独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)オミックス基盤研究領域(理研OSC、林崎良英領域長)は、さまざまな種類のヒト細胞を使って、転写開始部位の系統的マッピングに取り組む国際的プロジェクトFANTOM※15の開始とこの共同研究者募集のお知らせを、12月7日に神戸国際展示場(神戸ポートアイランド)で開催される日本分子生物学会年会・日本生化学会大会合同大会で発表します。
このプロジェクトに先だって、理研OSCは米国Helicos BioSciences社(ヘリコスバイオサイエンス社)※2と共同研究を行い、理研独自の遺伝子発現解析技術であるCap Analysis of Gene Expression(CAGE)法※3を一分子シーケンサーHeliScopeTMへ適用する技術を開発しました。本技術は、従来のシーケンシングで必要なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によるDNA増幅処理を行わずに、転写開始点を同定することが可能です。そのため、データの再現性が非常に高く、測定感度の幅も広がり(ダイナミックレンジが5桁以上)、わずか100ナノグラムのRNAサンプルから、遺伝子発現量の定量ができます。
国際コンソーシアムのFANTOMプロジェクトは、林崎良英領域長の発案により2000年に発足しました。FANTOM 1~3では、マウス百科事典計画で完全長cDNAを集大成しました。この成果は、現在でも最大規模の哺乳類完全長cDNAデータベースとして、さまざまな研究に活用されています。FANTOM 3では、CAGE法を導入し、ノンコーディングRNA(ncRNA)の大量発見という「RNA新大陸」を明らかにし、その発現制御に考察を加えました。FANTOM 4では、CAGE法と転写因子※4結合部位予測を使って転写因子ネットワークを描き、急性骨髄性白血病細胞株を用いた単球分化過程に関与する重要な転写因子を同定することに成功しました。
FANTOM 5では、さまざまな種類のヒト細胞を定義する転写因子ネットワークを解析し、さらなる飛躍を目指します。具体的には、ヒト細胞における転写制御の仕組みを系統的に理解することを目標に掲げました。ヒト細胞は、個体の中で同じゲノム配列を持ちながら、臓器、器官や時系列での位置により、非常に多くの多様性を持っています。異なる状態にある細胞は、異なる遺伝子を発現しており、それらは転写因子のさまざまな組み合わせにより制御されています。この細胞の多様性を系統的に理解するには、さまざまな状態の細胞種を可能な限り収集し、各々の転写因子ネットワークを解析する必要があります。
理研OSCは、ヒトの各種初代培養細胞を大規模に収集してきた下地をもとに、さらに希少なタイプの細胞を収集するため、サンプル提供とその解析を希望する共同研究者を募集します。
FANTOM4には、オーストラリア、シンガポール、スウェーデン、南アフリカ、イタリア、ドイツ、スイス、英国、米国などを含む全世界の15カ国から、51の研究機関などの研究者が参加しましたが、FANTOM5はそれを上回る規模の国際コンソーシアムになると予想されます。
プロジェクト開始と共同研究者募集のお知らせは、12月7日~10日に神戸国際展示場(神戸ポートアイランド)で開催される日本分子生物学会年会・日本生化学会大会合同大会にて発表します。
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独立行政法人理化学研究所 オミックス基盤研究領域
領域長 林崎 良英
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fantom5_enquiries [at] gsc.riken.jp
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