昨年2月、阿部知子チームリーダー(理研仁科加速器研究センター 生物照射チーム)らが開発した淡い黄色のサクラ「仁科蔵王」を見せてほしいという1本の電話がありました。まだ花が咲いていない枝だけの木を、なぜ見たいのだろうか?と疑問を抱きながらも、和光キャンパスにある仁科蔵王のもとへ案内。訪問してきたのは、小学4年生の中西てるみさんでした。
黄色のサクラに興味を持ち、インターネットで検索していくうちに仁科蔵王にたどり着いたとのこと。中西さんは小学1年生頃から、さまざまなサクラを見に行き、花びらの構成や花の咲き方など、サクラについての自由研究をしているそうです。
その日以来、何度も理研に来ては、枝からほんの少しだけのぞいている芽が成長していく様子を観察。新芽が何センチ伸びたか、つぼみが膨らんできたかなど、細かく記録や写真を取り、毎回目を輝かせて帰宅していました。その観察は、仁科蔵王が開花するまで続けられました。
仁科蔵王を熱心に観察している女の子がいることを、阿部チームリーダーに話すと、「ぜひ研究室に遊びに連れてきてください」とお誘いいただきました。阿部チームリーダーから、仁科蔵王誕生までの研究過程や、リングサイクロトロンでの重イオンビーム照射の説明をわかり易く教えていただけて大満足の様子でした。
そんな交流の後で、嬉しい報告が。
この自由研究が小学校の代表に選ばれて、東京都杉並区の科学館主催の「科学創意工夫展」に応募したところ入選、展示されたそうです。そして先日、作品を持って入賞の報告に理研に来てくれました。
作品名「サクラの美しい色のひみつ」は、表紙からとても丁寧につくられていて、中西さんの熱心さと愛情が伝わってきます。スケッチブックを利用した観察は1冊の本になっていて、顕微鏡での観察やリトマス試験紙を使用した実験など、イラストや写真を使い、研究内容も盛りだくさん。研究員の人たちが感心するほどでした。