外部連携

フォトクロミック化合物を用いた新しい光リライタブルメモリー材料(理研No: 23003)

発明者

川本益揮、志賀名月、高石和人、山下俊(緑川レーザー物理工学研究室、先進機能元素化学研究チーム、東京理科大学)

キーワード

フォトクロミック化合物、光学活性、光記録、非破壊読み出し、リライタブルメモリー

本技術の特徴

フォトクロミック化合物であるアゾベンゼンは光に対する高感度、高速応答性に優れ、トランス-シス光異性化反応を可逆的に示すため、リライタブル光メディアへの応用が検討されています。しかしアゾベンゼンのシス体は、ミリ秒から数日で熱的にトランス体へ戻るため、結果的に記録した情報が暗所下でも消去されてしまう問題がありました。

この度弊所では、上記問題点を解決する分子構造を検討した結果、熱的に安定なアゾベンゼンの開発に成功しました(文献情報1、2)。25度におけるシス体の寿命は1263時間(1.7ヶ月以上)であり、現在知られているアゾベンゼン誘導体のなかでもっとも安定な化合物であることがわかりました(図1)。また、化合物は分子内に光学活性部位を含み、トランス体、シス体で旋光度が正負逆転する新しい性質を有します。これらの特徴を利用すると、トランス-シス光異性化反応を引き起こす光 (365, 436 nm) で情報を記録、消去し、異性化反応に寄与しない 589 nm の光で旋光度を繰り返し再生することができました(図2)。

本技術は、情報の記録、消去、再生を光でおこなうことが可能な光リライタブルメモリーへの応用が期待できます。化合物は汎用溶媒に可溶であり、スピンコートによってポリマーバインダーを必要としない均一なアモルファスフィルムに成形加工することが可能です。本技術は、アゾベンゼンに熱安定性を付与する新しい手法を提供するだけでなく、フォトクロミック反応を利用したリライタブルホログラム等への応用展開が期待できます。

超薄膜有機単分子層によるアルミニウム表面の酸化防止

(文献情報)

  1. Masuki Kawamoto, Natsuki Shiga, Kazuto Takaishi, and Takashi Yamashita Chem. Commun. 46, 8344-8346 (2010).
  2. 特願2010-040160

利点

  • 世界で最も安定なアゾベンゼン化合物を作製することが可能。
  • 薄膜中の分子を、光で繰り返し動かすことが可能。
  • 光で比施光値を繰り返しスイッチする非破壊読出しが可能。

応用

  • 光メモリー
  • 光スイッチ
  • 複数の波長の光を用いた多重光記録への応用(検討中)

(2011年6月掲載)