代替現実技術を用いた新しい社会実験環境の構築(理研No: 23946)
発明者
鈴木啓介(現サセックス大学研究員)、脇坂 崇平、藤井 直敬(脳科学総合研究センター、適応知性研究チーム)ほか
キーワード
代替現実、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、認知、コミュニケーション
代替現実技術とは
いま目の前に広がる風景が、実はずっと昔のもので、周りを 行き交う人々も本当には存在しない、としたら・・・?
もし現在と過去の出来事が区別できなくなったら、私達の心の働き はどのような影響を受けるでしょうか。当研究チームは、これまでSF の世界にしか存在しなかったこのような問いに取り組むことを可能とする技術を開発しました。
体験者が装着するヘッドマウントディスプレイ(HMD)には、目線の位置に付けたカメラからのライブ映像、およびあらかじめ同じ場所で撮影した過去映像を織り交ぜて表示します。過去映像の撮影に全方位を記録できるパノラマビデオカメラを用いることにより、体験者は過去映像の体験中も、ライブ映像の場合と同じように自由に周りを見渡すことができます。また過去映像体験中には、録音された過去音声がヘッドフォンから流れます。
このような状況では体験者は、ライブ映像と過去映像の区別ができません。つまり、主観的な現実体験そのものは連続な、一つながりなもののままで、自在にライブ・過去映像の間を行き来させることができます。本人に気付かれずに「現実」をあらかじめ用意したものにさしかえる(substitute)ことができるこの仕組みを、代替現実(Substitutional Reality: SR)技術と呼んでいます。
代替現実技術を用いて体験者の現実を操作すると、認知やコミュニケーションの仕方が実に大きく揺らぐことが、これ
までの研究でわかっています。
(文献情報)
- Keisuke Suzuki, Sohei Wakisaka and Naotaka Fujii
“Substitutional Reality System: A Novel Experimental Platform for Experiencing Alternative Reality”, Scientific Reports, 2012. DOI: 10.1038/srep00459
応用と展望
- 汎用の社会実験装置としての改良・発展、脳活動計測
- インタラクティブアート、アートパフォーマンスとしての展開
- 心理療法への応用、etc
(2012年10月掲載)