メチル化DNAを検出するための新技術(理研No: 22784)
発明者
岡本晃充、野村章子(基幹研究所 岡本核酸化学研究室)
キーワード
メチル化DNA、エピジェネティクス
背景
細胞機能、がん、老化などに強く影響する遺伝子発現制御機構の鍵を握るDNAのメチル化領域に特異的に結合する分子を開発しました。本発明は短時間で省力的にメチル化を定量することができ、結合したメチル化領域に新機能を付与するなど多様な応用が可能です。
従来のメチル化検出法として現在広く用いられている亜硫酸水素塩法は、サンプルDNAを一本鎖に変性させる必要がある上、反応時のpH制御が煩雑であること、および、サンプルDNAの99.9%以上が非特異的に分解されるという問題点があり、穏和な条件で二本鎖DNAのメチル化をそのまま簡便に検出することは困難でした。
本技術の特徴
本発明は、チロシン誘導体を導入した金属フィンガーモチーフを有するペプチドであり、チロシン誘導体とメチルシトシンとの選択的相互作用により二本鎖DNAと結合します。検出には従来法に要求されるDNAの変性、洗浄、遠心分離、シーケンシング等の工程を必要とせず、サンプルDNAとペプチドを混合後そのまま観察できるため、検出の所要時間は30分未満と迅速かつ簡便です。また、化学的に合成可能なペプチドですので、安定供給、安定保存、取り扱いの簡便性はもちろん、化学修飾による多様な応用が期待できます。
図:メチル化DNA結合ペプチドを用いたメチル化DNAの検出例
(文献情報)
- PCT/JP2010/068194
利点
- 従来法に要求されるDNAの変性、洗浄、遠心分離、シーケンシング等の工程を必要とせず、二本鎖DNAのメチル化状態を簡便に検出することが可能です。
- ヌクレオチド配列に制限されることなく任意のDNAのメチル化領域を検出でき、定量することが可能です。
- 化学合成が可能なペプチドですので、取り扱いが容易です。
応用
- ES細胞・iPS細胞などリプログラミングに関わる再生医療分野、がん・老化に関する研究分野におけるエピジェネティクスの解析
(2011年6月掲載)