出来損ないタンパク質を分解する酵素「PNGase」の新機能を発見
-ショウジョウバエPNGaseに、発生・生殖を制御する生理機能を見いだす-
報道発表資料
生物の体を構成する細胞では、生命活動に欠かせないさまざまなタンパク質が生み出されていますが、時には遺伝子が示す設計図とは違った出来損ないのタンパク質を作り出してしまいます。
この出来損ないのタンパク質は、生命活動に障害を引き起こし、さらには、がんをはじめとする病気の原因にもなります。 真核生物には、出来損ないのタンパク質を分解・除去して、異常を回避する機構があります。この機構では、脱糖鎖活性を持つ酵素「細胞質ペプチド:N-グリカナーゼ(PNGase) 」が働くことが知られていますが、真核細胞の出芽酵母は、この酵素を欠損しても生育異常を示さず、この酵素の生物学的重要性は謎のままでした。
基幹研究所糖鎖代謝学研究チームは、大阪大学らとともに、 PNGaseの新たな酵素機能をショウジョウバエのPNGaseオルソログタンパク質「Pngl」の解析で発見しました。研究グループは、Pnglがほ乳類のPNGaseと同一のドメイン構造を持ちながら、亜鉛イオン結合モチーフが欠如し脱糖鎖活性を持たないことを見いだし、未知の生理機能の存在を予測しました。
研究グループはPnglをコードする遺伝子の変異体を作製し、この変異体が幼虫や蛹(さなぎ)の時期に成長が止まり致死となるか、成虫になっても不稔になることを突き止め、Pnglが発生や生殖にかかわる重要な生理機能を持つことを明らかにしました。この発見で、PNGaseの脱糖鎖活性とは別の重要な機能が判明し、この機能が種を越えて保存されていることから、今後ヒト疾患との関連も明らかになると期待できます。
独立行政法人理化学研究所
基幹研究所 ケミカルバイオロジー 研究領域
システム糖鎖生物学研究グループ
糖鎖代謝学研究チーム
チームリーダー 鈴木 匡(すずき ただし)
Tel: 048-467-9628 / Fax: 048-467-9626