植物が有害DNAからゲノムを保護するメカニズムを解明
-シロイヌナズナで有害DNAを不活性化する直接作用が明らかに-
報道発表資料
生命の設計図として働くゲノムには、通常の生育時に活用されない遺伝子が多数存在しています。また、トランスポゾンと呼ばれるDNAの反復配列が多く挿入されています。これら不要な遺伝子やトランスポゾンが活性化すると、発生異常やがん、個体死などを引き起こすことが知られています。
ヒトや植物などの真核生物は、こうした異常に対抗するために、エピジェネティックな化学修飾であるヒストン修飾とDNAメチル化を用いて、遺伝子発現を抑えたり、有害DNAを抑制・不活性化するメカニズムを持っていると考えられています。しかし、その詳細なメカニズムはよく分かっていませんでした。
植物科学研究センター植物ゲノム発現研究チームらは、植物のゲノムに入り込んだトランスポゾンなどの有害なDNA配列の抑制・不活性化に、エピジェネティックな制御因子であるヒストン脱アセチル化酵素HDA6が直接作用するメカニズムをシロイヌナズナで解明することに成功しました。HDA6が直接、不活性化するトランスポゾンを含む特定の遺伝子領域を同定し、その6割程度がDNAメチル化酵素のMET1の標的領域と共通することを見いだしました。詳細な解析から、HDA6によるヒストン修飾(脱アセチル化)とMET1によるDNAメチル化が協調的に作用して、植物のゲノムの中の有害DNAを抑制していることを突き止めました。
この成果は、農作物のウイルス感染被害やヒトのがん化メカニズムの解明に役立つと注目されます。
独立行政法人理化学研究所
植物科学研究センター 植物ゲノム発現研究チーム
チームリーダー 関 原明 (せき もとあき)
研究員 金 鍾明 (きむ じょんみょん)
研修生 藤 泰子 (とう たいこ)
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