2010年4月7日
独立行政法人 理化学研究所
台湾中央研究院天文及天文物理研究所
すざく衛星で、宇宙最大の構造が成長する現場をとらえる
-宇宙の大規模構造形成に伴って加熱された高温ガスを発見-
報道発表資料
宇宙は、空間的に一様な状態から、蜘蛛(クモ)の巣状の構造へと進化してきました。この進化の極限とも言うべき、蜘蛛の巣の結節点には、大量のガスや銀河が集まり、宇宙最大の天体である銀河団ができます。銀河団が宇宙の構造の中でどのように進化してゆくのか、まだ謎が多く、研究者の好奇心を掻き立ててきました。
銀河団を構成する高温ガスはX線を放射しているため、 X線天文衛星で高温ガスの分布や温度を観測することができます。わが国では、これまでに5台のX線天文衛星を打ち上げ、観測を続けてきました。2005年に打ち上げられた5台目の「すざく」(ASTRO-EII)は、世界最高水準のX線観測機器を搭載し、銀河団の高温ガスからのX線のように、薄く広がったX線放射に高い感度を誇ります。
基幹研究所牧島宇宙放射線研究室らの研究グループは、この「すざく」や可視光望遠鏡「すばる」を使った観測を組み合わせ、銀河団がその外側に連なる宇宙の大規模構造から物質が流れ込むことで成長している現場をとらえることに成功しました。
研究グループは、Abell1689銀河団に付随する高温ガスをかつてないほど外側の領域まで検出し、2,000万度の高温ガス中に6,000万度の高温領域があることを発見しました。さらに米国のスローン・デジタルスカイサーベイの観測データから銀河の分布を調べ、この高温ガス分布と比較した結果、高温領域から外側に伸びる宇宙の大規模構造を見つけました。大規模構造から冷たいガスが流れ込み、銀河団とぶつかるときに生じた衝撃波によってガスが過熱したと考えられます。今後、さらなる観測データと理論を比較することで、激しく成長する宇宙の姿が、ますます明らかになっていくと期待できます。
独立行政法人理化学研究所
基幹研究所 元 牧島宇宙放射線研究室(2010年3月閉室)
基礎科学特別研究員 川原田 円(かわはらだ まどか)
(現)独立行政法人宇宙航空研究開発機構
宇宙科学研究所 ASTRO-Hプロジェクトチーム
宇宙航空プロジェクト研究員
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