2011年5月18日
独立行政法人 理化学研究所
独立行政法人 科学技術振興機構
マクロピノサイトーシスによる細胞膜回収が、神経突起退縮を制御
-反発性軸索誘導分子Sema3Aが成長円錐を退縮する新メカニズムを発見-
報道発表資料
神経細胞が成長し張り巡らす神経回路は、ヒトをはじめとする生物の脳の機能に重要です。この回路形成の誤りは、発達障害や脊髄損傷の回復不全などさまざまな問題を引き起こします。この神経回路の形成は誘因性軸策誘導因子と反発性軸策誘導因子の働きで成り立っています。反発性軸策誘導因子は、神経突端の先端にある成長円錐の退縮を引き起こし、間違った神経細胞とのシナプス形成を阻害し、正常な神経回路形成に重要な役割を担っています。しかし、成長円錐の退縮時の表面積減少の制御に関わる分子機構の実態は不明でした。
2008年に、脳科学総合研究センター発生神経生物研究チームは、科学技術振興機構のチームと共に、反発性軸索誘導因子のSema3Aが成長円錐でマクロピノサイトーシスの誘導を見いだし、その特徴はこれまでよく知られていたものとは違い、大規模な細胞膜の細胞内への取り込みによる非常に大きな空胞を伴います。そして、この空胞面積と成長円錐の表面積が逆相関を示し、成長円錐の退縮に重要なことを見いだしていました。
今回、マクロピノサイトーシスを特異的に阻害するアミロライド誘導体(EIPA)を用いた実験で、マクロピノサイトーシスを介してSema3Aが成長円錐を退縮する分子機構の仕組みを、世界で初めて明らかにしました。 これまで成長円錐の退縮は、「アクチンなどの骨格系タンパク分子による制御」と考えられていましたが、「マクロピノサイトーシスによる成長円錐の退縮制御」という新しい分子機構による概念を提唱することになりました。
独立行政法人理化学研究所
脳科学総合研究センター 疾患メカニズムコア 発生神経生物研究チーム
チームリーダー 御子柴 克彦(みこしば かつひこ)
研究員 樺山 博之(かばやま ひろゆき)
Tel: 048-467-9745 / Fax: 048-467-4744