成人気管支喘息(ぜんそく)の発症に関わる5つのゲノム領域を発見
-日本人のゲノムワイド関連解析で成人気管支喘息の遺伝要因を解明-
報道発表資料
気管支喘息(ぜんそく)を引き起こす要因として、環境や遺伝が複雑に関連していると指摘されていますが、発症や症状の進展の仕組みは未だによく分かっていません。特に成人気管支喘息は小児気管支喘息に比べて、より重症で薬剤治療が通年的に必要なケースが多く、喘息死も成人喘息、特に高齢者の喘息に多いことから、成人気管支喘息の病態を科学的に解明することが求められています。
ゲノム医科学研究センター呼吸器疾患研究チームらは、日本人の成人気管支喘息患者1,532人と非患者の3,304人を対象に、ヒトゲノム全体に分布する約46万個の一塩基多型(SNP)のゲノムワイド関連解析などから、成人気管支喘息に5つのゲノム領域に存在するSNPが強く関連していることを発見しました。
また、発見したこの領域に、これまで呼吸機能の1秒率との関連が報告されているSNPや感染・炎症の免疫応答に関わる遺伝子が含まれていることが分かりました。さらに、気道上皮細胞でウイルス感染により強く誘導されるTSLP遺伝子を含むゲノム領域のSNPと成人気管支喘息との関連は、米国で収集された白人集団においても、再現性のあることを確認し、人種の違いを超えた成人気管支喘息に関連する遺伝要因がこの領域に存在することも突き止めました。これまで喘息の治療のため標的分子の同定は、培養細胞やマウスモデルを使って行われてきていますが、今回のヒトサンプルを使った成果は、その絞り込みなどに役立つと期待できます。
独立行政法人理化学研究所
ゲノム医科学研究センター 呼吸器疾患研究チーム
チームリーダー 玉利 真由美(たまり まゆみ)
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