広報活動

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2010年3月17日

独立行政法人 理化学研究所

DNA修復タンパク質が一本鎖DNAに特異結合する機構を解明

-高度好熱菌のDNA修復タンパク質「RecJ」を結晶化、X線結晶構造解析に成功-

ミスマッチ修復機構におけるRecJの働き

生命の設計図である遺伝情報は、DNAに書き込まれています。その情報は細胞分裂により、各細胞に伝達されていきますが、DNA複製時にエラーが起きることがあります。また、DNAは紫外線などの外的要因による損傷を受け、配列が書き換えられることもあります。このエラーや損傷は、遺伝情報の書き換えとなり、進化の原動力となる一方で、細胞死や老化、がん化の危険性を生み出します。

このため、生物は、この複製エラーやDNAの損傷を修復する機能を持っています。

RecJと一本鎖DNAとの結合モデル

放射光科学総合研究センター放射光システム生物学研究グループは、高度好熱菌サーマス・サーモフィラスHB8株を用いて、この修復機構の中で一本鎖DNAを分解するタンパク質「RecJ」の立体構造を明らかにし、この構造が一本鎖DNAを特異的に結合する(高い親和性)要因を分子レベルで解明しました。RecJは、一本鎖DNAを包み込むようなO型構造をしており、典型的な核酸結合能を持つ構造を含んでいます。これらの結果から、RecJと一本鎖DNAの結合モデルを構築したところ、これまでの一本鎖DNA分解タンパク質では報告のない、ユニークな構造が予測できました。

DNAの修復機能は細菌でもヒトでも基本的には同じと考えられており、DNA修復機構の解明は、がんやDNA損傷を原因とする疾病の解明、治療につながることが期待されます。

独立行政法人理化学研究所
放射光科学研究センター
放射光システム生物学研究グループ
グループディレクター
倉光 成紀(くらみつ せいき)
Tel: 0791-58-2891 / Fax: 0791-58-2892