広報活動

Print

2010年3月17日

独立行政法人 理化学研究所

最新ゲノム科学を活用、植物ホルモン「オーキシン」の阻害剤を発見

-植物の成長制御メカニズム解明に役立つ新たな研究ツールとして期待-

オーキシン生合成阻害剤の探索

種なしブドウの育成に欠かせないジベルリン、発根を促し、果実を大きく育てあげるオーキシンなど、超微量の信号物質である植物ホルモンは、農業分野ばかりか食生活にも大きな影響を与えてきました。しかし、植物ホルモンとして古くから研究されてきたオーキシンは、その生合成経路が複雑なため、ほかの植物ホルモンと比べると解明が遅れています。このため、オーキシンの作用を抑制する有効な農薬や技術は存在していません。

植物科学研究センターゲノム機能統合化研究チームらは、このオーキシンの生合成阻害剤を世界で初めて発見しました。研究グループは、2004年より「AtGenExpress」国際プロジェクトを結成し、モデル植物のシロイヌナズナの遺伝子発現パターンを解明してきました。今回、このデータを基に、植物ホルモンの作用を制御する物質の探索に取り組みました。その結果、生合成を阻害する候補物質として「AVG」、「AOPP」などを同定しました。これらの物質を植物に与えると、オーキシン内生量が短時間で50%近くも減少し生長が阻害されること、この生長阻害がオーキシンやその前駆体で回復すること、オーキシン生合成酵素の活性が阻害されることなどが分かり、オーキシン生合成阻害剤であることが明らかとなりました。これらの生合成阻害剤を活用すると、オーキシン欠乏状態の植物体を作製することが可能となり、オーキシンの機能と生合成経路を詳細に研究することができるようになります。これにより、オーキシンの作用を抑制し植物の生長を制御する、新たな薬剤や技術の開発が実現します。農業分野や食生活に貢献すると期待できます。

独立行政法人理化学研究所
植物科学研究センター ゲノム機能統合化研究チーム
チームリーダー 嶋田 幸久(しまだ ゆきひさ)
Fax: 045-503-9492