IL6遺伝子がC反応性タンパク(CRP)測定値に関与することを発見
―個々人で異なる炎症反応に見合ったオーダーメイド医療への応用が可能に―
報道発表資料
感染症や自己免疫疾患の病状を正確に知ることは、患者と向き合う医療現場で欠かせません。C反応性タンパク(CRP)は、体内に異物が侵入した際の炎症反応や組織壊死に伴い増加する血中のタンパク質で、病状を評価する検査項目として広く測定されています。さらに、正常時のCRP測定値が高い人ほど、心血管疾患や大腸がんなどの疾患にかかりやすいという報告もあり、予測因子としての重要性も増してきています。
しかし、同じ疾患で同じ程度の炎症反応であっても、このCRP測定値には個人差が有り、その原因解明が切望されていました。
ゲノム医科学研究センター統計解析研究チームらは、ヒトゲノム全体に分布する約220万個の一塩基多型(SNP)を対象に、日本人10,112人から得たCRP測定値との関連を調べる大規模なゲノムワイド関連解析を実施しました。 新たに「Genotype Imputation」という手法を導入し、未観測の個人別SNPを、観測済みのSNPの情報に基づいて統計学的に推定することで、測定対象のSNPを従来の4~5倍に増やすことができました。その結果、炎症反応に関わる遺伝子として知られていたIL6遺伝子のSNPが、CRP測定値の個人差と関係していることを突き止めました。同時に、30,466人から得た試料を解析したところ、この IL6遺伝子のSNPが白血球数、血小板数、貧血関連指標、血清タンパク質など複数の検査項目とも関連していることが分かりました。
炎症反応の個人差を説明するSNPを同定したこの研究成果により、個々人の体質に基づいた正確な評価、診断だけでなく、心血管疾患や大腸がん発症との関わりの解明が期待されます。また、IL6は関節リウマチなど炎症性疾患の治療標的としても臨床研究が進んでおり、これらの疾患におけるオーダーメイド医療への応用が注目されます。
独立行政法人理化学研究所
ゲノム医科学研究センター 統計解析研究チーム
チームリーダー 高橋 篤(たかはし あつし)
研修生 岡田 随象(おかだ ゆきのり)
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