外部連携

低消費電力磁気メモリ素子(理研No: 24034)

発明者

于秀珍、十倉好紀 、金澤直也、小野瀬佳文(基幹研)

背景

電子スピンの向きをデジタル情報として利用する磁気メモリ素子は、高速・不揮発性などの特徴をもち、さまざまの分野で利用されています。強磁性体中に電流を流して磁壁を移動させ、磁化反転を引き起こすことより、情報を書き込むことができます。しかし、磁壁を移動させるには、最低でも109A/m2という大電流密度が必要です。これでは、大量のエネルギー損失が生じる(消費電力が大きい)ため、より低い電流密度で磁気情報担体を操作する方法が望まれていました。

技術の概要

スキルミオンの電流駆動を検証するために、FeGeのマイクロ素子を作製し、強磁性体中の磁壁を駆動するために必要な電流密度の約10万分の1以下という微小な電流で、室温付近(~3℃)のスキルミオンを駆動することに成功しました。縦が165μm、横が100μm、厚さが、縦方向の位置によって100nm~30μmの範囲で異なるマイクロ素子を作製し、-23℃ ~ 室温近傍(-3℃)で約150 mTの磁場を加えたところ、直径約70nmの安定したスキルミオンが三角格子状に並ぶスキルミオン結晶が観察されました。

図1 低消費電力磁気メモリ素子 図2 低消費電力磁気メモリ素子

(文献情報)

  1. X. Z. Yu, N. Kanazawa, Y. Onose, K. Kimoto, W. Z. Zhang, S. Ishiwata, Y. Matsui and Y. Tokura, Nature Mater. 10, 106?109 (2011)
  2. X. Z. Yu, N. Kanazawa, W. Z. Zhang, T. Nagai, H. Hara, K. Kimoto, Y. Matsui, Y. Onose, and Y. Tokura, Nature Commun. 3: 988 (2012)

利点

  • 微小電流(>5X 104A/m2)でスキルミオンを駆動出来る
  • 室温付近で安定なスキルミオン結晶が生成可能

応用

  • 次世代の低消費電力の磁気メモリ素子
  • さまざまなスキルミオンデバイス

(2012年12月掲載)