背景
有効な医薬品がいまだに見つかっていない難病の存在や、さらなる高齢化社会の進展により、わが国は新しい医薬品の開発に早急に取り組む必要に迫られています。一方、構造生物学の急速な発展は、生体内で働くタンパク質の機能を原子レベルの立体構造で理解可能となりました。医薬品など機能分子の作用メカニズムについても、原子レベルでの研究が進んでいます。こうした研究では、スーパーコンピュータを用いた大規模なシミュレーションが不可欠です。
ライフサイエンス・グランドチャレンジの6チーム (分子スケール研究開発チーム、細胞スケール研究開発チーム、臓器全身スケール研究開発チーム、データ解析融合研究開発チーム、脳神経系研究開発チーム、および生命体基盤ソフトウェア開発・高度化チーム)では、ライフサイエンス・医療分野の先進ソフトウェア約30個を対象に2006年10月から研究開発を進めてきました。理研は、2011年11月にスーパーコンピュータ「京」で、当初の性能目標である10.51ペタフロップスを達成しており、スーパーコンピュータ「京」は2012年9月末から共用が開始される予定です。これにより、「京」を活用したライフサイエンス・医療分野の先進ソフトウェア群を使ったシミュレーションが可能な環境が整うことになります。
共同研究の概要
理研と第一三共との共同研究の目的は、ライフサイエンス・グランドチャレンジで開発を進めてきた先進ソフトウェアを利用して、医薬品などの機能分子の創製手法を開発していくことにあります。今回、約30個の先進ソフトウェアの中から、分子スケール研究開発チームの池口満徳横浜市大准教授が開発してきた、生体分子の作用メカニズムの詳細な理解を目的とした全原子分子動力学シミュレーションソフトウェア「MARBLE」を使用します。共同研究では、理研の持つスーパーコンピューティング基盤技術と、MARBLEの研究開発を行っているライフサイエンス・グランドチャレンジの基礎研究能力、および第一三共の持つ創薬研究能力を組み合わせることで相乗効果を上げていきます。
各社概要
(1)独立行政法人理化学研究所
独立行政法人理化学研究所は、科学技術(人文科学のみに係るものを除く)に関する試験および研究などの業務を総合的に行うことにより、科学技術の水準の向上を図ることを目的とし、日本で唯一の自然科学の総合研究所として物理学、工学、化学、生物学、医科学などにおよぶ広い分野で研究を進めています。研究成果を社会に普及させるため、大学や企業との連携による共同研究、受託研究などを実施しているほか、知的財産権の産業界への技術移転を積極的に進めています。
(2) 第一三共株式会社
第一三共グループは、「革新的な医薬品を継続的に創出し、多様な医療ニーズに応える医薬品を提供することで、世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」ことを企業理念に掲げております。世界中で多くの患者の皆さまに服用いただいている高血圧症、高コレステロール血症、感染症領域の薬剤に続き、次代のフランチャイズとして血栓症領域の新薬に取り組んでおります。さらには研究の重点疾患領域として「がん」「循環代謝」を定め、新薬創出に向けて取り組みを強化しております。
また、第一三共グループは、患者・医療関係者等の皆さまの多様なニーズに対応するべく、"ハイブリッドビジネス"を推進し、イノベーティブ医薬品(新薬)に加え、エスタブリッシュト医薬品(ジェネリック薬等)、ワクチン、OTC医薬品の事業をそれぞれ強化しております。詳細については、ホームページをご覧ください。
お問い合わせ先
独立行政法人理化学研究所 社会知創成事業 連携推進部 横断プログラム推進室
次世代計算科学研究開発プログラム担当
Tel: 048-462-1488 / Fax: 048-462-1220
報道担当
独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当
Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715
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産業利用に関するお問い合わせ
独立行政法人理化学研究所 社会知創成事業 連携推進部
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