ナノ水族館 ー フェムト秒レーザー3次元加工と微生物の未知なる動態ー (理研No: 9545, 10270)
発明者
杉岡 幸次(独立行政法人理化学研究所基幹研究所 緑川レーザー物理工学研究室)
キーワード
3次元中空構造、光導波路、光学フィルター
技術の概要
フェムト秒レーザーは、極短パルスで強度がきわめて強いため、透明材料に対して多光子吸収を誘起でき、透明材料内部の加工が行えます。私たちはこの特徴を活かし、ガラス内部に光導波路、光学部品、マイクロ流体構造、流体制御素子を作製する技術を開発し、これらの機能素子を3次元に集積化することに成功しました。
この技術を、微生物の動態観察や機能解明を行うためのバイオチップ(ナノ水族館)作製に応用しています。
図1:フェムト秒レーザー3次元加工
フェムト秒レーザー3次元加工によって作製されたナノ水族館は、微生物の動態観察を効率的に行うとともに、機能や運動メカニズムの解明に役立ちます。これまで私たちはナノ水族館を用いることにより、ミドリムシの鞭毛運動を前方から観察することに世界で初めて成功しました。また光導波路や光学フィルターなどの機能素子をナノ水族館内部に集積化させることにより、藍藻が野菜の苗木の根に滑走運動し、野菜の成長を促進するメカニズムを明らかにしました。
図2:ナノ水族館による微生物の機能解明
(文献情報)
- K.Sugioka, Y. Hanada, and K.Midorikawa, Laser & Photonics Review 3, 386 (2010)
- Y. Hanada, K.Sugioka, et al., Biomed. Microdevices 10, 403 (2008).
- Y. Hanada, K.Sugioka, et al., Lab. Chip. 11, 2109 (2011).
- 特許第3559827号 「透明材料内部の処理方法及びその装置」
- 特許第4235945号「金属配線形成方法及び金属配線形成装置」
応用
この技術を、微生物の動態観察や機能解明を行うためのバイオチップ(ナノ水族館)作成に応用しています。いわば微生物のための水族館により、今まで観測が困難であった様々な微生物の動きが解明できます。その他に、インテリアや贈答品として活用できる3Dグラスアートや3D立体画像置物など作成にも応用が期待されます。
(2012年9月掲載)