超薄膜有機単分子層によるアルミニウム表面の酸化防止(理研No: 23596)
発明者
山田太郎(表面化学研究室)
キーワード
アルミニウム金属、酸化防止、不動態化、有機単分子層
本技術の特徴
金属アルミニウムの表面は酸化されやすく、切削加工等で切り出された表面も空気に触れると即座に酸化膜で覆われることはよく知られています。酸化膜の厚さは10ナノメートルに達します。むしろ酸化膜で表面を積極的に覆うことで、アルミニウム金属表面は安定化し、実用に耐えているわけです。
しかし、例えば厚さ数十ナノメートルのアルミニウム薄膜や直径数ナノメートルのアルミニウム微粒子を作製するとなると、そういったアルミニウム表面が酸化することは、基材全体が酸化することに等しく、何としても酸化を抑制する必要があります。
そこで、アルミニウム金属表面を厚さ数ナノメートルの有機単分子層で覆って、酸化を抑制することができるかどうか、そのようなことが可能な有機物分子を探索しました。アルミニウム表面に強固な化学結合で固定化される有機分子として、炭化水素チオール(-SH基を含む分子)が好適であることを見出しましたが、それだけでは大気圧の酸素中で、下地アルミニウム基板の酸化を十分に防止することができませんでした。
そこでさらに、そういった炭化水素チオール単分子層に電子線を照射すると、それまで個々に表面と結合していた有機分子の間に架橋結合ができ、表面全体に2次元的な強固な不動態膜(厚さ2nm以下)ができることを発見しました。酸化試験では大気圧中数分間で、酸化膜の生成を厚さ0.3nmまで抑制することができました。
(文献情報)
- S. Nomura, T. Yamada, M. Kawai, Chem. Lett. 39 (2010) 1297-1299.
- 特願2011-168725 (特開2012-046822)
応用
酸化され易いアルミニウム表面をナノメートル厚さの有機分子膜で覆って、酸化を完全に防げる可能性があります。まだ発展途上の技術ですが、デバイス中のアルミニウムパターンの超微細化やアルミニウムナノ粒子(ロケット用固体燃料等)の応用の基礎的研究を行っています。
(2011年6月掲載)