造血幹細胞など生体移植の拒絶反応を防ぐ仕組みを発見
-マウスの移植片対宿主病の制御機構を世界で初めて証明-
報道発表資料
がんやウイルス、さらには花粉など生体に入り込んだ異物を察知し、攻撃して排除する免疫システムは、私たちの体を守る重要な防御機構です。ところが、白血病、悪性リンパ腫などの造血器腫瘍や重症再生不良貧血、先天性免疫不全を克服し、生存を存続させるために有効な治療方法として活用されている骨髄移植では、この防御機構が拒絶反応を引き起こし、治療を難しくしています。この拒絶反応は、移植変対宿主病(GVHD)と呼ばれ、他人から移植した造血細胞中に含まれる免疫系細胞のT細胞が、患者の体にある樹状細胞などを異物と認識し、免疫拒絶反応を引き起こすことが原因です。重篤な場合は死に至ることがあり、生体移植の大きな問題となっています。免疫抑制剤などの投与で、発症を防いでいますが、十分な治療効果は得られていません。
免疫・アレルギー科学総合研究センター樹状細胞機能研究チームは、このGVHDを制御することができる新しい白血球「制御性樹状細胞」を、マウスの生体内で発見しました。具体的には、マウス異系骨髄移植モデルを使って、生体内に自然に存在する制御性樹状細胞の「内在性制御性樹状細胞」を投与する治療法が、GVHDの治療に有効であることを突き止めました。そのメカニズムは、移植した免疫細胞から制御性T細胞を誘導して、移植細胞のT細胞の活性を阻害し、GVHDの発症を阻止するというものでした。
今回はマウス使って成果ですが、ヒトでの治療効果も期待でき、アレルギー疾患などの新たな治療法の開発を可能にすると期待されます。
独立行政法人理化学研究所
免疫・アレルギー科学総合研究センター
樹状細胞機能研究チーム
チームリーダー 佐藤 克明(さとう かつあき)
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