世界最大のN-結合型糖鎖クラスターの開発と体内動態解析に成功
-糖鎖の有無や結合部位で代謝が大きく異なることを分子イメージングで証明-
報道発表資料
タンパク質は、生体でさまざまな働きをしていますが、特に糖鎖と結合した糖タンパク質は、細胞間の相互作用やタンパク質の品質管理、免疫応答の調整機能などと重要な役割を担っています。この糖タンパク質が、実際の生体内で代謝されながら変化し、ダイナミックに機能を獲得・消滅していくなどの様子を正確に知ることは、がんをはじめとする病気や生命現象の解明、さらには薬剤開発などにも欠かせません。
これまで、単分子の糖鎖の研究は進んでいますが、構造が少しずつ異なる不均一な状態がクラスターを形成する多様性の高い糖鎖の生体の様子は良く分かっていませんでした。
分子イメージング科学研究センターの分子プローブ動態応用研究チームらは、分子量が5万以上の世界最大の糖鎖クラスターを開発し、ヌードマウス内で糖鎖分子の動態を可視化することに世界で初めて成功しました。開発した世界最大の糖鎖は、生命活動に欠かせない重要な役割を持つポリリジンを基本骨格とするN-結合型糖鎖で、今回、放射性核種の68Gaや蛍光物質Cy5で標識し、可視化しました。
この分子イメージングの結果、糖鎖の有無や結合様式によって生体のダイナミクスや代謝が異なることを初めて明らかにすることができました。生きている動物内での糖鎖の動態を解明する一歩となるとともに炎症やがん組織を標的とした糖鎖診断薬の開発に貢献すると期待されます。
独立行政法人理化学研究所
分子イメージング科学研究センター
分子プローブ動態応用研究チーム
チームリーダー 渡辺 恭良(わたなべ やすよし)
研究員 野崎 聡 (のざき さとし)
研究員 長谷川 功紀(はせがわ こうき)
Tel: 078-304-7124 / Fax: 078-304-7126