超薄板ガラスを用いた全ガラス製マイクロチップ内電動バルブ (理研No: 23868)
発明者
田中陽(集積バイオデバイス研究ユニット)、上田泰己(合成生物学グループ)
背景
数cm角のガラス基板上に幅・深さ1mm以下の流路を加工し、化学・生化学システムを集積化した「マイクロチップ」は、次世代医療診断等の小型・高速の次世代型デバイスとして期待されています。しかしながら、ガラスは硬いため、その中に流体を制御するのに必須であるバルブを組み込むのはきわめて困難であり、集積化のメリットが十分に生かせないという問題がありました。一方、ポリジメチルシロキサン(PDMS)に代表される樹脂製マイクロチップは、柔軟な特徴を活かし、バルブの組み込みが容易でしたが、有機溶媒や気体の操作・分析・検出あるいは高度な表面化学処理を活かした細胞のパターニングなどには物理的・化学的安定性の面から不向きでした。
技術の概要
超薄板ガラスを用いたバルブ付きガラス製マイクロチップとバルブ駆動原理
そこで、弊所研究者等は、近年開発された10 μmを下回る厚みの超薄板ガラスを利用することを着想しました。これは、薄いがゆえに、ガラスにも関わらずきわめて柔軟性が高く、割れにくい特徴をもっており、これをハンドリングし、またガラスマイクロチップに組み込む技術を独自開発し、ピエゾ素子を装着することで全ガラス製マイクロチップ内バルブの実証に成功いたしました。
利点
- このガラスバルブはきわめて応答が早く(0.1秒程度)、かつほとんどの溶媒・溶質に対して安定であるため、汎用的な集積化学システムへの応用が考えられ、とくに、医療診断、一細胞操作、ならびに分子合成などの分野においてきわめて有用なツールとなることが期待されます。
応用
文献情報
特願2012-151915
(2013年4月掲載)