外部連携

ブラシノステロイドのシグナル因子による葉緑体制御法 (理研No: 23033)

発明者

中野雄司 (基幹研究所 中野生体膜研究室) 他

キーワード

光合成、遺伝子組換え植物、ブラシノステロイド

本技術の特徴

ブラシノステロイドのシグナル因子による葉緑体制御法

近年、大気中の二酸化炭素を植物に固定し、バイオエタノールやバイオプラスチック等へ展開する脱石油技術の開発が盛んになっています。植物への二酸化炭素の取り込みには光合成が重要であり、この効率を上げる事で二酸化炭素の固定が促進されると考えられます。

ブラシノステロイドは植物ホルモンの一種であり、体の形作りと光合成の調節という植物の成長に大変重要な役割を担っています。植物は太陽光があたる昼間はブラシノステロイドのシグナルを抑制することで葉緑体を活性化し、光合成を起こしてでんぷんなどを製造する一方、夜はブラシノステロイドのシグナルを活性化し、でんぷんなどの材料を組み立てて体を形成するというメカニズムで成長していると考えられています。しかし、ブラシノステロイドがどのような仕組みで葉緑体の活性化を調節しているのか、その具体的な仕組みは不明で、司令塔的な役割を果たす遺伝子もまったく分かっていませんでした。

この度幣所では、この葉緑体が活性化する機構を解明するため、 ブラシノステロイド生合成阻害剤を用いて突然変異体を見出し、その原因遺伝子であるBPG2を同定することに成功しました。

詳細な解析の結果、bpg2変異体では、葉緑体内のタンパク質合成装置である葉緑体リボゾームのrRNAが、未成熟な異常に長いrRNAの状態でとどまっていることを明らかにしました。この変異体では、葉緑体の中の多くの種類のタンパク質の合成量が激減しており、かつ、葉緑体の内部構造に異常が生じていることが電子顕微鏡による詳細な観察で分かりました(Komatsu T et al, Plant Journal, 2010)。更に、このBPG2遺伝子の高発現株の解析によって、葉緑体内のタンパク質合成が活性化される可能性を示す結果も得られました。つまり、ブラシノステロイドによる葉緑体の活性化の調節において、BPG2が「司令塔役」となっていることが分かりました。

葉緑体は、光とCO2と水から、酸素と炭水化物を生産する光合成反応の場であり、それらの産物は植物自身の生長のために使われます。BPG2は、この葉緑体の活性を強化する機能を持つ可能性のある遺伝子であると考えられ、その過剰発現により光合成を活性化し、二酸化炭素の固定を促進できると考えられます。

(文献情報)

  1. US12/661326

(2011年7月掲載)