神経活動の「読み出し」を生きた脳で実現した光遺伝学ツールが登場
-電位感受性蛍光タンパク質を開発、遺伝子導入で脳の神経活動を画像化-
報道発表資料
生体を構成している細胞は、それぞれの特性を発揮しながら活動し、生命現象そのものを生みだしています。細胞同士の活動や個々の細胞の活動状況をリアルタイムで知ることは、生命の複雑な謎解きや、病気の治療などに革新をもたらすため、研究者らの重要なターゲットとなっています。特に、頭蓋骨に守られ、自由に観察することが困難な脳内の、膨大な情報を処理する多数の神経細胞の活動を可視化し、リアルタイムで観察することは、難題とされています。
分子イメージングの研究が盛んに行われる一方で、神経細胞同士の会話をホームビデオのように画像として記録するツールの開発が望まれていました。
脳科学総合研究センター神経回路ダイナミクス研究チームは、生きた脳内の神経細胞に生じる電位変化を検出する光センサーとなる電位感受性蛍光タンパク質(VSFP2.3/2.42)を開発し、初めてマウスの脳の特定部位に遺伝的に組み込み、ヒゲ1本を刺激するとこで生じる神経活動の様子をリアルタイムで画像化することに成功しました。電位感受性蛍光タンパク質を遺伝的に組み込んだ新タイプの光センサーは、2種類の蛍光タンパク質をセットにして細胞膜に発現し、神経細胞の微妙な活動の変化を2種の蛍光量を比較してキャッチします。遺伝学と光の発光現象を活用して細胞活動を「読み出す」光遺伝学の実用ツールとなります。このセンサーで得た画像を見ると、どのヒゲを触れたのかを知ることができる精度を持ちます。将来は、神経疾患でどの神経回路が変化したかなどの疾患の解明に役立つと注目されます。
独立行政法人理化学研究所
脳科学総合研究センター 神経回路ダイナミクス研究チーム
チームリーダー Thomas Knöpfel(トーマス クヌッフェル)
研究員 武藤 弘樹(むとう ひろき)
Tel: 048-467-9740 / Fax: 048-467-9739