2013年2月12日
独立行政法人理化学研究所
国立大学法人大阪大学
生物内部を高速・高精細にイメージングが可能に
-多点共焦点顕微鏡法を二光子励起法の適用で生体観察向けに改良-
報道発表資料
GFP融合ヒストン・タンパク質を発現するマウス胚の3D画像の比較
生物を詳細に観察することが求められているライフサイエンスの研究では、生体分子や細胞の挙動を可視化するイメージング技術が欠かせません。しかし、これまでは活発に動き回る分子の挙動などを、生物の深部まで高速に可視化することは不可能でした。そこで、理研の研究者らを中心とする共同研究グループは、厚みのある試料でも高速に観察できる新イメージング装置の開発に挑みました。
既存の観察装置の中で、多点走査方式を採用し高速観察に優れた「スピニングディスク型共焦点顕微鏡」に着目し、改良を試みました。同顕微鏡は蛍光画像を得るときに、多数のピンホールを配置したディスクを回転させて複数のレーザー・ビームで試料をスキャンして高速に撮影する方式です。しかし、複数の点を同時に励起すると各励起点間の干渉や、非焦点面で発生する背景光がピンホールに混入して共焦点性(背景光を取り除いて光学切片像を取得する性能)が失われてしまいます。
共同研究グループは、この問題を解決するため、ピンホールの間隔を2倍に広げて背景光の混入を減少させるとともに、二光子励起法を用いて非焦点面での蛍光発生を根本的に抑えることにしました。緑色蛍光タンパク質(GFP)を融合したタンパク質を発現させたマウスやショウジョウバエなどの胚や卵を用いて新イメージング装置を評価したところ、試料の数十μm内部において、従来型比で30倍以上コントラストを改善したクリアな画像が得られました。また、核を可視化したマウス胚切片(上図)の場合でも、従来は30μm深部で判別不能だったのに対し、100μm以上の深部でも判別が可能となりました。
今後、基礎研究だけでなく医療など幅広いライフサイエンス研究分野の発展に貢献すると期待します。