前頭連合野の中の領域ごとに異なる機能を発見
-規則の主観的価値の素早い変更など、複数の機能要素に分解-
報道発表資料
動物の中枢として機能する脳には、運動や感覚情報を操る部位や、さまざまな情報を統合して行動を制御するなどの働きをする部位が存在します。特に脳の前に位置する前頭連合野という部位は、ヒトやサルの霊長類で発達し、人たる行動を制御すると考えられています。前頭連合野には、主溝領域(外側部)、眼窩皮質領域(腹側部)、前帯状溝領域(内側部)などの領域があります。これらの領域は、ほかの脳の部位と結合の仕方が違うことが知られていますが、前頭連合野の領域間ごとの、機能の違いはほとんど分かっていませんでした。
脳科学総合研究センター認知機能表現研究チームは、英国・オックスフォード大学の研究者と協力し、これらの諸領域がそれぞれ独自の機能を持っていることを発見しました。
研究チームは、脳損傷患者の臨床現場でよく使われている「ウィスコシンカード分類テスト」を単純化した行動課題を考案してサルを訓練し、領域を選択的に破壊して機能の違いを調べました。
その結果、主溝領域が状況に最も適合した行動規則を作業記憶に保持することや、眼窩皮質領域が報酬経験に基づき規則の主観的価値を素早く高めるなど、それぞれの領域が異なる機能を発揮して、課題の遂行を行っていることが分かりました。この結果は、一見分解不可能に見える行動の高次制御のメカニズムや、霊長類特有の賢く柔軟な行動の成り立ちを解きほぐすことになります。