ハイドロゲル上への金属薄膜微細パターンの作製(理研No: :23610)
発明者
長田 義仁、島本 直伸(基幹研究所 分子情報生命科学特別研究ユニット)
キーワード
ハイドロゲル、金属薄膜、微細周期構造、微細加工プロセス
背景
生体を構成している材料の多くは、水を多量に含んだ有機物質からできており、生物特有のしなやかさの特性に寄与しております。また、生体物質のボトムアップによるナノからマイクロの構造体は生物特有の多くの魅力的かつ複雑な機能を実現しております。一方で、トップダウンの微細構造作製技術は半導体デバイス産業などで、望み通りの機能素子を設計・作製する手法として活用されています。本発明者らは、生体に近い含水系合成高分子材料であるハイドロゲル上にトップダウンによる加工技術を応用して微細構造を形成することによる新規なウエット&フレキシブルな機能素子を実現しました。
図:ハイドロゲル上への金属薄膜パターン貼付転写プロセス
技術の概要
本研究では、ナノからマイクロメートルスケールの金属薄膜の構造をハイドロゲル上への作製方法を開発しました。金や白金などの金属薄膜の微細周期構造を透明なハイドロゲルの表面に接合することで、これまで不確定なマクロ的な計測でしかわからなかったハイドロゲルの運動能である膨潤・収縮の現象を、ミリ秒・ナノメートルスケールの高分解能での計測を実現しました。これにより、ハイドロゲルを利用したイオンセンサーなどの応用が可能になります。
図:金属ナノパターンを転写したゲル
ハイドロゲルは、ウエットで柔らかく不安定な材料であるために光学素子や集積デバイス等への応用なはされてきませんでした。しかしながら、フレキシブル性、生体親和性、環境応答性などの機能は、ハイドロゲル等の含水系の材料なしでは実現不可能です。しかも本研究で開発した微細加工プロセスでは、現在の最先端の半導体デバイスと同等のナノスケールでの微細構造をハイドロゲル上に作製することが可能です。私たちは、ナノスケールの微細加工技術とハイドロゲルの機能を組み合せることにより、ウエット&フレキシブルデバイスの展開を計画しております。
(文献情報)
- 特願2011-198897「異種材料が接合した重合体、及びその製造方法」
利点
- 柔軟性・生体親和性・環境応答性を有した光学素子・集積デイバス
備考
- 本研究は、理化学研究所 分子情報生命科学特別研究ユニット と北海道大学電子科学研究所との共同研究のとして行われました。また、本研究の一部はトヨタ自動車株式会社との共同研究として行われました。
(2012年11月掲載)