を、山梨県立甲府南高等学校(清水鼓校長)が開催する「サイエンスフロンティアフォーラム」で行います。
 『DNA「ふえ〜るくん」と「みえるちゃん」』は、林アらがJST(独立行政法人科学技術振興機構)プレベンチャー事業において独自に開発したDNA人工増幅技術と検出系を組み合わせ、高価な器具を使わずに、遺伝子の変異を目で見て検出できる初めての画期的な教材キットです。試料にはお酒に強い人と弱い人がいることの原因となる「アルデヒド脱水素酵素」遺伝子の一塩基多型(SNP:スニップ)を用い、日常の話題から生命科学の最先端の話題へと展開します。遺伝情報が生み出す個人差を、DNAという物質を目で見て実感してもらう、科学嫌いの生徒にも楽しくわかりやすい講演・実習です。
  講演・実習の模様をぜひ取材していただければと思います。取材をご希望の方は、別紙(WORD / PDF)の取材申込書をFAXにて、問合せ先までお送りください。お申し込みの締め切りは、7月18日(火)です。


1. 開催概要
日 時 平成18年7月20日(木)
13:30〜15:40(受付13:10〜13:20)
場 所 山梨県立甲府南高等学校 生物講義室
山梨県甲府市中小河原町222番地
講演者 理化学研究所 ゲノム科学総合研究センター
林ア 良英 博士


2. 「サイエンスフォーラム」について
 文部科学省の推進するスーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業の一環として、甲府南高等学校が開催している講演会。一流の研究者や講演者を招いて自然科学に関する興味・関心を高め、科学技術と社会の関わりについて考える機会を提供する。平成16年度から開催し、今回で第5回目となる。


3. 講演について
〈タイトル〉

遺伝子の最前線はこうなっている!『RNA新大陸と遺伝情報を担う物質』
〜変更を迫られる遺伝子の定義〜


〈概要〉

ヒトゲノムとは4種類の塩基(ATGC)が鎖状に30億個連なったものである。タンパク質へ翻訳される遺伝子はゲノム全体の約2%にあたるため、これまで、ヒトの生命活動に役立つのはゲノムのわずか2%で、それ以外は不要な部分と考えられていた。しかし、林アらによる最近の研究で,全ゲノムの約70%がRNAに転写されていることを突き止め、今まで不要と考えられていた部分が,実は何らかの重要な機能を持っていることを明らかにした。さらに、転写されたRNAの半数以上がタンパク質をつくらず(non-coding RNA:ncRNA)、独自に機能を果たしている可能性があることを突き止めた。体質などの表現形質は全てゲノムDNAの塩基配列情報に依存しているが、情報が形質として表れる過程でさらにRNAが直接機能を有することを意味している。講演の後半では、こうした個人個人の遺伝子の違いを目で見て確認できる独自に開発した教材キットを用い、遺伝子研究の最先端を身近に感じる体験学習を行なう。


(林ア良英博士プロフィール)
1986年大阪大学医学部大学院博士課程内科系修了。医学博士。1998年より理化学研究所ゲノム科学総合研究センター遺伝子構造・機能研究グループ プロジェクトディレクターとしてゲノムネットワークプロジェクトを推進し、トランスクリプトームの総合的解析から遺伝子ネットワークの解明、RNA機能の解明を進めている。


4. 教材キット『DNA「ふえ〜るくん」と「みえるちゃん」』について
実験では、独自開発した60℃の一定温度の増幅法を用いて、従来では高価な精密機器が必要だった一塩基多型(SNP:スニップ)の検出を目視で確認できるようにした。器具も家庭用の加熱器具と保温容器があれば実験できる。検出目的の一塩基多型は、アセトアルデヒド脱水素酵素の遺伝子中にあり、2つの遺伝子多型を組み替えたプラスミドDNAを試料として用いる。SNPの違いにより片方の溶液ではDNAの増幅が行われるが、もう一方では増幅が見られない。この増幅の違いを、色素と沈殿促進剤を加えることにより、増幅されたほうで青色に染まったDNAが析出してくることを用いて違いを確認する。これは、現在教材であるが、精密機器の使えない僻地でのDNA検出法への開発への可能性を示している。

染色されたDNA


(問い合わせ先)

独立行政法人理化学研究所
 横浜研究所 研究推進部 企画課 川名 真澄

Tel: 045-503-9117 / Fax: 045-503-9113

(報道担当)

独立行政法人理化学研究所 広報室

Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715
Mail: koho@riken.jp
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