がん、自己免疫疾患などを標的とした 新規創製糖脂質免疫制御剤
発明者
渡会浩志,田代卓哉, 汐崎正生, 谷口克(免疫・アレルギー科学総合研究センター(RCAI) 免疫制御研究グループ)
背景
ナチュラルキラーT(NKT)細胞はその活性化や制御によって免疫系全体を調節できる唯一無二の免疫担当細胞として位置づけられています。NKT 細胞は抗原提示分子CD1d に提示される糖脂質を認識して様々なサイトカインを即時的かつ大量に産生する能力を有します。NKT 細胞から産生されたサイトカインは様々な免疫担当細胞などに作用し、免疫系全体の調節を行います。プロトタイプのリガンドとして報告されたKRN7000 は、肺がん治療薬として臨床試験中です。
技術の概要
我々はNKT 細胞の持つ能力を最大限引き出すため、NKT 細胞特異的なリガンドの新規創生糖脂質ライブラリを構築し、構造活性相関研究からNKT 細胞から産生されるサイトカインを調節し得る化合物を複数取得し、マウスを用いた動物モデルでがんや自己免疫疾患などの治療応用が可能と考えられる100 種類以上の化合物の抽出に成功しました。特に既存化合物よりもIFN-g 産生あるいはIL-10 産生を増強できる新規類縁体は、抗腫瘍・抗感染症あるいは免疫抑制効果を発揮できる化合物群です。
利点/応用
- NKT 細胞をターゲットとした免疫制御系は、癌の免疫療法に有用であり、自己免疫疾患等にも有望である。
- 新規創生糖脂質は、安定、安全で、合成も安価である。
- NKT 細胞の機能を誘導するメカニズムはすでに解明されている。
- 新規創生糖脂質は、多機能性であるNKT 細胞の特定の望ましい機能のみを引き出すため、免疫系全体を制御することができる。
(2012年10月掲載)