広報活動

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2010年4月19日

独立行政法人 理化学研究所

数原子層の金属酸化物の薄膜表面上で、化学反応の選択制御に初めて成功

-触媒反応の微視的メカニズム解明や新機能触媒の創成へ向けての大きな一歩-

振動励起を介した水分子の分解反応の様子

金属の金や銅など電気を通す導体、LSIの基板に用いられるシリコンやガリウムヒ素など半導体、そして硝子や金属酸化物など電気をまったく通さない絶縁体、どれも現代の情報化社会を支えるために欠かせない材料です。しかしこれらの物質は、通常バルク(固まり)の状態で活用しており、ナノレベルまで微細化すると、大変身してまったく別の性質を現すことが分かってきました。例えば、金のバルクは化学的に不活性なため、装飾品や電子材料として使われていますが、金微粒子になると、化学反応を活性化する触媒の機能を果たすようになります。このため、さまざまな物質をナノスケールまで微細化し、新たな機能を発現させる研究が世界中で活発化しています。

基幹研究所の表面化学研究室とKim表面界面化学研究室らの研究グループは、銀の単結晶の上に、たった2原子層の酸化マグネシウム(MgO)の薄膜を蒸着し、この表面で、単一水分子の移動や分解を、選択的に制御することに成功し、そのメカニズムも解明しました。

MgOのバルクは、絶縁体で化学的に不活性なため、磁気デバイスなどに使われています。このMgOを、わずか2原子層のナノサイズにして、その薄膜上に単一水分子を吸着させ、走査型トンネル顕微鏡(STM)の探針から電子を注入すると、電子のエネルギーや個数に応じて、水分子を移動させたり、水分子を分解して水素原子を1つ、または2つ抜いたりと、選択的に制御することに成功しました。将来、STM技術が、化学の魔術師として注目される触媒反応の機構解明や高機能触媒の開発に役立つと注目されます。

独立行政法人理化学研究所
基幹研究所 Kim表面界面科学研究室
准主任研究員 金 有洙(きむ ゆうす)
Tel: 048-467-4073 / Fax: 048-462-4663