広報活動

Print

2010年3月18日

独立行政法人 理化学研究所

ゲノムワイド相関解析で、膝の変形性関節症の新たなSNPを同定

―「免疫」が変形性関節症の解明のカギを握る?―

膝の変形性関節症の新たなSNPの位置と変形性膝関節症

変形性関節症(osteoarthritis: OA)は、関節の軟骨が変性・消失し、痛みや機能障害を引き起こす疾患です。骨や関節の疾患の中で最も発症頻度が高く、日本だけでも1,000万人を超える患者の存在が推定されています (池川志郎 『医学のあゆみ』 227(8): 625-6,2008) 。OAは、疫学調査などから、遺伝的な要因と環境的な要因の相互作用で発症することが分かっています。

ゲノム医科学研究センターの骨関節疾患研究チームは、OAの遺伝的な要因である疾患感受性遺伝子の同定と、その働きを解明する研究を続け、これまで3つの遺伝子を発見してきました。しかし、これら3つだけでは、遺伝的要因のうち3割程度しか説明できません。さらなる疾患感受性遺伝子を見つけ出すことが必要な状況でした。

研究チームらは、ヒトのゲノム全体の90~95%をカバーする約55万個のSNPのセットを使い、ケース・コントロール相関解析に挑みました。ゲノム全体を調べた結果、膝のOAと強く関係する2つのSNPを新たに発見しました。この2つのSNPは、ヒトの6番染色体短腕上に存在し、免疫応答への関与が知られる「HLA領域」にありました。これまで、OAの病因については、骨・軟骨代謝面からの検討に留まっていました。今回の発見は、「免疫病」としての観点からの検討も必要であることを示唆しています。今後、両SNPの周辺をさらに詳細に調べていくことで、新たな遺伝子の同定、OAの分子病態の解明が期待できます。

独立行政法人理化学研究所
ゲノム医科学研究センター
骨関節疾患研究チーム チームリーダー
池川 志郎(いけがわ しろう)
Tel: 03-5449-5393 / Fax: 03-5449-5393